表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
tremendous love  作者: yion
1/4

act.1

 


 下心のみえみえな奴らの連絡はやっぱり嫌で


 でも、返事を律儀に返す私はもっと嫌だった


 自分が好きだから

 自分をよく見せたいから


 八方美人なのはわかってたけど

 そんなの私だけじゃなかった。




『おはよ〜!今日城ヶ崎の夢見たよ〜。』


 実に不快だ。

 勝手に私の夢みんなっ!


 (じょう)(さき)優愛(ゆあ)

 高校生三年生


 朝起きて携帯を見るとこれだ。

 不快だ。

 いや、別にこの送り主が嫌とかそういうのはないし

 むしろ顔良し、スタイル良し、勉強は知らない。


 ただ、こう、毎日毎日おはよーとか送られても

 返事に困るのだ。


 とりあえず返事はせずに、準備をして家を出る。



 学校は近くて徒歩五分ちょいくらいだ。

 直線で行けば裏から侵入して30秒で着く。

 家の真後ろが学校なのである。

 本当に遅刻しそうな時はそれで行こうかなとか思っています。


「おはよ」


 門で生徒会の斉藤飛樹也に挨拶をされた。


 斉藤(さいとう)()()()

 高校三年生

 幼馴染。

 黒髪のメガネだ

 どこぞの恋愛ゲームのキャラだよってくらいの

 イケメンらしいぞ


「はよ、朝から偉いな。」


「ああ、お前さ、寝グセくらい直してこいよな。」


 この学校は8:30までに門をくぐればセーフなので

 私はいつもギリギリに来るし、ギリギリに起きる。


 斉藤がポケットからワックスを取り出し

 私に手渡した。


「は?」


「使えよ。女子力低いんだよ」

 斉藤が軽く微笑んだ


「別に女子力とかいらない。誰かに媚を売る気なんかないし、男子にどう見られようと関係ないから。」


「優愛はさ、顔とかかわいいのに、性格きついよな」


 斉藤は苦手だ。

 言ってることはあっているし、外見とかが生理的にうけつけないとかじゃないんだ。


 分かられてる気がして嫌なのだ。


「ま、俺がおるから、なんかあれば言えよ?」


「なにも、困ってないから。じゃ。」


 私は教室へ向かう。



「斉藤先輩っ」

 生徒会の後輩が斉藤に話しかける


「さっきの人って、男嫌いで有名な城ヶ崎優愛先輩っすよね?!話せるんすか?!」


「あぁ、まあ、幼馴染。」


「幼馴染なのに、何で、名字で呼ばれるんすか?」


 斉藤は軽く微笑んで

「秘密」

 とだけ言って、教室へ向かってしまった。




「おはよ〜‼︎優愛‼︎今日もその個性的な髪型素敵‼︎…とでも言うと思ったか‼︎馬鹿‼︎直しなさいよ‼︎寝グセくらい‼︎」


 この無駄に明るいのが

 一葉亜子(ひとつば あこ)

 髪の毛は金気味のブロンドのロングで軽くウェーブがかかったような、派手な女の子だ


「朝から騒がしいな…亜子。」


「もう‼︎私が直す‼︎ワックスとかないの?」

 斉藤から借りたやつを出す


「あるならやりなさいよ〜。も〜…」

 と文句をいいつつ髪型を綺麗にセットしてくれる。

 亜子は私の大好きな友達だ。


「ってか聞いてよ!昨日祐介がさあ〜!」

 いつもの彼氏の愚痴、ノロケが始まる。

 聞くのは嫌いじゃない。

 亜子のことは好きだから。


「優愛いる?」

 斉藤の声がした


「?斉藤が呼んでるけど??」

 亜子が可愛く首を傾げて言う。


「あぁ、多分、このワックスだ」


 斉藤にワックスを渡すあいだに

 まわりはやっぱり噂する。


「付き合ってんのかな?」


「付き合ってはないらしいけど…?」


「あんな美男美女で幼馴染ってうらやましい!」


「城ヶ崎さんと話せるとかいいな〜」



 そうは言いながら私に話しかけてこないじゃん。

 女子は態度が悪い、男子の気を引いてる

 など言って寄ってこなくて


 だからそれが嫌で男子に冷たく当たっても

 何も解決しなかった


 だから男子には関わらずに生活していきたいんだ。



「ワックス、ありがと、じゃ」

 と言って斎藤を追い払う




 その日もいつものように亜子とだけ話して

 学校を終わらせた。



 正門に斎藤が立っていた。


「優愛、一緒にかえろーぜ?」


「は?五分で着くんだけど?」


「いいじゃん」


「勝手にしたら」


 正直斎藤といると噂になって

 また女子から距離を取られるから嫌なのだ。


「あのさ?優愛。俺思ったんだけど、俺と付き合おうよ笑」


「…はぁ⁉︎」


 何言ってんの?こいつ?頭大丈夫かよ

 男はどちみち嫌いなんだよ


「特定の人作ったら、男子も寄ってこないし、女子も警戒しなくなるよ?」


 ちょっと確かにって思ってしまった。


「…うるさいなぁ。家ついたし、じゃあね。」


「うん、じゃ」


 そう言って斎藤は隣の家に入っていく



 彼氏…かあ…


 好きな人なんて考えたこともなかったな…


「おかあさー…あ。今日も帰らない日か」


 お父さんは海外でバリバリ社長やってて

 お母さんは親の介護でほとんど家にいない。


 この広い家で一人なのもだいぶ慣れた。



 彼氏、好きな人…


 そんなことを考えながら眠りについた。







 目を覚ました。


 時計を見た。

 8:25…?

 え?!

 やばい!遅刻!



 制服に着替える


 裏道…!やってみるか!


 家の塀をよじのぼる


 身体能力は自信ありますので。

 飛び越える、華麗に♪


「間に合っ…」


 二メートルの高さを飛び降りる私はもちろん

 スカートは大変なことになってて

 もちろん中身の下着は丸見えなわけで

 こんな遅刻ギリギリの時間に校舎の裏にまさか人がいるとは思わなかったわけで


 そちらに意識が行ってしまい

 着地も失敗して草だらけの地面に転げ落ちてしまった


 その転げ落ちた後の姿も残念で見るに耐えれないものだった。



 あれだよ。

 別に誰からなんと思われようが

 どうでもいいとか言ったけどさ、やっぱりさ

 人間としてさ?

 なんかその…死にたい。



 そこにいた人がこっちに来る音がする。

 ああもうほっておいてよ〜♪

 頭で初音ミクの深海少女が流れる


「これ…じゃ…」


そう言って私にハンカチを渡した。

 チラッと見えたのは長いストレートの髪に

 大きな身長

 よかった!女の子だ!

 スカートだったし!

 ハンカチは紺でクールな感じで…

 うわあ…なんか女子に優しくしてもらったの久々だから

 感動…。




 !?

 チャイムがなっている!

 ダッシュで校舎に入る


 草と葉っぱと泥だらけの私が教室に入ると

 やっぱりみんなが注目。

 亜子はブチ切れている。


 そして亜子に説教をくらった


 女子なんだから!と。

 でも、私は


 朝会った女の子を探したくてうずうずしていた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