全作品共通して、最初に出会う人が女子なのってなかなかのあれよね。
目が覚めると、そこは
「なんだここ」
息はできるし眼も見える。だが、動こうとすると激しい抵抗力を感じる。まるでスライムプールにいるような
・・・あ。
「スライムの中じゃん、ここ。」
俺の体の大きさは変わって無いっぽいから、多分こいつはバカでかい類のやつなのだろう。
四川を上に向けると、スライムの眼球がいた。
あまりのぐろさに一瞬で眼をそらしたつもりだったが、心なしか眼球がグリンってこっち向いて嬉しそうに眼を細めてた気がするけど、あの可愛いスライムに限ってそんなことは無いと願いたい。いや、あってはならないのだ。
とつぜん、足にピリリとした痛みを感じた。何とか首を動かして下を見てみると、
「うぎゃ―――――――――」
ドロドロに溶けた靴、やけどして剥がれた皮膚、そして壊死しかけの生足がそこにはあった。
「やばいやばい。キモイ痛い。は、体動かんし。何が前世パックだ。俺の体なんも強化されてねえじゃないかよ。え、マジで痛いんだけど、神様ー・・・おいくそばばあ!普通こういうのってチュートリアルとか、せめてマニュアルぐらい用意しておくもんじゃねえのか!」
と反社会的勢力顔負けの形相で虚空にまくし立てた。
そのとき
「大丈夫ですか!あー、危険な状態ですね。今助けますので、もう少しだけ叫んでいてください。」
と、なかなかにサディスティックな救援宣言を受けた。だが言葉の主の姿は見えない。
よかった。これからはテンプレ通り行くのだろう。
よくわからない言語のはずなのに、なぜかすんなり理解できた。多分「言語能力」自体が向上したんじゃないかな。
「我、氷点にて顕在せし精霊に願う。燃え盛る生命の核をその零塵で滅ぼせ!」
これまた意味不明な発音だったが、まるで日本語を聞いているかのように自然と頭に入ってきた。
さて、肝心のスライムはというと、ドライフラワーのように、少しつついただけでボロボロと崩れていった。
駄女神に対してぶつぶつ言いながら崩れた部分から外に這い出ると、
タタタッ
と足音が近づいてきて
「お怪我はありませんか?」
と聞かれた。
まず立ち上がってからお礼を言おうと思い、上を向いたその瞬間の光景を僕は一生忘れない。
「紫・・・」
次の瞬間、俺は木にめり込んでいた。さらに追い打ちをかけるように、
「炎の大精霊イフリートよ、我の命を糧としあの男を業火の祝宴に・・・」
あ、これは絶対ヤバイ。「我の命を糧とし」とかえげつないやつに決まってる。ここは!
「わるかったーーーー!やめてくれ!」
土下座しかない!
「うるさい!こんな・・・こんな恥ずかしい目に合うんだったらあなたを殺して私も死ぬ!
そもそも紫じゃなくて撫子色!もうやだぁ・・・。」
見るからに育ちがよさそうなお嬢様だったので、よほどショックだったのだろう
泣き崩れてしまった。
俺はただただ平謝りし、拝見するに至った経緯を全裸平伏(土下座)のまま説明した。
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