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FD-煽りで始まる新世界  作者: Yuzi
一章
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1 地獄ですか? いいえ、ゲームです。

 目を覚ますとそこは見知らぬ部屋だった。

 少し見回しただけだが、おかしな点がある。窓がないのだ。

 それに扉がものものしいというか、とても頑丈そうだ。扉を開けなくてもいいようにか、下の方に受け渡し口みたいな構造が見て取れる。

 家具とかはそれなりに良さそうだが、大きさが不自然に大きい。

 家具が大きい理由はわからないが……まあ監禁部屋ですね。

 なんで俺がこんな目に……。


 は!? そもそも俺は糞女に押され、電車にグチャってされたはず。

 その後、巨人に守られながら、巨人ごと左腕を食われた……んだよな? 改めて考えると色々とおかしいよな? 巨人にドラゴン、それなんてファンタジー?

 それに俺は生きているのだな、意識を失ったから完全にそのまま食われて死んだと思っていた。

 素直にそこは嬉しい。二度も死にたくはない。

 だが、これからは左腕を失った状態で生きていかなければならないのか、これは想像以上に大変だろう。

 悲しみを感じつつ、左腕があった場所を掴んだ。

 ━━うん、左腕あります。

 いや、ぶっちゃけあるのは感じていたし、目でも見えていたんだけど、信じられなくて無視していたんだけど、やはりあるんだな。

 というか本当にコレ、俺の左腕なのか……腕一面に真っ赤でキラキラと輝くような鱗が生えて、手首から先が龍の頭部になっているコレが、俺の左腕か……


 ん? なんか龍の口内に何かがある気がする。

 なんだろうと思ったら、頭の中に文字が浮かんできた。



 ━━アイテムボックス━━


 土下座くん×1



 こ、これは!?

 今朝、ファイナルドラゴンで手に入れたレアドロップ、土下座くんではないか!

 効果は、土下座くんを使う一つ前の行動をなかったことにできる。

 これを使えば、龍の頭部ともお別れ、できねぇし! 一つ前の行動って左腕を掴んだことだよな? もしくは寝ていたこと。使っても意味がねぇ!

 しかも、ゲーム中で使うと、『後生です、何卒、先ほどの行動はなかったことに!』と土下座しながら謝るおっさんが現れ、使用前の行動がなかったことになるだけ。

 戦闘ターンを戻れるわけではない。ギャンブル的な技での失敗をなかったことする為だけに使われる、あまり使いどころのないアイテムなのだ。

 なのにドロップ率激低、なんでレアドロップなのか、制作側に問い詰めたいアイテムなのだ。

 土下座のエフェクトが見たくて、手に入れたときは嬉しかったが、結局使わずに死んでしまったな……

 いや、待て! 土下座くん!? え、まさか、まさかだけど、ファイナルドラゴンの世界に入った、とか、言わないよな?

 厨二小説の読みすぎか……

 でも俺の左腕、ドラゴンになっているし。

 いや、そういえば龍の口から剣を取り出す敵、いたよね? え、嘘!? アイツ?


 落ち着いて考えてみた。

 ここがファイナルドラゴンの世界だとしたら……ここは地獄だ。人間が生きていくには辛い環境だ。

 何せこのゲームはどう足掻いても人類滅亡エンド真っしぐらなのだから……

 そんな事実を信じたくなくて鏡を見に行く。

 そこに映ったのは5歳くらいの、俺の特徴を色濃く残しながらも西洋系の顔立ちをしたイケメンだった。

 ただし、髪は赤黒く、不吉な感じがした。

 ……やはりファイナルドラゴンの世界なのか? そして俺自身がラスボスであるファイナルドラゴン、なのか?

 左腕が龍、赤髪、そして龍の口からアイテムを出す、記憶違いかもしれないが、気を失う時に聞いた、ドラゴンイーターのスキル……本当にヤバいかもしれない。

 事実を認めだしたら、ドラゴンイーターで喰らった龍の知識が流れ込んできた。


 ……喰らった龍は継承龍、か……

 認めなきゃならないな、俺は今、ラスボスであるファイナルドラゴンの身体に意識が乗り移ったようだ。

 基本的な情報はゲーム時代と変わらないようだな。

 巨人の謎も判明、俺が子供で彼らが大人だった、それだけだ。

 それにしても煽りすぎて新たなる世界の扉を開いてしまったようだ。


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