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策士テイマー&電脳少女〜AIが覚醒した結果、神に狙われるようになったVRMMO配信〜  作者: ジッロ
一章 【配信事故】初心者配信者、ドラゴンを強奪してしまう
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六節

トマリの森での戦闘は順調に進んでいった。時々ダメージを負う事もあるが、問題ないレベルだ。

レベルは6に上がり、ゴブリンの装備も一新。正に敵無し。


「次のトウゴウ村は推奨レベル7か。

 ここまで余裕あったし、このまま進んでもいいな」


コメント欄も肯定的だ。


『そんだけ戦えるなら問題なし』

『エリアボスとかテイムしてほしい』

『トウゴウの次のハワイに入る手前』

『さすがにエリアボスは無理だろw』

『エリアボスまでテイムできるならぶっ壊れ』

『要検証』

『はよ進んで』


何と身勝手な。ただ確かに、エリアボスってテイムできるのだろうか?

今のところ、どのモブにもテイムは効いている。しかしHPを減らすまで、確認出来ていないのが難点だ。


「設定でアイコン表示変えられないかな……」


呟きつつ、設定画面を出す。しばらく設定を漁っていると、それらしき項目を見つけた。


「お、これか。

 エクストラアビリティの詳細……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

テイムアビリティに関する設定


テイム可能表示:可能時のみ

生物への指示:口頭

召喚エフェクト:派手

館内生物への指示:休眠

生物への経験値共有:オン

              ………他

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


思ったより項目が多い。しかもスクロールすれば、まだまだ設定できるところがあるようだ。作り込まれてるなー。


『ちょい設定アップして流して』


「あ、いいですよ」


カメラを近づけて設定画面を一通り流して見せる。


とりあえず

・テイム可能表示を常時

・指示を思念へ変更

これでテイムが可能な生物には常にアイコンが出る。

HPが1割を切れば色が変わるはずだ。

探索再開。トマリの森を歩き出す。すると前方から人型のシルエットが現れる。


ーー今までとは明らかに違う背格好。

俺は茂みの中へ身を潜めた。よく観察すると、プレイヤーの様だった。

数は2人。年若い男と女。俺と同じ歳くらいだろう。

2人はコボルトやレッサーフェアリーの群れに囲まれており、戦闘の真っ最中だった。


「せいやッ!」


男が刃渡り1mほどの大剣を振るい、コボルトをポリゴンに変える。肩には赤いドラゴン。ファイヤドラゴンだ。いいなー。男の動きをカバーするように火を吐いている。


ドラゴンいいな……いや、良くない良くない。俺のはレアアビリティだぞ。レア! ゴブリンを従えてるプレイヤーなんて俺だけだ。

男が戦う後ろでは、女が詠唱を唱えていた。その肩には緑色の竜が留まっている。


「風の竜がここに存り。

 空を駆ける風。

 集めて成すは竜の爪。

 ウインドカッター!!」


風の刃がレッサーフェアリーを三匹まとめて両断する。

戦士と魔法使いのパーティー。ドラゴンの加護もあり、そこそこ戦えているようだ。

女のドラゴンに目が向いた、その時。


「!?」


心臓が跳ね上がった。コメントが即座に理由を告げる。


『ドラゴンにテイムマーカー着いてね?』


その通りだった。女の肩のウインドドラゴン。

その頭上に、モブと全く同じテイムマーカーが浮かんでいた。コメント欄が爆発する。


『マーカー着いてるって事はテイムできるってこと?』

『人のドラゴン奪えんの?』

『マ?』

『ま?』

『MA?』


怒涛のコメントだ。俺と同様の考察を思い浮かべたらしい。内なる俺が勝手に口を開く。


あわわわ。

テ、テイムできるんでしゅかぁ〜?

人のドラゴンを??

でもでも、RFOのドラゴンってずぅーと連れ添ってくれる相棒なんですよ〜。


ダメだ。IQが限りなく0に近くなっている。もう辛抱黙らん。俺は茂みから飛び出す。

二人組は戦闘を終え、リザルト画面に視線を向けていた。しかし姿を現した俺に気付き、男が声をかけてくる。


「もしかして、さっきのモンスター狙ってました?

 すみません、もう……」


うるせえ、黙れよ。俺は返事をせず、2人との距離を縮める。


「なんですか? し、失礼ですけど大丈夫ですか?」


「ねえ、ナオキ君あの人変じゃない……」


うるさい。よこせ。


「ちょ、コッチに来ないでください!」


男は女を庇う様に前に出て、剣を抜く。もう止まらない。止められないのだ。

俺は無言のまま、近づいていく。ふと視聴者の数字に目が留まる。

【視聴者数:30】

ああ、視聴者まで最高潮。俺ってやっぱりツいてる……。

視線を男に向け直し、歩みを進める。


「プ、プレイヤーキラー!?」


男が叫んだ瞬間、俺は短剣を抜いて駆け出した。同時に女の後ろにゴブリンを召喚。


「ウギャ!!」


「こ、こんな時に!?」


野生のゴブリンがポップした、と思ったのだろう。

男の注意が後ろに向く。その瞬間、俺はぐっと距離を縮める。ガラ空きの男へ、刃を突き立てる。

しかし意外にも、彼は剣で受け止めた。

鍔迫り合いになる俺と男。

男は更に話す。


「こ、このゲーム、PKしたら1日中レッド表示が付きますよ……!」


きっと初めてプレイヤーに襲われたのだろう。

彼の表情には若干の怯えが見える。

ああ、そそる。


「聞いてますか!?」


関係ないね。そんなデメリット以上の価値を君たちは持っている。だが、自分達の価値を、俺の真意を彼は知らない。その事実が俺に笑みを作らせる。


「うひひひ」


「き、キモいですよ!」


男の言葉を皮切りに鍔迫り合いが解かれる。両者の刃が打ち上がった。

ーー大きな隙が生まれた。

俺はすかさず男の背後にゴブリンを召喚。


「ウギャ!」


館から飛び出たゴブリンは、男を羽交締めにした。驚愕の表情を浮かべる男。今度こそ、短剣を男の胸に突き立てた。


「うぐ……っ」


近接のコイツさえいなければ、ソロのリトルウィザード等かかしも同然。まずはコイツのHPを削り切る。


「ナオキ君!」


ゴブリンと相対する女が叫ぶ。しかし俺は止まらない。何度も何度も短剣を突き刺す。

さあ、無様にポリゴンの塊となるが良い!

ーーいつまで経っても男は死なない。


「?」


その内、男は後ろにいたゴブリンを掴んで適当に投げ飛ばし、何食わぬ顔で俺を見据えた。


「弱く無いですか?」


「……。あれ?」


俺と男は顔を見合わせる。


「えと……。ごめんなさい」


次の瞬間、男の剣が振り下ろされた。俺のHPは0になり、視界が暗転した。


【視聴者:8】

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