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2

リディアの部屋の中は今、どこぞの服屋の様に沢山のドレスが並べられていた。


「リディア様、これなんて如何ですか!あ、こちらも素敵です!」


ノーラは嬉々としながら、リディアに順番にドレスを見せていく。だが、彼女とは反対にリディアの表情は曇っていた。


「ノーラが選んでくれたものにするわ。適当に選んでおいて?」


「え、ですが……折角の舞踏会なのに、リディア様がお好きなものの方が宜しいのでは」


戸惑いながらノーラは、ドレスを選ぶ手を止めた。


「どうせ、どれを選んでも変わらないわ。だから何でもいいの。……後は、お願いね」


それだけ言うとリディアは立ち上がり、部屋を後にした。部屋にはどうしたらいいのか分からず、ドレスを手に立ち尽くすノーラだけが残された。







リディアは、中庭にある椅子に腰をおろす。何をするでもなく、暫くぼうっとしていた。


5日後に城で舞踏会が開かれる。その為、先程部屋でドレス選びをしていた。だか、ノーラに言った通り別に何でもいい……。


どうせ何を着て出席した所で、1人で壁の花になっているだけだ。アロイスはマリエッタに付き添い、殆どリディアの元へは来ない。

だからといって、婚約者がいる身で、他に付き添って貰う男性を探す訳にもいかない。そんな状況でも、リディアが舞踏会を欠席する事は許されない。

欠席したいなどと両親に話せば、叱責をされるのは目に見えているからだ。


「……」



舞踏会で婚約者がいるにも関わらず、その婚約者は他の女性に付き添っているなんて、誰がどう見ても惨め以外のなにものでもない。


周囲からは哀れみの目を向けられ、同情される。その一方で、情けないと笑われているのも知っている。


マリエッタにアロイスを取られるのは、リディアに魅力がないのだと……。


「はぁ……舞踏会なんて、行きたくない……」


「なら、やめたらいいよ」


リディアはピタリと止まった。独り言に返事が返ってきた。しかも、その声はリディアのよく知る人物のものだ。


正直、振り返りたくない……聞こえないフリをして立ち去ろうかしら?とさえ思う。


「貴方には、関係ない事です」


「相変わらず冷たいなぁ」


声の主は、くすりと笑ってリディアの視界に入る様にわざわざ前に回り込んで来た。


「ねぇ、リディア。舞踏会なんて、退屈でつまらないだけだよ。僕も出ないから、君も欠席しなよ」


「はぁ……僕もって仰いますが、貴方はいつも欠席なさってますよね?ヴィルヘイム様」


ヴィルヘイムは、呆れ顔のリディアにそう言われると、如何にも愉しそうに笑った。



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