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AI棒(あいぼう)と行くVRMMO配信 ~外道プレイヤーの邪道攻略~  作者: ジッロ
一章 【配信事故】初心者配信者、ドラゴンを強奪してしまう
11/21

十節

最初の攻略から約15周目。

そこに来て俺の眠気が限界を迎えた。


ダンジョンの入り口に戻って来たところで、サイトウが口を開く。


「アクタ、よくやった方だ。目標には届いているだろう。レベルとポイントは幾らになった?」


サイトウに促されてステータスを開く。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

キャラクターネーム:チリアクタ

LV:39

HP:210/210

MP:200/200

攻撃能力:43+15

防御能力:43+15

魔法能力:43

信仰能力:43

抵抗能力:43

速度能力:50+1


アビリティ:テイムLV1

ジョブ:レンジャー

    ジョブポイント 2190

スキル:気配遮断LV3

    罠作成

    不意の一撃LV1

パッシブ:なし

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「レベルは39。ジョブポイントが2190です……」


「クラス1のジョブツリーは1650でカンストする筈だ。

 おめでとう、目標クリアだな」


サイトウに相槌を打ちつつ、ステータス画面のアビリティ項目をタップする。



――――――――――――――――――

【アビリティ名:テイム】


観測者:■■■■■

支配可能階層:A


館に記録された存在数:5

ゴブリンLV31【レベル上限】【存在進化可】

ハーヴグーヴァLV34

ハーヴグーヴァLV33

ハーヴグーヴァLV32

ハーヴグーヴァLV31


警告:

失われた魂

戻る事あたわず

――――――――――――――――――



はわわわ。


ダンジョンボスが4体もテイム枠にいますぅ。

コレってこの辺りじゃ無双できるんじゃあないですかぁ。


どうしましょう〜。


初心者狩尽くす?


はわわ〜。


ダメだ。眠気で思考が終わっている。

まだサイトウが目の前にいる。

もう少しロールプレイに徹しなければ。


「本当にありがとうございました……」


「ハアイの一つ次にあるクラヨシと言う街に、仁義必果会の拠点がある。

 そこまで行ったらクランメンバーに挨拶すると良い。

 気の良い奴らばかりだが……ただアイツら頭のネジが飛んでるからな。賭けだけはするなよ」


「賭けに乗ったらどうなるんですか?」


「俺の様になる」


「き、気を付けます」


そうしたやり取りを得て、俺はためしの遺跡を後にした。



*****



私の名前はpsy10。


配信者業界ではそこそこ名の知れた人間だ。

今は配信者仲間との禊により、お勤めを全うしているところである。


チリアクタと言う珍妙な名前をしたプレイヤーが遠ざかっていく。彼は特殊なアビリティを有していた。


【テイム】


今まで聞いた事のないアビリティだった。


これまでもエクストラアビリティは幾つか観測されてきたが、彼ほど特殊な能力を持つプレイヤーはいなかった。


俺のテュールを例に挙げると分かりやすい。


強さに直結したものではあったが、あくまでゲーム性とのバランスを加味されていた。


しかし彼のアビリティは違う。

他人のドラゴン、強いてはアバターの能力そのものを脅かす存在になり得る。


ーー何故そんなモノを実装したのか。


RFOの運営に疑念が芽生える。

このゲームは確かに売れてはいるものの、ゲームを売るという目的よりも他の目的で運営されているような……。邪推か。


「テュール」


思考を切り捨て、私は相棒の名を口にした。


私の右手は炎に包まれた後、龍の姿へと形を変える。


中型犬ほどの大きさに真紅の身体。所々に鎧を纏った小さなドラゴンが現れ、私の肩に留まった。


角の付け根を撫でてやると、ご機嫌そうに目を細める。


もし騙りのバングルを装備していなければ、チリアクタの視界には俺の左腕からテイムマーカーが出ていたのだろう。


彼は好青年ではあるが、念には念だ。


私はゲーム内の音声通話でクランマスターへ連絡を入れた。


「うーすっ! サイトウさん出所されたんですか?」


「いや、あと6日ほど掛かりそうだ」


「へえ、じゃあまた今度!」


「まてまてまて。大事な話だ。例の新人の話がある」


「あー、あの登録者二人の」


「彼のアビリティが特殊でな。

 他人のドラゴンを奪えるアビリティを持っている。

 騙りのバングルで防げるようだから、一定の信頼を置ける様になるまでクランで装備を義務付けてくれ」


「まーったく。サイトウさんはいつも面倒事を拾ってくる」


「その面倒事でいつも数字伸ばしてるのは誰だ?」


「いつも感謝してます。シェイシェイです」


好青年ではあるが隙を見せないように、とだけ念を押して通話を切った。

チリアクタは情報取得にムラが多い。

どう転んでも面白い展開しか思い浮かばない。


「俺も配信者だな」


そう呟いて、私はテュールと共にダンジョンの中へ歩いて行った。



*****



サイトウと別れた翌日。俺は宿屋で目を覚ました。


ゴブリンのステータスに存在進化可の文字が出ている。

調べても情報は見つからない。

テイムのオリジナル機能なら、試してみるしかない。


進化先は四つ。ゴブリンナイト、ゴブリンソルジャー、ゴブリンシーフ、ゴブリンソーサラー。


ハーヴグーヴァが四体いる時点で火力は足りている。


俺のジョブを活かすなら、目の前に盾を張ってくれるタンクがいた方がいい。

迷わずゴブリンナイトを選んだ。


装備品一式を入手し、進化が完了する。


光に包まれて、ゴブリンは姿を現した。

フルメタルアーマーを着込んだ、凛とした佇まい。


「鎧着ただけ?」


「ウギャ」


「まあお前が一体だけ残ってるゴブリンだ。期待してるぞ」


「ウーギャ、ウ、ウギャ!」


イエス、マイロード。そう言いたげな口調でゴブリンは返してくる。


進化とはモンスターを強化できる機能だと分かった。

今はそれで良しとしよう。


俺は期待に胸を膨らませながら宿屋を後にした。


【視聴者:0】

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