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始まりの…
ぴちゃん、と水が滴る音が聞こえる。
周りの様子は音一つ無い静寂の空間。
多くの人が地面に倒れている。見た目は、完全に山賊である。しかし、一部にはボロボロだが高貴な衣装の者もいる。
そして全員が息をしていない。しかし、近くに安堵の表情で眠っている、ボロボロな高貴な衣装を纏った数人は息をしていた。
多くの屍の中、中央に一人の八歳ぐらいの少年が立っていた。
月の光に照らされて幻想な輝きを放つ銀髪に透き通るようなサファイアの瞳、真っ白な肌に女の子と見間違える程の美少年。
だが、彼の体には傷は一つも無いのに血だらけの体だった。
ぴちゃん、とまた水が、否、血が滴る音が聞こえた。
彼はゆっくりと口を開き、この世の不条理を嘆いた。