13話 武闘大会2 『赤炎』VS『剣王』
出場者が姿を現すより前から会場は満席を通り越しこれでもかというくらいに通路やそこかしこに人が溢れている。全員が始まりの時を今か今かと待ちわびている。時間が迫るほど会場の雰囲気も高まっていく。
……そこに片方の入場口から1人の人物が出てくる。
しかし、その人物が姿を現すと会場から飛び交ったのは溜息と盛大なブーイングだった。
「だからなんで俺の時だけっ!?」
と、叫ぶのは赤髪の青年だ。オレンジ色の少しつり気味な瞳。炎をモチーフにしたピアスとペンダントネックレス。服も赤色がメインだが全体的に少し汚れ気味だ。
そこで司会者の説明が入る。
「さーあ……先に登場したのは『赤炎』ことリオル・バーンフェスだあ〜〜……。はあ…。
彼は炎魔法を得意とし武器は持たずに殴り掛かるというスタイルですが……実力がほぼその炎魔法で成り立っているのでは?と、言われており……何故この大会に出てきたのか非常に疑問です。」
「本人目の前にして言いたい放題かよっ!!司会者だから見逃されると思うなよ!」
司会者のバッサリした評価(溜息付き&会場のブーイング付き)に彼、リオルが噛み付く。
あの司会者遠慮ないなあ…(笑)でも、確かそういう風にしたんだっけ?
まあ、確かにリオルは魔法の認識が強いし……対戦相手がね〜……(笑)
おっと。相手も来たみたい。
リオルと司会者、会場の人達のコント的なのが繰り広げられる中その相手が登場する。
それに観客達が気付き始めると次第に会場からワアァァァァァァァ!!!と歓声が上がる。
それは先程休憩室で銀髪青年に誰にも負けないと豪語した金黒髪の青年だった。そしてその正体は……
「さあさあ!遂に彼が登場だ!!今回、彼に賭けた人も多いのでは!?
そう、出場すれば無敗!圧倒的!ほとんどの者は相手にならず動くことすら無いと言うほどのかの『剣王』ことレイアス・フェンラスだああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
司会者の叫びに伴って大歓声も上がる。
反応の差にリオルが少し落ち込んでいるが……仕方の無いことだ。1年で伸し上がった彼と彼よりも長く君臨し、無敗を誇る『剣王』なのだから……。
レイアスはリオルを見ているが暫くすると僅かな溜息とともに目を閉じた。リオルは変わらず落ち込んでいたがレイアスの溜息を聞きつけ少しムッとした感じでレイアスに話しかける。
「……あんた『剣王』だとか言われてるらしいけど、流石に闘う相手の前で溜息はないだろ?そんなんだと足元すくわれるぜ?」
「…………はあ…。人にそんな事言うならせめて自分の技術を磨いてから言ってみろよ…。口だけの奴はモテねーぜ?」
露骨に呆れの表情と態度でリオルに返すレイアス。
うわあ……あからさまだなあ…あんな返し方したらリオルなんて……。
「なっ…!そ、そこら辺の奴よりは腕がたつぞ!?ただSSになった訳じゃないぞ!」
「…………なんか……お前アホとかよく言われねえ?こんなのが本当にいるとは思わなかったな……。いいから早くかかってこいよ。俺に傷を負わせることが出来たなら少しは考えてやるさ。」
「……ぜってー傷負わせて負かしてやるよっ!!」
レイアスの挑発とも言える発言にリオルが叫んで返すと同時にダンっと音を立て跳躍し回転を加えながらの飛び蹴りをレイアス目掛けて放つ。
それに対しレイアスは軽く溜息を付くと軽く後ろに跳び離れる。リオルはレイアスが元いた場所に勢いよく突っ込んでいきドガァン!と派手な音をたて土煙が立ち込める。が、刹那の間にリオルがレイアスへ向かって飛び出してくる。
レイアスは軽く跳躍するとリオルの突っ込むタイミングに合わせて回転し踵落としをするがリオルは腕をかかげてガードする。
レイアスはもう1度体を回転させ逆の足で再度踵落としをする。腕で受けたリオルの足元の地面に少し亀裂が入る。
ぐっとリオルの口から声がもれる。リオルは地面を強く踏みその場で宙返りをするようにレイアスを地面に叩き落としにかかる。
レイアスは足が離れた反動を利用し更に体を回転させ、最中に体を縮こませる事で回避する。
そして互いに少し離れた所に着地する。リオルは若干息を乱しているがレイアスは涼しい顔をしている。それがリオルに更なる怒りと屈辱をもたらす。そしてまたレイアスに向かって突っ込んでいくが攻撃を当てられない……そんなやり取りを数回繰り返した後、涼しい顔のままのレイアスが息を切らしているリオルに声をかける。
「……はあ…。お前、よくそれでSSになれたな?俺、そろそろ付き合うの飽きたからさっさと棄権とかしてほしいんだけどどうよ?」
「ふ…ふざけんなっ!!そんな余裕見せていられるのも今のうちっ…!?」
リオルが言いかけていた言葉は一瞬で距離を詰めてきたレイアスによって地面に叩きつけられ中断される。
「わかんねー奴だな……傷負わせることも出来なければ先に息を切らしているお前がこのままやったって俺に勝てるわけがないだろうが。まして俺は武器を使っていないしな。これが解るか?自分から負けるのが嫌ならこっちで叩きのめしてやるだけだよ。解ったか?さあ、どうする?」
「ぐっ…………くそったれええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!っ!」
腕一つで押さえ付けられた体を動かそうとするがビクともせず、胸のわだかまりを少しでも減らそうと叫ぶリオルだったが途中でレイアスからの首への一撃で意識を刈り取られる。
「……勝者、レイアス!!やはり王者と言える圧倒的強さ!このまま優勝してしまうのか!?」
司会者が叫ぶと同時に観客達から大歓声があがる。
うーん……まあ、リオルが負けるのは予想通りだけど……ここまで圧勝するのは予想外だったかなあ……。前より強くなってる…?
異色の身なのにどれだけ強くなるんだろうなあ…?(笑)
戦闘描写……相当拙いと思いますがご容赦を(ノ)・ω・(ヾ)