03話
「ごめんな。でもお前の力が必要なんだ。」
私がうつむいていたからか、
今までにないほど優しい声でグレンは
申し訳なさそうな顔をして私に言う。
「こっちこそ、ごめんなさい。
自分の事ばかり考えて
でも、私たちの世界は、魔法なんてないし
もちろん私も魔法なんて使えないけど
それでも、私は役に立つのかな?」
そういう私にグレンは
「いいんだよ。みんな自分の事しか
考えてない時なんかたくさんあるしな!
別に気にする事ねーよ。
それより、不安だろ?
こんな違う世界につれてこられて
....。」
そう言うとグレンは、私の顔をみて
少し無言になった。
「魔法の事は落ち着いてから話すな。」
なぜか、優しく言うグレンに私は
「えっ?今話してくれてもいいよ?」と言うと
「いや、焦らなくていい。
今日は邸に戻って休もうぜ!
明日、邸内と町も案内するから
今日はとりあえず休め!」
そういうと、グレンは私を抱き寄せた。
「えっ?ちょっ ちょっと!」
ドキドキが止まらないし、恥ずかしすぎる。
「不安で整理できてないんだろ?
しょうがねーから涙が引っ込むまでは
おれの胸をかしてやる!」
偉そうに言うが
どこか優しげのあるグレンの言葉に
自分の目から涙がこぼれている事に気づく。
「あれ?ごめんなさい。泣くつもりはなくて」
そう涙を止めようと思えば思うほど
涙が止まらない。
そんな私をみてグレンは
「ははは。お前はよく謝るな。
そんなに、気を使うなよ。
甘えていい時は、甘えていいんだよ!」
そう言うとさっきより強く抱きしめてくれた。
そこから、どれくらいたっただろう
気がつくと私はベッドで眠っていた。
「ここはどこ?」
誰の部屋なのか、可愛いらしい部屋だ。
ベッドから起き上がり、近くの窓に向かった。
「すごくきれい。」
窓の外から夕日が見えた。
この世界の夕日はすごくきいだ。
魔法が、使える世界だからか
夕日がキラキラ光って見える。
“トントン”
「よう!目が覚めたな。」
ノックして入ってきたのはグレンだ。
「あの後、お前が眠ったから邸に運んだんだ。」
「えっ?!ごめんなさい....。」
泣き疲れて眠るなんて、子供みたいだし。
それに、あんなに強く抱き締められて
泣いていたなんて、恥ずかしくて
まともに顔もみれないと思った私に対して
グレンは
「また、ごめんなさいか?」と言ってきた。
「あっ! いろいろとありがとう。」
さっきの会話を思い出し、
今までの事もふくめてお礼を言うと
グレンは、優しく微笑んだ。
「それよりさ....。
ずっと気になってる事がある!
聞いてもいいか?」
急に真面目に話を始めるグレン。
「えっ?!なに?
なんか私、変なことした?」
いきなり改まって言うものだから
何か、おかしな行動とかしたかな?とか、
いろいろ考えて
余計に気になってしまう。
すると、グレンが...