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AI棒(あいぼう)と行くVRMMO配信 ~外道プレイヤーの邪道攻略~  作者: ジッロ
一章 【配信事故】初心者配信者、ドラゴンを強奪してしまう
14/21

十三節

ハアイの街にて。

街行く人へ、片っ端から視線を合わせる。


若い女性。男。

空を仰ぐ老人。

走る子ども。


これらはNPC表記がある人達だ。

ノン・プレイヤー・キャラクター。


彼らは特殊な力を持たない一般市民。

世界観を構築すると言う意味では、そこらの建築物と大きく変わらない。


話すオブジェクト。

そう捉える事ができる。


故に彼等は、ゴブリン等のモンスターとは異なる存在である。


ゲームシステムに守られているはずの存在。

しかし、彼らの頭上にはテイムマーカーが出現していた。


ーーなぜ突然……?


そう考えた時、思い当たったのは、テイムに関する設定だ。


テイム可能生物には常時表示


そう設定した。

その影響なのは間違いない。

しかしながら。


「マジかよ運営……。

 NPCまでテイムしろってのか?」


テイムマーカーがあるとはつまり、テイムが出来ると言う事ーー


言葉にすると混乱するな。


この問題は、俺のキャパシティを超えている。

とにかく、誰かの意見を聞きたかった。


「リスナーさん、今見てますか?」


『なに?』『なに?』

『見てるよ』


視聴者はそれなりにいたようだ。


「NPCにテイムマーカーが着いてるんですが、これってどう思いますか?」


『バグの可能性が高い』

『バグ』『バグです』

『仕様です』

『絶対テイムするなよ、BANくらうぞ』

『試しに一人くらいやろう』


「BANは怖いですね……」


バグの可能性が高い、と言う意見が多いようだ。

言われてみると、そんな気がしてきた。


これがバグなら、運営から規約違反としてアカウントを消去されてしまう事もある。

通称BANだ。


「一旦運営に確認する事にします」


『無難だね』


一旦話が終わろうとしたところ。

一つのコメントに視線が向かった。


『もしも仕様なら、NPCをテイムするの?』


それは仮定の話。

友達同士で言い合う、冗談の類。


俺は顎に手を当てて少しだけ考えてみた。


「NPCって強いんですか?」


『弱い』

『弱い』

『弱い』

『弱い』

『例えるなら、ドラゴンのいない戦闘職みたいなもん』


「じゃあ……要らないですかね」


区切ろうとしたところで、一つの考えが浮かんだ。


「そう言えば、このゲーム。

 王様とか、お姫様が居るらしいですね」


『え』『え?』『え』


とりあえず、NPC達のテイムマーカーについては、運営にバグ報告を行っておいた。



*****



このゲームにおいて、強くなる方法は無数にある。


使用するアバターのレベルアップ。

アビリティの強化。

武器や防具の更新。

スキルの熟練度上げ。

ジョブのクラスアップ。


大きなシステムだけでも、これだけ上げられる。


せっかく大きな街にやってきたのだ。

ある程度強化要素にも触れよう。


ニョルズの石碑を経由した後、冒険者ギルドへと向かう。

俺は受付をしている女性へ話しかけた。


「あ、あの……。

 ジョブの更新を行いたい……のですが」


「いらっしゃいませ!

 ジョブのクラスアップについてのご相談ですね。

 ギルドカードのご提示をお願いします」


「あ、はい」


ギルドカードを受け取った彼女は、大きく目を見開く。


「え、最近登録されたばっかりですよね?

 こんなに早くクラスアップの条件を満たしたんですか!?」


「え、あ、はい」


8割はサイトウのお陰である。


「凄い! やる気満々ですね!

