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神殺しと呼ばれた男  作者: 鳴神
『《リヴァ》騒乱編』
16/29

邂逅

「なんで、こんな山奥まで……来るんだよ!」


宿主の悪態もかれこれ数時間続いている。


それを最初は返答していたルーだが最早、その返答はない。


完璧な無視だ。


我らは現在、グヴェン山脈の東部地域に来ていた。


数日前、シフト卿より特務隊のみでギバザルトを討伐してこいとの命令が下った。


途方も無い広大な山々へたった数人で行ってこいとはここ最近でも滅多にお目にかかれないほど酷い命令だ。


宿主の悪態もわからんでもない。


致し方なく宿主とルー、ガルとロイの二手に分かれ別ルートで捜索しているが見つかるかどうか皆目見当もつかない。


一応、ヴァンパイアの眷属がいたとの報告のみで来ているのでここにギバザルトがいるという確証はない。


ガル曰く、ヴァンパイアの性格上手傷を負わせたので我らを付け狙う可能性が高いとのことだ。


時間さえあれば場所を変えながら移動して、体力を温存しながらキャンプをはっていればあちらがこちらを見つけて仕掛けてくるはずなのだが《リヴァ》がいるかもしれないので国を長期間、開けるわけもいかず、時間はない。


それで移動しながら見つけるという行き当たりばったりの方策がとられた。


ほかに方法がなかったのかと思わずにいられない。


「しかし、ヴァンパイアにもランクがあったとはの」


「あぁ、今までやりあったことなかったから知らなかったよ」


ガルが出発前に宿主らに伝えていたことがある。


ヴァンパイアはランクが存在し、下から従者、中興、始祖そして伝説級のやつらの祖とも言うべき真祖がいる。


ガルが言うには真祖は生まれながらにしての純血種とも言うべき者達だが他種族のように同族で子をなして産むのかさえ定かではないらしい。


そこから下は吸血によって任意に体内にあるヴァンパイアウィルスを注入して吸血鬼化するという。


その体内に保有するウィルスの量が少なければ従者、多ければ中興や始祖になり自分のランクより上のランクになることはない。


中興や始祖はヴァンパイアとと言うべき存在だが従者は一定の不死を得られ、命令に忠実になるだけだという。


注意すべき点が稀にウィルスに体から耐えきれなくなり、肉体が崩壊するという。


なので眷属を作るといってもおいとそれとできないということらしい。



「しかし、なんの手がかりもなしに本当に見つかるのか?」


「…イース」


崖をやっと登りきり、岩が転がる風景を想像していたのだろうか。


宿主より先に登りきったルーが信じられないものを見たかのように立ち尽くしていた。


「…どう、した…

こいつはどうゆうことだ」


遅れて登ってきた宿主の眼前には岩どころか木の一本も見当たらなかった。


そこにはまるで建物を建てるべく整地したような光景があった。


岩や木もなく、広場のような光景に二人は言葉を失った。


「こんなところあったか?」


「…ここの全てを知っているわけではないがここに人口物を建っているとは聞いたことがない」


今からここになにか作ろうとすべくしたような場所。


端のほうには木や岩がかろうじて見えるが視界全体はほぼなにもないのだ。


見張り台を作るというより、砦を作れるぐらいの広さだ。


しかし、あたりを見渡せば道らしいものもない。


ただ、なにもない。


訝しげに二人があたりを見回しているとそこの中央付近で異変が起こった。


黒い球体が現れたかと思うと甲高い音を響かせながら突然二人に衝撃波が襲った。


反射的に目を閉じ、崖の端でかろうじて踏み止まる。






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