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神殺しと呼ばれた男  作者: 鳴神
『《リヴァ》騒乱編』
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『始祖3』

ガルが唐突に会話を中断した。


宿主達の周りに民家とそのすぐ左手にはすこし大きめの喫茶店があり、右手には一階建てのヴァンパイアハンターのギルド支部がある。


道に目を向ければその幅は広くその砂利道には所々車輪の後がある。


恐らくヴァンパイアに恐怖し逃げ出した民達であろうがそれでも残った者はこの土地から離れたくない者達であろうか。


『我が領域へようこそ』


その声はギルド支部の屋上からだ。


目を凝らせばギルド支部の窓や扉は破壊され血痕のようなものが見える。


気配もなく明かりもないことから中にいた者達は生きていないだろう。


その声は憮然とした感じもするが静謐さもあった。


「その見下した態度は皆同じだな」


「ほう…この嫌悪感は主か。ヴァーリの眷属よ」


鷹揚とした声の主はガルを警戒することなく屋上から宿主達を見下ろしていた。


「天敵と言ったほうがいいのではないか?吸血鬼が」


いかなる理由かは定かではないがガルは鋭い顔つきの道化師のような仮面をつけている。


その奥から出た侮蔑に似たくぐもった声。


「…貴様のような下賎な者に吸血鬼などと呼ばれたくないわ!」


一瞬にして声の主であるヴァンパイアは緋色の眼を爛々と輝かせ急降下するように宿主達を目掛けて物理法則を無視し宙から突進してきた。


「全員、散れ!」


ガルが前に出て手を翳した。


宿主達は言われる前に散り、ガルは腰のホルスターから二丁拳銃を抜くと怒号ととめに銀の筋がヴァンパイアに放たれた。


銀の筋はヴァンパイアに当たることなく虚空の彼方に消えていき、次にヴァンパイアが現れたのはルーの眼前だ。


「なに!」


ルーが気づいたときにはヴァンパイアの鋭く伸びた爪が左切り上げに振り下ろされた。


反射的に後方へ飛んでかわすが胸の衣服が切り裂かれ、血が舞う。


間髪いれずにヴァンパイアがルーの懐に飛び込むと今度は袈裟に右手の爪が振り下ろされる寸前に上腕骨部に宿主のデスぺラードから放たれた炸裂弾が直弾した。


上腕部に直撃し、一瞬衝撃でヴァンパイアはよろけたがルーにはそれで十分の隙だった。


虚をついたルーの長剣がヴァンパイアの鳩尾を刺すと背から切っ先が突き抜けた。


だが、ヴァンパイアは顔を歪めることなく、逆に禍々しい笑みを浮かべ両手の爪をルー嬢の首筋に突き立てようとした。


爪がルーを刈り取る寸前に宿主の剣がヴァンパイアの背に袈裟斬りを放つ。


斬撃は空を斬る。


宿主とルーは無言で目を合わせると左手に跳躍したヴァンパイアに視線を送った。


「ふむ…炸裂弾か…」


ヴァンパイアは民家の屋根で宿主達を見下ろしながら銃弾で受けた傷を撫でていた。


二、三回ほど撫でると直撃を受けたはずの右上腕部の裂傷が消え失せ、同様に鳩尾の刺し傷も消えていた。


「踊ってみせよ」


ヴァンパイアの両手の指が宿主とルーに向けられると爪が生きたように伸び二人に襲いかかった。


二人は左右に分かれ地を蹴り、爪が砂利の地面に突き刺さった。


爪はそのままヴァンパイアの指から切り離され、二人の横手から透明の筋が伸びてきた。









蠢く爪、自分で書いててキモいですね。

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