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執事が強い家系は強い(確信)

「おはようございます。タクミさま、」

。眼を開けると、そこには知らない天井と俺の顔を覗き込むティアの顔があった。びっくりして飛び起きると。

「痛って!」

「いたぁい!」

見事に額がぶつかった。唇に軟らかい感触を感じたが、気のせいに違いない。ほら、向こうも気にしてなさそうだ。なんか肩をプルプル震わせてるけど、気のせいだと思う。


「ご、ごめん。あっ、えっと、い、今何時?」

もうここはこの話に触れずに乗り切るしかない。

ティアにもその意図が伝わったのだろう。


「えっ、えっとね。サラさーん!今何時ですかー!」


「昼の2時でございます」

「わっ!?」

虚空から声が聞こえてきた。まるでそこにいるかのように。


「タクミ様は一昨日、この屋敷に転送直後、ばたりと倒れてしまったんです。このベッドに連れてくるだけでも一苦労でしたよ。守り人との戦いの疲労と、魔力枯渇で二日間、死んだように眠っていましたよ。」


ほお、魔力枯渇か。言われてみれば、曖昧な終焉使った時、一瞬だけど膝から崩れ落ちそうになったもんな。


「その魔力枯渇を防ぐにはどうすればいいんだ?」


「よくお聞きになられました!それは、魔法に慣れ、体の魔力に対するキャパシティを上げげればいいんです!個々の生物の保持できる最大魔力量は生まれながら決まっているものの、努力を怠ればフルに活かすことは出来ません。ですが、最大に到達するには途轍もない修練が必要なため、実際にフルなのは大賢者と呼ばれる5人だけでしょう。」


ほうほう


「そのため、当家の当主と協議した結果、タクミ様をメルクロワ家の保護下に置き、この世界で生き抜く最低限の力を養わせることが決定いたしました!」


おー!

貴族、それもかなり高位であろうメルクロワ家にかくまってもらえるのはありがたい。

彼女の貼りつけたような笑みと、「決定いたしました」、という強引さは気になるところだが、とりあえずはありがたく受けさせてもらおう。


「それはありがたい。常識外れの事をして処刑、なんてなるのはごめんだからな」


「でしょう!では、これからよろしくお願いいたします。タクミ君」


「おう、いきなり距離感縮めてきたな。よろしくな、ティア」



そう挨拶を交わした後、俺は屋敷の散策に出かけた。


「いやー、ただものじゃないとは思ったけど、こりゃとんでもなくやばい家だな。」


「そうでしょうそうでしょう。メルクロワ家はこの国のトップ貴族である三騎の一角なのですから。」

また虚空から声か、と思ったが、今度はぬめっと気配が強まり、温厚そうな紳士が杖をもって茂みから現れた。

「自己紹介をさせていただきます。メルクロワ家執事長を勤させていただいております、ジクレと申します。

明日よりタクミ様の教育係を拝命しまして、ご挨拶をと思った次第でございます。」


「タクミ・シラセです。至らない点も多いかと思いますが、よろしくお願いいたします」


そう礼をして、顔を上げた。そして瞬きをした次の瞬間、彼の姿はそこからなくなっていた。気配すらも感じられない。


・・・ここで自分語りをさせてくれ。俺はそこそこの容姿を持っており、まあまあのコミュ力も持ち合わせている。そのため、きわめて一般的な陰キャ高校一年生までのルートを辿ってきたと思う。だが、悲観的で、言葉の裏にある真意を読み取ろうとする癖がある。これは家庭環境であったり、恋愛経験であったり、様々な要因から形成された能力である。


その俺から見て、あの好々爺は、ヤバイ。あれは何を考えているかさっぱりわからなかった。かろうじて、この家への忠誠と、俺に対して敵対心を持っていないことは確認できた。というか、物理的にも精神的にも彼の中に踏み込もうとしたら俺の命はないだろう。それほどまでにあれはやばい爺さんである。



そうこうしているうちに、日が暮れ始めた。


この後は特筆すべき点がないし、俺も疲れたから、与えられた無駄に広い自室に戻って寝ようと思う。

明日からあの爺さんとマンツーマン授業だ。憂鬱を払いのけながら、俺はまどろみの中に落ちていった。


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