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side:神様

3話が長かったので、後半を分割しました。

(この章は短いです)

「ふぅ、やっと送れたわい」


 ほっと一息。深層的に望むことであれば同意が必要ないが、望まないことであれば同意の言葉が必要になってくるのは手間が掛かる。


 しかし、自称神様自称神様ってうるさいわ! 自称じゃなく神様じゃ! こちとらおぬしの考えていることも聞こえてくるのじゃからな! 容姿だって、イケメンにして送るくらいならわざわざ要望聞かなくても出来るわ!


 そんなことを思いながらぷりぷりしていると、玄関ドアが開く。


「おー神様よ、邪魔するでー」


「邪魔するなら帰るのじゃー」


「おう、帰るわー ってそうじゃないわ! 今日は用事があってな」


 その返しにうれしそうな顔をして、白髪に白いあごひげを伸ばしたじいさんが入ってくる。賢者と言ったら全員が納得しそうな風貌。まぁそうなるように妾がデザインして転生させたのじゃがな!


「ふむ、なんの用なのじゃ? 妾はおぬしみたいな面倒くさいのを転移させて疲れておるのじゃが」


 こいつが用事があると言ってくるのは、だいたい美味しそうな物を一緒に食べないかという誘いだ。まぁたまに大きな用事を持ってくるのが困りものじゃが。


「いやなに、良い酒を手に入れたから一緒にどうかと思ってな。つまみも持ってきたぞ」


 ふむ、今日は美味しい方の用事らしい。


「なら、ご相伴にあずかるとするかのぉ」


 そう返事をして、部屋の中に座卓を出す。こういうのは神の力を持ってすれば軽々である! といいたいところだが、日常生活に必要な道具しか出せないのはつらいところだ。特に食べ物を出せないのはつらい。神は食べる必要はないとはいえ、娯楽は必要じゃろ?


 そんなことを考えながら出した座卓の上に、じいさんは手際よく酒とつまみを並べていく。ほう、今日は日本酒と鮭の西京漬けか。


 どうぞどうぞ、では遠慮なく、などと宴会を始め、良い具合にほろ酔いになったところで今日の転移者の話になった。


「そういえば、ワシみたいな面倒なのを送ったのだって?」


「そうじゃ、おぬしさんみたいに面倒なことを言ってきたから、おぬしさんみたいにしてやったわ!」


「それはそれは…… この体、見た目年齢が変化しないから、理解してくれる人を探すのが大変なんだぞ?」


そう哀れみの目で見てくるじいさんに、今回は考えたのじゃ!と自慢げに話してやる。


「今回は若くしたから大丈夫じゃ!」


「ワシの時は年齢通りの体力にしていて、そんなのでは生きていけないと統一神に怒られてあわてて会いに来てたのぉ。今回もか?」


 そう言ってにやっと笑ってくるじじい。くそ、人の失敗を今でもねちねちと……


 だが、今回は大丈夫じゃ!


「問題ない。見た目はともかくちゃんと体力は向こうの世界の成人の男並みじゃ! ちょっとやそっとで疲れることはあるまい」


「しかし見た目以上の体力とか、転移者じゃないかと目を付けられるだろ?」


 そう心配そうな言葉を口にしてくるが、目は笑っておるぞ!


「おぬしだってわかって言っておるのじゃろ? 転移者は18~24歳の姿がほとんどで、よっぽど幼く見えても15歳程度の美男美女。おぬしみたいな老人や、今回みたいな10歳になるかどうかの少女が転移者だとは思わないじゃろ」


「それもそうだな! ワシなんて転移者じゃ! とスキルを披露しても、魔法だろとか難癖付けられて門前払いだったからな! そのおかげで無事というのはあるがな」


「そうじゃろそうじゃろ? 妾に感謝するのじゃ!」


「おぅおぅ感謝してるからこうやって美味しい物を持ってきてるんだろうが」


「なら面倒な問題は持ってこなければうれしいのじゃがな?」


「それは無理だわ」


ははは、と楽しそうな笑い声を交えつつ、宴会は数時間ほど続くのだった。

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