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神殺しと呼ばれた男  作者: 鳴神
『《リヴァ》騒乱編』
19/29

ギバザルトの最後

従者の叫び声の中、ロイは疾走する。


致命傷に至っていない従者に銀の弾丸が次々と撃ち込まれ、彼らの絶叫だけ響いた。


ギバザルトは動けない。


ガルを重力操作系の異能力で押さえているためだ。


その間、ロイは手当たりしだいに駆逐するべく最期の従者の集団に飛び込んだ。


回避と狙撃を繰り返すと弾が切れた。


二丁の自動拳銃のマガジンを排出し、一旦ホルスターに収め懐から新たなマガジンをセットし再びホルスターから抜き、グリップ部分を合わせて完全にセットする。


そこでロイは弾かれたように横手に飛ぶと影の巨腕が大地を抉る。


彼が先程までいた場所から一際巨体の人虎が土煙の中から顔を出すとロイに向けて飛び出した。


後方に飛び下がりながら銀の弾丸が人虎の胸板に吸い込まれるが鮮血で濡れるだけでその動きに淀みは生まれなかった。


人虎の腕が振るわれるとロイはそれを交わし、懐に飛び込み超至近距離から残りの弾丸全てを人虎の巨体に撃ち込みすぐに後方へ飛んだ。


それでもなお、人虎が倒れることはなかったが両者ともに睥睨するように足が止まった。


銃を収めると腰に下げていた弓を手に取りながらゆっくりとした動作で背中の矢筒から矢を取り出す。


視線は人虎から外さずに横へゆるりと動く。


小さな唸り声を上げながらエルフに威嚇する人虎。


胸板と腹にはロイから受けた銃傷と鮮血で赤く染め上げてはいるがどの程度のダメージを受けているかは傍目には手負いの虎と映るがその威圧的な態度と闘争心剥き出しの鋭い眼光からは伺いしれなかった。


最初に動いたのはロイだ。


一番近くの樹木を蹴りつけ宙を飛びながら矢を放ち直ぐに詠唱にはいった。


【ナージャワの名の下に告げる。

森よ、我が意に答えよ!

森林操作フォレストオペレーション


人虎は矢を裏拳で払いのけすぐさまロイを追う。


懐に入り、腕を薙いだ。


———が、それはロイを捉えず樹木の枝が突如として現れ彼はそれを足場に人虎の頭上を飛び越して行き、彼の代わりに人虎の剛腕により樹木は粉々に砕け、破片で視界が妨げられる。


人虎はロイを見失う。


彼は人虎の上部後方から落下に身を任せながら、数本の矢をつがい終えていた。


【ナージャワの名の下に告げる。

風の大精霊シルフよ。我が意に答えて我が敵を穿て!

風烈矢(ウィンドショット)


矢の先端が風が渦を巻き、それが放たれた。


振り向いた時には遅く、矢と風の螺旋が人虎に突き進み人虎の胸板を貫き、その巨体を吹き飛ばした。


さらに人虎の胸に風穴を開けただけでなく、吹き飛ばされながら血潮を撒き散らしながらその巨体は胸から真っ二つに裂け風の刃が二つに別れた肉片を切り裂いた。


着地し、それを一瞥するとガルたちの方向へ踵を返した。








その頃、ガルを潰すまいとしていたギバザルトだったか突如、暴風が彼を包み込んだ。


微動だにしなかったが一瞬、風の方向へ目を向けた。


本当に一瞬だった。


それが彼の命運を分ける。


うつ伏せの状態のまま地面に伏していたガルがそれを見ていたわけではない。


しかして、殺意が別の方向へ向いたのか定かではないが 動くはずのないガルが動いた。


【解呪】


そう呟いたガルの腰に下げている鉄棒が両端に大身の刃先がある槍へ変貌した思うと破裂音が響き、ギバザルトの重力操作系の異能力が強制解除された。


「!?」


驚愕と動揺の表情に変わった時、ガルの姿が彼の眼前から消えていた。


次の瞬間———


「がっ!?

ば、ばかな」


背中からガルの槍でギバザルトは貫かれた。


【滅】


ガルの声とともにギバザルトの体は内部から四散した。


槍を振り、血糊を振り払うとまた元の形に戻すと腰に下げた。


そこに前方からロイが柔かな表情で歩いてきた。


二人は拳を付き合わせるとその場を後にした。






後に残ったのは苦悶の表情を浮かべた人虎と人狼の死体と肉塊。


静かに不気味に蠢く、ギバザルトの肉片だけであった。


評価していして頂けると励みになりますので今後ともよろしくお願いします!

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