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策士テイマー&電脳少女〜AIが覚醒した結果、神に狙われるようになったVRMMO配信〜  作者: ジッロ
一章 【配信事故】初心者配信者、ドラゴンを強奪してしまう
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十一節

トマリの街を出発した俺は、トウゴウへと続く森の中を歩いていた。初心者然としたプレイヤーと、何度かすれ違う。

彼らは皆一様に、肩にドラゴンを乗せていた。


――そんな不用心に、ドラゴン出してていいのか?

疑問が浮かぶ。しかし答えもすぐに浮かんだ。


ドラゴンはプレイヤーと同様に、リスポーンが適用される。HPが全損しても、時間経過で復活するのだ。

ハーヴグーヴァだって、何度もリスポーンしていたし。


まあ、考えたところで答えが出ることでもない。どうでも良いや。

歩みを進めていくと、三匹のコボルトが目の前に立ち塞がった。


「「「ガルルルゥ!」」」


相変わらずの柴犬顔。


「俺に喧嘩を売るたあ、いい度胸だ」


ダガーを構えながら、ゴブリンナイトを呼び出す。


「ウギャー!」


俺とコボルトの間に割り込む形で、ゴブリンが姿を現す。コボルトが戸惑った隙を着き、小鬼は盾と剣を打ちつけ始めた。

ゴブリンの体から、黄色いエフェクトが立ち昇る。


【ゴブリンはスキル、ヘイトタンカーを発動しました】


騎士系ジョブで習得できる、敵のヘイトを自分へ引きつけるスキルだ。

進化して使えるようになったのか!

案の定、コボルト達の視線はゴブリンに釘付けになっている。


――優秀か?