 これからも頑張ってください!」


「ありがとうございます……」


トマリの時もそうだったが、ギルドの受付嬢は元気が良い。

陽気なオーラが眩しい。


いかん、いかん。

考えるべきはそこでは無い。


ジョブのクラスは三段階。

最初は何でも無条件に設定できるが、2以降は前ジョブのジョブツリー全開放が条件となる。


今の俺なら、レンジャー系のクラス2へと転職できる。

そのためにやってきたのだ。


「ではコチラからお選びください」


そう言って、受付嬢は端末を差し出してきた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

レンジャー系クラス2ジョブへ

クラスアップを行います。


以下から選択してください。

・シーフ

・パイレーツ

・バンデッド

・スパイ

・スカウト

・忍者

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



これまた選択肢が豊富である。


事前の下調べである程度の目星は着けている。

前回の様な失敗はしない。


ただ、そこで一つの思考がよぎる。


ーーどうせなら、配信者っぽい事をしようか。


「コメント欄の皆さん、せっかくなら投票で転職先を決めましょうか」


『待ってた』『選ばせろ!』

『分かってるやん』


配信用アプリの機能の一つを開く。


今回使うのは投票システム。

視聴者が投票する機能だ。


6つのジョブを選択肢に割り当て、投票を開始させる。


「3分くらい時間を取るので、皆さん投票お願いします」


リスナーへと呼びかけつつ、受付嬢にも時間がかかる旨を伝えた。


3分が経過し、投票結果を確認する。


【投票数14】

【投票の結果、10票を獲得した忍者が選ばれました!】


そのメッセージと共に、コメントが流れ始める。


『忍者ww』『忍者』

『まあカッコいい』

『忍者悪くはないやろ』


七割近い票を獲得し、忍者が選ばれた。

投票の結果を見たリスナーは、ご満悦である。


忍者はスペック上、この6つの中では上位に入る性能を誇る。

スペック上は。


「に、忍者ですか……。

 シーフとかに変更しても良いですか?」


『ダメに決まってんだろ!』

『ダメ』『ダメ』

『通報するぞ』


「えぇ……」


人数の暴力により、俺の意見は淘汰される。


俺のゲームだよね?


しかし、配信をしている以上、リスナーに選択を委ねた物を覆えすのは良くない。


これからはリスナーに意見を求めるのは止めよう。

俺はそう心に誓った。


「はぁ……。忍者で提出させてもらいます」


ここは我慢である。

忍者に設定された端末を、受付嬢へと預けた。


「お預かりいたしました!

 貴方の新しいジョブは忍者に設定されました!」


テンプレの挨拶が返ってきた後、システムメッセージが届く。


【ジョブに忍者が設定されました】

【スキル:印を獲得しました】

【スキル:不意の一撃、罠作成、気配遮断、特殊攻撃、鞭操術を印へ統合しました】

【スキル:印のレベルが2になりました】


せっかく育てたスキルが消えていった。

正確には印とか言う、新たなスキルへ併合されていった。


俺は更に肩を落としつつ、ギルドを後にした。


「忍者かぁ……。印コマンド覚えられるかなぁ……」


『大丈夫やて』

『クラス3になるまで転職するなよ』

『ちょっと可哀想になってきたww』



*****



ギルドを出てから、俺はドラゴン探索を再開。


ハアイの街は活気に溢れている。

プレイヤーの冒険に役立つ店は当然、飲食関係の店まである。


ただゲーム内で食事をする行為は、それほどの意味を持たない。


ただ味はするらしい。

一部の人間には需要があるとか、無いとか。


プレイヤーの通りが多いのは、鍛冶屋や道具屋のあるエリア。

そこを重点的に歩く事にした。


「プレイヤーが多いと、やっぱり個性的な出立ちが多いですね」


俺は思わずそう呟く。


鳥の頭をした半裸の男。


真っ黒な二刀流の剣士。


青いタイツの槍兵。


初期装備に禍々しい大剣を所持している者など。


よく運営に通報されないな、と言う格好の人間がばかりだ。


俺の一言に、コメント欄も反応を返す。


『まあアプデ近いからな』

『もうすぐ海アプデくるから』

『ハアイ横のクラヨシにデカい港がある』


「あ、海戦アップデートあるんでしたっけ」


『二月』『二月』『二月』


「さすが皆さん、情報が早いですね」


どうやら俺よりもリスナーの方がこのゲームに詳しいようだ。


「船に乗れるようになるんですよね」


『そうそう』『so』

『主のハーヴグーヴァで泳げるんじゃね?』


「ハーヴグーヴァで海散策面白そうですね」


『海行こうぜ!』

『乗ってくれ』

『はよ行ってくれ』


「だから、また脱線しちゃうんですよ!」


いつの間にか、人通りの少ない場所まで歩いてしまったと気付いた。


「ありゃりゃ、いつの間にか知らないところまで来ちゃいましたよ。

 にしても、ファイヤ、アクア、ウインド、アースしかいないっすね」


『当たり前』

『当たり前』


「まあそれもそうですね。気長に散歩……ん?」


人通りの無い裏道の、更にその奥。

奇妙な人影を見つけた。


ーー女の子が一生懸命足を振っている。


ーー?


「何だアレ?」


気になった俺は近づいてみる事にした。


【視聴者:21】

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