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AI棒(あいぼう)と行くVRMMO配信 ~外道プレイヤーの邪道攻略~  作者: ジッロ
一章 【配信事故】初心者配信者、ドラゴンを強奪してしまう
18/20

十七節

RFO黄金攻略の内容については、読み飛ばしていただく事を推奨いたします。

物語の内容にはあまり関わりません。

視界内に現れた異様なウィンドウ。


「これが巻物ウィンドウですか」


日本の巻物をモチーフにしているようだ。

古紙に近い質感である。


「ここに特定の文字を記す……。

 んで、特定の文字ってなんだ?」


俺は疑問の答えを求め、スキル概要欄をチェックする。

しかし、その答えをくれる文言は無かった。


「っとなると、RFO内にはスキル発動に必要なヒントは無いのか?」


流石にノーヒントで、一つ一つの忍法を探すのは無理だ。

そう考えた俺は、この難題を抱えることになった元凶へ問いただす事にした。


「リスナーさん、印の発動に必要な文字って、どこで見られますかね?」


『ネットで調べる』

『検索するしか無いよな』

『ツツジって村に行ったら教えてくれるらしい』

『ツツジ村に行ったら忍者屋敷がある』

『忍者屋敷の屋根に書いてある』

『このゲーム忍者屋敷なんてあんの??』


「あー、忍者屋敷に行ってる時間は無いので、ネットで調べてみますね」


『それがイイ』


リスナーが推奨する通り、俺はサイシスの機能を使うとしよう。

サイシスはゲームをプレイ中でも、他アプリの機能を使う事ができる。

ネット閲覧の機能を呼び出し、「RFO 印スキル」で検索をかけた。


「お、すぐ見つかりましよ。

 ただコレ……は……?」


目的のサイトはすぐに見つかった。


名前は「RFO黄金攻略」


RFOについての攻略をまとめたサイトで、大抵の事は記してあるサイトである。

RFOについての調べ物をする際には、俺もよく使用している。

ここに載っている情報であれば、信憑性は高い。


ただその信憑性の高さ故に、俺は記載された内容を見て目を丸くした。

以下そのサイトの内容である。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

印スキルについて


はじめに、忍者という名前に惹かれてこのジョブを選んだ貴方へ。

このスキルさえマスターできれば、忍者ジョブを完全に扱う事ができます。しかし、筆者を含め大半のユーザーはそれを行う事ができず、ジョブツリーをコンプリートする前に投げ出してしまいました。


その原因となっているのが、このスキルです。

このスキルはあらゆる場面に対応可能ですが、正直に言ってしまうとクソ弱いです。

そもそも他のスキルはスキル名を発声するか、対応するモーションをとるだけで発動できるのに、コイツはいちいち巻物ウィンドウへの記入を要求してきます。

その時点で他の戦闘スキルに劣ります。

確かに攻撃、付与、防御、回復、回避全てに対応できるのはこのスキルの強みですが、パーティープレイ前提のこのゲームにおいて全てをこなす必要は皆無です。

よってこのスキルは器用貧乏である。

QED。

ただここまでの設計なら、まだ救いようがあった。

全てにおいて可能性があるなば、ソロプイヤーの様に、多彩さを求められる人にとっては非常に優秀なスキルとなり得るからだ。

しかしながら、最後の致命的弱点がこのスキルの評価を下げている。

それはこのスキルが我々日本人にとって使い馴染みのある漢字やアルファベットでは無く、ルーン文字と言う一般人には理解不可能な文字を要求するためだ。

筆者はこの事実を知った時、ゲームの開発会社を疑った。


何故? と。


ルーン文字と言えば、かの有名な【ためしの遺跡】をクソダンジョンたらしめた元凶である。

この文字列は非常に難解かつ、記憶から抜けやすい性質を持つ特殊な文字群として有名だ。

この文字を覚えるくらいなら、エジプト文明の象形文字を丸暗記する方が早い。

なぜこの様な………。

             ……以下略。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「サイト管理者、印の事めちゃくちゃ嫌ってないか……?