俺はモンスター達を迂回し、コボルトの背後へ回り込んだ。

気配遮断スキルを使うまでもなかった。


「「「ワンワンワン!」」」


コボルトがゴブリンへ襲いかかる。数は向こうが有利。

だがLVの差は絶対だ。

ゴブリンナイトは盾で攻撃を受け流しながら、巧みなステップで背後を取らせない。ただのゴブリンだった頃より、格段に動きが洗練されていた。


『ゴブリン強えw』

『主より強えw』


鎧着ただけ、とか言ってごめんな。

俺はコボルトの背中へダガーを突き立てる。


「ワオン!?」


何が起こったかも分からないまま、コボルトはポリゴンへと変わった。振り返る間もなく、残る2体の脇腹も穿つ。


【コボルト×3を倒しました】


「お前、スキルなんて使えるようになったんだな」


「ウギャ」


「テイムしたモンスターのスキルを確認できると良いんだが……」


「ウギャ、ウーギャギャ」


我が主人よ、それについては私にはお力になれませぬ。とでも言いたげに首を振るゴブリン。進化の影響で会話の精度も上がっているのか。


「まあいい。さっきの感じで、判断でスキルを使ってくれ」


「ウーギャ!」


ゴブリンは館へと戻っていった。



*****



道中、同じような戦闘を何度か挟んだ。

問題らしい問題は起きない。拍子抜けするほど順調だ。


まあ無理はない。

ゴブリンナイトだけでLV30前後の性能を発揮しているのだから、苦戦する方が難しい。

緊張感を失った俺の思考は、ファーストドラゴンへと向かっていた。


「やっぱり最初のドラゴンは、ちょっとレアな奴が良いよなぁ」


ドラゴンは種類によって、テイマーへの加護効果が変わる。俺に盾を持つ様な加護は合わない。

モンスター怖いもん。


条件をまとめるなら――そこそこレアで、強くて、加護効果が俺向きで、カッコいい。

この4つを満たすドラゴンじゃないと嫌だ。


歩き続けて30分。

すれ違ったプレイヤーは27人。どれも条件と合致しない。

彼らを観察していて、ある事に気が付いた。

ほとんどのドラゴンがファイヤ、アクア、ウインド、アースの4種類だということだ。


最も基本的なドラゴンで、希少価値も低い。

エクストラアビリティって本当に珍しいんだな。


今はトウゴウを抜け、3つ目の街ハアイへ向かっているところだ。トウゴウは村に近い規模で、何も無かった。面白く無かったので、ニョルズの石碑に触れて3分で出た。


現在歩いている、ハアイへの道は推奨LV10。余裕すぎて散歩のようだ。

ただ、散歩をしていもモンスターはウジの様に湧いて出る。


レッサーフェアリーの群れが出現した。俺はため息をつく。小さくて素早い、地味に面倒な奴らだ。

普通に戦ったら時間がかかるし、何より攻撃が当たらないのでストレスだ。

ここはサクッと終わらせよう。


「ハーヴグーヴァ召喚」


頭上に鯨が現れ、重力に従ってそのまま落下。レッサーフェアリーを巻き添えに、巨大は大地に叩きつけられた。

地響きとともに土埃が舞う。


【レッサーフェアリー×5を倒しました】


即座に館へ戻す。

一瞬ならそこまで目立たないし、近くにプレイヤーがいても「大技使ったのかな」程度の認識だろう。

現にここまで問題なく来れている。

ドラゴンについて考えていたんだったな、と思考を戻したところで、コメントが届いた。


『強くなった??』


「レベル39まで上がりましたよ」


『やばww』


「ためしマラソンって配信映えしないし、誰も見てくれないっすよね」


『序盤、チリアクタが崩壊するところは面白かった』


「リスナーさん、いい性格されてますね」


確かこのリスナー、初日からずっとコメントをくれている人だな。時折ゲームについて親切に教えてくれる、有能な方だ。

名前くらい覚えておこう。配信画面を開いた。


【フリッグ@アース神族】


ふーん、変な名前。

と思いつつ、この人なら疑問の答えをくれるのでは無いか、と思い付く。


「フリッグさん、最初に捕まえるならどんなドラゴンが良いと思いますか?」


少し間が空いて、コメントが返ってきた。


『シャドウドラゴンは?

 そこそこレアだけど、エクストラアビリティほど稀じゃない』


サイシスのネット閲覧機能で、シャドウドラゴンを調べてみる。

体色は紫よりの黒。手足はなく、羽の生えた蛇に近い外見。HP・防御・魔法への適性は低いが――。


「攻撃と速度の能力が大きく強化される。

 え、俺が探し求めているもの、じゃあないですか」


欲しい答えがポンポン返ってくる。素晴らしい人材だ。

シャドウドラゴンという名前の響きも悪くない。


「最有力候補ですね。

 今日一日探して見つからなかったら、他に行きますけど」


『それが良いと思う』


コメントと雑談しながら歩いていくと、道の先に大きな城壁が見えてきた。


「お、ハアイが見えてきましたね」


『かなりハイペース』


「ほとんど戦闘してないですからね」


ハアイは生産職のプレイヤーが多く根城にしている街で、コスチューム店など施設の種類も多い。

城壁の高さは4、5mほど。実際に見ると壮観だ。


「よーし。シャドウドラゴンをテイムだー!」


城門まであと100m。そこへ、大きな影が行く手を阻んだ。

ハアイの城壁の半分ほどの背丈。

狼の顔つきに二足歩行の体躯。正に狼男だ。


【-巨躯の獣人- ワーウルフ LV15】


エリアボスだ。この先の街へ入るには、倒す必要がある。

やっと新スキルの試運転ができそうな相手が出てきた。俺はステータス画面を開く。


―――――――――――――――――――

キャラクターネーム:チリアクタ

LV:39

HP:210/210

MP:200/200

攻撃能力:43+15

防御能力:43+15

魔法能力:43

信仰能力:43

抵抗能力:43

速度能力:50+1


アビリティ:テイムLV1

ジョブ:レンジャー

スキル:気配遮断LV3

    罠作成

    不意の一撃LV2

    特殊攻撃【毒】【麻痺】【睡眠】 NEW!!

    鞭操術LV1 NEW!!

パッシブ:なし

―――――――――――――――――――


さて、どう料理してやろうか。


【視聴者:3】

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