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気さくな人は良き。

ヒュンッ。ドスドスドス。


「おお、まさか三本すべて当たらないとは思っていなかったぞ。どう体をひねっても絶対当たる右胸左胸と軸足の太ももをねらったのだが。いやまて、魔力の残り香か。入る前からそれをわかっていて魔法をかけていたんだな。あっぱれだ。」


やばい、爺さんだけじゃなくてこのおっさんもやばかった。え、普通異世界からの客を招待して、食前にナイフ投擲するかね?よかったー、念のため防御魔法かけておいて。


内心冷や汗だらだらだが、俺は勤めて平然と

「自己紹介が遅れて申し訳ありません。タクミ・シラセといいます。異世界からやってきた得体のしれない僕を受け入れてくださり、ありがとうございます。

ナイフに関しては、はい、そうですね。入る前にこの部屋の様子を透視し、自分の周りに外向きの強い気流を作り出しました。

まあ、当たらないってわかっていても、初めて作る魔法ですし、怖いことに変わりはないんですけどね。

これからどうぞ、よろしくお願いいたします」


「やはり・・・見たことのない魔法だったから驚いたよ。これなら大樹の件も納得できる。

初めまして、私がメルクロワ家当主兼五大賢者が一人、ヴェリテ・フォン・メルクロワだ。よろしく頼む。私のことはなんと呼んでも構わないぞ。」


やっぱこの人賢者か。そりゃそうだよね国のスリートップの当主なんだから。さっきのナイフも恐ろしいほど的確なコントロールだったし。

「では、お言葉に甘えて、ヴェリテさん、でいいでしょうか?」

「おうおう!気に入ったぜ。」

すると

「あのぅ・・・お料理、冷めちゃいますよ?」

とティアが窮屈そうに言ってきた。

「そ、そうだな。すまない」

「あ、ごめんティア」


俺らはそうして席について、以前の世界などたわいもない話に話を咲かせながら、美味しい料理を堪能した。訓練で空いた腹もいっぱいになったところで、ヴェリテさんが真剣な表情で話し始めた。

「タクミ。この世界では、転生者の存在は古くから神の使者として大切にされてきた。そして本来の伝説ならば、転生者は500年に一度、四人現れることになっている。その為、その中で最も強いものは王族が、その他三人は三騎である、メルクロワ家、レイス家、ノルオスト家が一人づつ養子としてかくまっている。そして、去年がその節目だったのだ。だが、現れたのは、三人のみだった。クジの結果、メルクロワ家は敗れた。子の一年、私たちは長い歴史の中で転生者を唯一保持してなかった三騎として他の者たち、特にノルオスト家からは馬鹿にされ、辛酸を舐めてきた。

だが!タクミ。君という転生者が私の娘の前に現れてくれた。多分娘は君と出会った当初、驚きと、嬉しさと、逃がしてはならないというプレッシャーに押しつぶされそうだっただろう。屋敷に連れてきた方法も少々強引だったかもしれない。だが、私たちは、君に最上級の待遇と、自由を約束する。

だからどうかお願いだ。メルクロワ家の養子となり、私たちを助けてはくれまいか。

頼む。この通りだ。」

そう悲痛な声で深々と頭を下げているヴェリテさんとティアの姿を見ると、どれほど悔しい思いをしてきたかがひしひしと伝わった。


ありがとうございます!

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