act.2
遅刻の日から一日たった。
ハンカチはきちんと洗濯して、自分なりに可愛い袋にいれて、一応クッキーも焼いてみた
ハンカチには天音とかいてあった
天音さん…って可愛い名前だな…
どこのクラスかわからないけど
あの身長からしたらたぶん高校三年生、
つまり、同級生だろう
みんなと距離を置いてたから
名前なんてあまり覚えてない
亜子にきいてみようかな…
教室に着くと亜子は斎藤と話していた
「…亜子」
消えそうな声で亜子を呼んだ。
亜子はすぐ気づいてくれて駆け寄ってくる
「⁈今日は…寝癖ついてないじゃん!」
「う、ん。あのね、天音って人知ってる?」
一瞬固まったあと、亜子は首を傾げる
「んー?ごめん、私、優愛と祐介にしか興味ないからなー」
「…ばか。好きだけど」
ちょっと恥ずかしかったけど言った。
「でも どうして?」
「え、あっ、ただ用事があって…あ、斎藤にきいたら生徒会長だし、わかるかな?」
亜子は何か腑に落ちなさそうな顔をしていたが気にせず斎藤に話しかけた
「天音って人知ってる?」
「知ってるけど?なんで?」
⁈斎藤…知ってるの⁉︎
「何年何組か教えて!」
斎藤と話したくないけど、天音さんのためだから仕方ない!
斎藤の反応はとても嫌そうなものだった
「…やだ。」
「!なんで?!」
「なんで優愛こそ天音のこと聞くんだよ」
「用事があるの!」
「だからなんで」
斎藤が怖かった
「どうして斎藤は教えてくれないの?」
「天音はやめとけって」
頭にきた
「あ、あんな綺麗で細くて優しい人が悪い人なわけないもん!ただ返したいものがあるだけだもん!ばか!」
教室で思わず声を張り上げてしまった。
周りがこちらを見る
「はぁ…3-Eだよ…勝手にしろ」
斎藤は不機嫌そうに帰って行った。
亜子が珍しく慌てている
「優愛、大丈夫?」
「ご、めんね?ちょっと、感情的になっちゃっただけ」
周りのひそひそ声が絶えなかった一日だった。
放課後急いで3-Eへ向かう
ちなみに私と亜子は3-Aだ
3-Eに行くとやっぱり知り合いなんかいなかった
ドアの前でうろうろしていた
「あれって、Aの優愛ちゃんじゃね?」
「うっわ、かわいい!」
「ほそっ、てかなんで?Eに来てんの?」
「俺聞いてくる〜♪」
「無理だろ笑。男嫌いらしいぜ?」
「?まじで?まあ行ってみるわ」
一人男の人がこっちへきてる?
見てる?こっち見てる…
「ねえ、優愛ちゃんだよね?誰に用事?」
「…」
「…あれ?…っと…優愛ちゃんだよね?」
なんでこんなイケメンが話しかけてくんのよ!
周り見てるし、耐えれない!
「あの、こ、これ、天音さんにお願いします!さ、さようなら!」
急いで立ち去る
は、恥ずかしかった!
「天音さん…?」
イケメンは気付いてしまった。
その日は恥ずかしくて家まで走って帰り
悶々と自分と戦った
天音さん…友達になってくれないかな…
なんて…おこがましいよね。
ちゃんと話したことなんてないし。
でも、また。
会いたいな…
あ。
また校舎裏に行けば会えるかも!
明日朝行ってみよう!
その日は楽しみでなかなか寝れなかった。
次の日
髪の毛は綺麗にセットして
制服もちゃんと着て
家の塀をよじのぼった。
着地すると
足元には誰かが寝ていた。
校舎裏は木と草が生い茂っていて
全体的に暗い感じだ
木漏れ日がとても綺麗だった
寝ていた人はガバッと起きた
「誰!」
「ひゃ!?」
いきなり起きて大声だすからびっくりした!
天音さんじゃないのか…
てか男じゃん!
逃げないと…
「あれ?優愛ちゃんじゃん」
昨日の人?
「あ、おはようございます?」
「かわいいねーやっぱり」
あはは…あ。それより…
「あの!天音さんに渡してくれましたか?!」
「えっ?あの袋だよね?」
「はい!」
「天音には渡ってるけど?」
「よかったー!私、天音さんのファンみたいな感じなんです」
「⁈え?まじで?!」
「はい!ここで塀から飛び降りたところを見られて、まあ、助けてもらったんです。女の子であんなに優しくしてくれたの亜子以外にいなくて、、。」
「…」
男が黙り込んだ
「あの…よかったら天音さんのこと教えてくれませんか?」
「え?あ、いいよ?」
「天音さんってどんな人ですか?!」
「んと、なんて言えばいいかなあ………」
彼は困惑していた。
「…直接、遊びにでも行ってみたら?」
「えっ、でも、天音さんは私のこと知らないし…」
「俺が言っとくし!、な!チャイムなるし、じゃ、後でまた言いに行くよ」
「あ、はい!ありがとうございます!」
私はとても喜んでいた
亜子にも気持ち悪がられるくらい。
放課後に彼が来た
周りなんか気にならなかった。
「大丈夫だって。明後日の日曜日、大丈夫?」
「あ、はい!」
「じゃあ、10時○○駅で待ち合わせね、じゃ」
「ほんとにありがとうございます!」
嬉しかった
亜子に駆け寄っていく
一つ問題があったのだった
「亜子!明日買い物いこ!」
そう、服を買わないと行けないのだ
土曜日は亜子と買い物に行くことになった
亜子に任せる形で服を選んでもらい
はやめに寝ることにした。
天音さん…
口元が緩んで仕方なかった。