やっぱしヤバかった。
それにしても、エクイボーカル・デマイズはえげつなかったな。曖昧な終焉って、生殺しってことかよ。考えただけでも恐ろしい。あれはなるべく使わないようにしよう。
そうこうしているうちに、俺は森を抜けた。
「いよっしゃー!って、え?」
森の出口には王国兵士の列、列、列。
十万人規模にのぼるであろう軍隊が整列していた。
状況を飲み込めずぽけーとしていると、
ティアが駆け寄ってきた。
「無事でよかった。本当に良かった。。。
タクミさん、大丈夫でしたか!?置いて行ってごめんなさい!大樹の守り人が出現していたというのに・・・」
すると、軍の指揮官らしきごつい男が、
「おう坊主。大樹の守り人が目覚めたってのに、よく生きて帰ってこられたな。お前相当運がいいぜ。俺らは今からそいつを眠りに行かせなきゃいけねえ。ここにいるほとんどが死ぬだろうが、国民の命には代えられないってもんよ。」
と笑顔で声をかけてきた。
え?まあ、大方予想は付くが・・・
「すみません大樹の守り人ってなんですか?」
「嘘だろ!?お前知らねえのか。大樹の守り人ってのはこの始祖の森の中心に位置する世界樹を守るでっけえ狼の事だよ。世界樹を守ってくれるのはありがたいんだが、縄張りに敏感すぎて、始祖の森に散歩踏み入っただけで殺しにかかってくる凶暴性をもってるんだ。だが、この森は資源で溢れている。だから俺たちが百年に一度、こいつを眠らせなければならないんだ。すまないな、坊主。俺たちはそろそろ行かなきゃなんねぇ。生きて帰ったらまた話そうぜ!」
そんなフラグを立てて去っていこうとする隊長を俺は引き止めないわけにはいかなかった。
「あの!隊長!もしかして探してるやつってこのフェンリルですか?こいつなら俺が倒しましたよ?」
そう言って俺は写メ魔法「映え(instagrammable)」で隠し撮りしたそいつの写真を見せた。宙吊りの写真。ぶっ倒れてる写真。牙を食い止めた写真。やっぱし証明には現物が一番だよね。
「はっ、坊主。守り人はこの人数でも倒せるかどうか怪しい世界最強のバケモンだぞ。お前ひとりで・・・。すまない、そのやけにリアルな絵を渡してくれ。」
あ、てかこの世界にも写真はあるわけね。
男の顔は見る見るうちに驚愕に染まり、
「お前、ほんとにこれをやったのか?お前はどんな化け物だ?」
と先ほどとは一変して、敵意むき出しで聞いてきた。
俺は
「ハハハ、そんなですよ。」
と笑ってはぐらかした。
あれ、俺案外強めな感じなの?
ちなみに撮ったのはスマホじゃない。駄女神に没収されから、魔法で写真を撮って、それを魔法で現像させただけだよ。
まあ、そんなことはどうでもいいとして、
ティアが木の影から俺を手招きしてる
「どうした?」
「タクミ様、本当に倒したのですか?あの大樹の守り人を」
「ああ。まあ、倒したっていうか、向こうが身を引いてくれた、って方が正しいかな
。」
「なおさらやばいじゃないですか!
・・・でも、生きて帰ってきてくれて、本当にありがとうございます。
こんな身でお願いするのも申し訳ないのですが、是非メルクロワ家の屋敷に来ていただけないでしょうか?」
「いや、もともとそのつもりだったし、寝床とかがあるならこっちとしてもありがたい」
「良かったです!後は軍隊が何とかしてくれるでしょうし・・・では、今回こそは二人で転移しましょう。お手を頂けますか?
ではいきます。転移。」
レビューお願いします・・・(´;ω;`)