一生の一瞬
蝉が、鳴いている
蝉が、泣いている
どうして 蝉は
知っているのか
わたしは 知らない
生きる 意味を
生きる 場所を
嬉しい時に 歌う歌を
悲しい時に 流す涙を
死ぬ 悲しさを
その理由を 知らない
教えられて
掘り込まれて
本を読んで
確か何かを覚えた筈なのに
何倍も生きて 生きて
生きているのに
一週間の人生よりも
多くのこと を知りはしない
言葉にならないものを
知らない
それが 悲しいことなのか
それすら
よく わからない
元から 知らないのか
失くしていったのか
知らずに 知らずに
生きて いく
蝉よ 蝉よ
きっと お前の方が
永遠