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転移(2)

タブレットでチュートリアルするだけの回

 何も起こらないのであれば仕方ない。神様からの反応はあきらめて、何が入っているか確認することにした。


 10型くらいのタブレットが1つ、ワンピースが2着、上下の下着や靴下が3セット。あと、よくわからない20cm四方で深さ10cmくらいの箱が1つ、ペットボトルの水2本に携帯食料らしき棒が3本、それと封筒に入った手紙。


 この世界にもペットボトルがあるのか、それとも似たような素材なのか。

 まずは手紙を開いてみる。それは神様からの手紙だった。


 『これを読んでいると言うことは無事に妾らの世界にたどり着けたと言うことだと思う。このリュックは“自称”神様からの贈り物じゃ。とりあえず必要だと思われる物が入っておる。タブレットで召喚できる物がほとんどじゃが、転移者とばれないようにするための小道具だと考えてもらっても良いぞ。タブレットは来いと念じることで召喚でき、去れと念じることで消すことが出来る。消すと言っても神域の物置に送るだけじゃから、何度でも召喚できるからの。詳しくはタブレットのチュートリアルを見てくれなのじゃ。


追伸:妹に関しては時が来れば自然と会えるじゃろう。焦っても時が来なければ会えぬので焦らぬように。そして幻影を見せる魔法はあるが、姿を変える魔法は無いから容姿についてはあきらめるのじゃ! “自称”神様より』


 今の気持ちを読んだかのような追伸。わかったからもう自称とか付けないです!



 気を取り直してタブレットを取り出す。こういうのはだいたい横のボタンを押せば付く。


 ……っと。無事起動。


 画面に映し出されたのは、『チュートリアルを開始』の文字。ご丁寧に説明として、『異世界の生活から最低知識まで』と書いてある。


 とりあえずタップ。


 まず現れたのは、お供え方法。適当な台の上に食べ物を置いて、お供え物です、と念じれば良いらしい。


 次にスキルの使用方法。タブレットのメニューアプリを使って呼び出すか、サモン○○と指定の物、場所を思い浮かべながら発声することで呼び出せるらしい。メニューアプリを見てみるも、一度召喚した物しかアプリからは召喚できないとのこと。信号機よりも多いといわれるうどん屋の数。そんな量のメニューが並んでいても探すの大変だから仕方ないか。実際は信号機よりは少ないらしいけど、それでもコンビニの倍はあると言われるのだから。一つの交差点の3つの角が別々のうどん屋さんとか言う場所もあるくらいだし。


 閑話休題。


 レベル1で呼び出せるのは、ほとんどのうどん屋さんにあるメニューがメイン5種、サイド10種のみらしい。しかもこの種類には、A店のかけうどんとB店のかけうどんが区別されるとのこと。


 ……そんなのどこの店でも一緒だろって? 甘い、甘すぎる! 和三盆糖(高級砂糖。ふるさと給食メニューで何故かラムネ菓子的な形状の砂糖が出てくることも……)なみに甘過ぎる!

(いや、和三盆は上品な甘さでそんなにくどくないけど)


 味が一緒だったらうどん屋巡りなんてするわけ無いでしょ! まず太さ。細麺から太麺まで、それぞれ食感も違うしのどごしも違う! 出汁も店独自の物があって、この店の出汁よりあの店の出汁が好きだなーとかいろいろあるんですよ!


 まぁそんな語りはこれくらいに押さえておいて。


 十人以上に振る舞うとレベル2になり種類数の制限が無くなり、百人以上に振る舞うとレベルが3となり一部の店にしか無いメニューが召喚できる。千人以上に振る舞うことでレベル4となって特定の店にしか無いメニューやうどん関連の商品も召喚できて、一万人以上でレベル5になって、好きな麺や出汁を組み合わせてオリジナルメニューを作れるとか。夢が膨らみますね! 目指せ、レベル5!


 3番目は召喚方法。青い石に触れながら対象を指定して、来いと念じることで、神界の倉庫から物を呼び出せるらしい。こちらはスキルとは違い念じるだけでも良いらしい。今は机と椅子、食器や箸が一式と儀式用の立派な台が置かれており、これらは無料で使え、しかも呼び出すたびに新品同様にきれいな物が出てくる。そのほかにもタブレットを使えば、お供えや働きに応じて増加するptで麺棒や麺切り機なども購入できるらしい。そしてタブレットで購入した物以外は収納不可能。つまりアイテムボックスは別に必要になるのか。


 4番目は神域の使い方。白い石に触れて、神域!と念じるだけで、神域に繋がるドアが召喚できるとのこと。召喚した場所からは動かせないが、中に入れば消えて見える上、許可した生物しか入れないらしい。しかも内側から開ける際、ドアノブのダイヤルを調節することで、中でいた時間を外の時間換算で1秒~24時間まで調節できるらしい。どこぞの猫型ロボットが使っていたドアかよ。

 洗濯物は洗面台の洗濯機に入れておけば、自動でタンスにしまわれるし、お風呂にお湯も使い放題、消耗品も自動補充されるとのこと。

 正直ここに住む! って言いたくなるところだが、現地にいる時間の半分しか神界では過ごせないらしい。なんでもそれ以上過ごすと神界の住人扱いになるのでお供え物が向こうになるとか。つまり過ごせるのは1日の3分の1。そして時間が足りなくなると追い出されるのだとか。

 こんな森の中で安眠は恐いので、寝るときは神域にお世話になりたい。とはいえ今日はすでにお昼くらい。熟睡できる時間はとれなさそうだ。今日は木の上で徹夜かなぁ。


 5番目は世界の知識。この世界は転移者や転生者が多いので、元の世界とあまり変わらない生活が出来るらしい。生活用品や動植物も似たような物があり、時間感覚も変わらないそうだ。しかし車はあるものの低速に制限されているらしいし、鉄道も無い。銃はなく弓矢くらい。ネットや電話も無いとのこと。食文化や娯楽などは問題ないが、武力に繋がりそうな物はどこまで発展させて良いかが神様会で決められ、行き過ぎそうになると神託が降り、それでも止まらなければ国ごと消滅させられるのだとか。現に消滅させられた国も存在するらしく、そのために今は発展が押さえられているらしい。うん、食文化くらいしか発展させる気は無いけれど、気を付けておこう。


 最後に安全情報。このあたりには魔物はスライムしかいないとのこと。そのスライムも友好的な魔物で、人体に害は与えないし、何でも食べるし角質を取ってくれるスライムもいるとかで、普段の生活だけで無く美容業界でも大活躍らしい。ドクターフィッシュか。

 ただ、蛇とかそういう動物 ~体内に魔石があれば魔物、なければ動物らしい~ は存在するので、注意しろとのこと。ただし動物は、魔物と違い魔法を使えず気配などを消すことが出来ない。そのため比較的見つけやすく、対処も容易らしい。



 ……いや、順番おかしいでしょ! 安全情報とか先に言うべきだったでしょ! お供えや食べ物が一番二番とか、食い意地はってんな! あと、言語とか内政とか、そういう重要なこと書いてないじゃん!


 周りも気にしつつチュートリアルを終えたが、特に何者かが近づく気配は無かった。安全情報を見る限り注意する魔物はおらず、動物も気配までは消せないらしい。護身術をかじった程度でささいな気配を感知するなんてことはできないが、さすがに大きな動物が動いていたら音で気づくことくらいは出来る。しかしそのような動物がいる気配は今のところ無い。


続きは28日の夜0:00

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