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神殺しと呼ばれた男  作者: 鳴神
『《リヴァ》騒乱編』
21/29

襲撃者

「ルシフェル様、夜分申し分けありません」


魔族の最高議会、魔族院。


議員といっても政治家というより魔族の頂点に立つ戦闘集団の長たちでもある。


時には戦闘の陣頭指揮を執る場合もある。


その長たるルシフェルの側近がその戸を叩いたのは襲撃直後のことだ。


「先程の音はなんだ、ただ事ではないな?」


そう言って扉から姿を現したのは黒衣のローブを纏った褐色の肌の初老の男だ。


髪は短髪で黒髪に白髪も混じり、精悍な顔つきも今は厳しい表情をしている。


「何者かの襲撃、正面門が吹き飛ばされた模様です!」


「あれを破るとは…

今宵いるのは確か」


そう言っていると暗がりから声がかかった。


一瞬、側近がルシフェルの前に進みでると見知った顔を確認すると警戒を解いた。


「ウリエルです。

ご無事ですか?」


「賊のようだ」


黒髪が逆立っており褐色の肌男、好戦的と一眼でわかるこの男は魔族院の中でも比較的若い。


政治家というより軍人のような雰囲気を持っていた。


事実、この男は軍務大臣の位をもっている。


大臣という堅苦しい位を嫌い現場第一を考えており、特に若手将校の支持者が多い。


「なにものですか?」


そう言って側近に顔を向けると苦い顔のまま首は横に振るわれた。


「…わからんが気をつけよ」


「はっ!」


そうこうしているうちに護衛の兵が集まり、ルシフェルの周りを固める。


それを確認すると頼むぞ、と一言残しその場から立ち去ろうとした時西の方角から火の手が上がった。


「ウリエル!」


「はっ!直ちに!」



—————————————————————













キャッスルノートの中央部。


そこには五つの塔と中央塔からなり、いずれも二つの回廊で繋がっていたがルシフェルの寝所はそこの中央に位置していた。


火の手が上がったのは西側の塔の一つだった。


ただ、その塔は中央部といっても会議場なとがあるのみで夜半賊が狙うような場所ではなかった。


中央塔に行くには各塔から行くより中央塔の一階入り口の方がはやい。


無論、中央塔の下層部には常時多数の兵が詰めているので容易に突破はできない。


回廊も夜半は幾重にも及ぶ隔壁が下されている。


西棟下層部は現在爆炎に包まれ、黒煙が上がっていた。


その入り口に黒衣のローブを身にまとい、金髪長髪の男が立っていた。


「貴様、まさか…!」


「久しいなウリエル」


ウリエルがそこに到着すると見知った者がいた。


「ルシフェル様の命でも狙いにきたか!

裏切り者め!

貴様の犯した罪、いまでも忘れておらぬぞ!

ブラウエル!」


「否定はせぬよ」


元魔族院議員、ブラウエル。


数年前、魔族院のとある国務中に突如として魔族院所属の同族議員を殺害して出奔した手配中の裏切り者だ。


【業火よ、我が敵を撃て。炎獄弾(フレイムショット)


いきなり、ブラウエルの魔法がウリエルに向けて放たれた。


ブラウエルの前方に現れた無数の火球がウリエルに肉薄する。


舌打ちしながらウリエルが懐から数本の小刀を手に取り、火球に向けて投擲する。


小刀と接触した火球が爆発を起こし、周囲の火球もともに誘爆する。


爆炎が二人の間を埋め尽くす。


その爆炎の間からブラウエルが飛び出してきた。


だが、そこにいるはずのウリエルの姿はなく、変わりに右側から氷剣群が迫る。


ブラウエルは瞬時に足元に手を叩きつけると火柱が昇り、氷剣が融解する。


それを確認する間も無く彼の眼前の火柱が消し飛び、ウリエルの靴裏が飛んできた。


それを、後方に飛び交わすと地面の石畳がウリエルの蹴りで破砕し、粉々になった石材が宙を舞う。


同時にウリエルがブラウエルに向けて手を向けて高速で呟くと無数の舞っている石材がブラウエルへ高速で飛ぶ。


【舞え、風烈の刃。風刃鎌(ウインドスラッシャー)


ブラウエルの詠唱とともに無数の刃が石材を切り刻み、ウリエルへ襲いかかった。


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