 他のページは割と丁寧に書かれてるのに」


本当に、同じ筆者によって書かれているのか、と疑問が浮かぶ文面である。

まあ面倒で十行目辺りから読んでいないが。


怨念の籠った前置きを飛ばし、スキル発動に必要な文字を探す。


一番初めに書かれていたのは、エンチャントをするための文字群だった。


どうやら汎用性がとても広いらしく、

エンチャント系統の忍術だけでも50以上ある。


「とりあえず一番最初に書かれてる、火属性エンチャントから試しますか。

 えーっと、巻物ウィンドウを呼び出して、このルーン文字通りに……」


俺は巻物ウィンドウを呼び出し、サイトに記されたルーン文字を書き始める。


「ここがこうなって……。

 真っ直ぐ行って、曲がって、下りる。

 今度は下から……。」


慣れない文字に苦戦しつつ、書き進めること20秒ほど。


文字列が完成しかけたところで、巻物ウィンドウがおかしな挙動を始めた。


ーー巻物がヒラヒラと宙を舞い始めたのだ。


「な、なんだ!?」


視界に警告文が表示される。


【スキル受付時間を超過しました】

【五秒間のペナルティが発生します】


二行の文字列が現れた後。


巻物ウィンドウはコチラへ迫る。

立ち尽くす俺を、蛇のように縛り上げたのだった。


「んな!? なんだよコレ!」


巻きついた巻物を振り払おうと、手足をバタつかせる。

しかし、絡まったソレが緩む気配は無い。


スキルの説明欄にあったペナルティとはコレの事か。


少しだけ冷静になりつつ、考える。


【印:行動封印 残3秒】


異常状態か?

どうやら、この行動阻害は、毒や麻痺と同列の物であるらしい。


残り時間の間カウントを見守る。

0になったのと同時に巻物の拘束から解放された。


「これが印のペナルティ……。

 マジで全然動けないのね」


一旦、状況を整理していこう。


「スキル発動には、この三文字から六文字くらいのルーン文字を巻物ウィンドウに書く必要がある。

 受付時間は20秒。

 その間に書かないと、ペナルティで行動阻害。

 でも俺はルーンが理解不能。

 まあ見本を見ながら、頑張れば書き切ることはできるだろうけど」


発動するだけでも十分に困難だ。

そしてそれ以上に。


「戦闘中に、このサイトの中から発動させたいルーンを見つけて、ちまちまウィンドウに書くとか無理では……?」


口に出してみると、一層難解なスキルに思えてくる。

落ち着け。落ち着け俺。


まだルーン文字に見慣れていないからだ。

きっとそう。

だから大丈夫。怖くない。


「……異常状態系の忍術だけでも練習しよう」


俺は黄金攻略のページを見つつ、ルーン文字を模写していく。

今度は時間制限に引っかからないよう、スピード感を重視。

見よう見まねの文字を書き殴る。


「よし、書ききったぞ!」


狙い通りに時間制限内にスキル要件を満たした。

これで忍術が発動する。

そう考えていたところ、予想とは異なるメッセージが出現した。


【規定外文字を検出しました】

【五秒間のペナルティが発生します】


「は?」


予測外の文字に、思わず声が漏れる。

あっけにとられる俺を無視するように、巻物ウィンドウが動き始めた。


それはするすると俺の手元を離れていき、瞬く間に俺を拘束する。


「は? なんでだよ! 俺の字が汚くて読めねえってか!」


ゲームシステムからは返事は無い。

その代わりに、蚊帳の外にいたはずのリスナーから幾つかのコメントが流れてくる。


『その通りですww』

『さっきのでルーン文字のつもりかww』

『書けばいいってもんじゃないからな~』


他人事だと思って好きな事を書きやがる。

まあ、俺も自覚しているくらいには酷い文字であった。


リスナーのコメントを眺めている間にペナルティの時間が終わる。

巻物の拘束から解放された。


「…………」


『どした?』『黙るの珍し』

『練習はよ』


「皆さん、もう練習しなくていいですか……」


『ダメ』『ダメ』『ダメ』


「…………」


クソ。泣き脅しも効かないか。



*****



結局、昨日はほとんどの時間を忍術の練習にあてた。

しかし得た物は無かった。


アレを戦闘中に発動させるのは無理だ。


俺の脳みそは一つ。

人間、一度に実行可能な事には限りがあるのだ。


攻略サイトをスクロールさせながら、

あるいは文字を書くことに意識を割き、

モンスターの相手をする。


ムリ。ムリ。ムリ。

俺にはできない。


ただ、だからと言ってジョブを変更する事はできない。

リスナーとの約束だ。


それに現状、レベル差とゴブリンナイトだけでも十分に戦えている。

スキルの事は一旦思考の端に追いやって問題ないだろう。


あいりんは申し訳ないが、スキルの件は思考の外に追いやる。


「とりあえず今日はこのまま進ませてもらおう」


俺は先に進む二人の後を追って歩き出した。


【視聴者:42】

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