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EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season10 ― 言わなかった後悔、言わなくてよかった光 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season10 ― 言わなかった後悔、言わなくてよかった光 ―
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第3章(後編) 3人の夜

夜のぽかぽか邸。

やわらかな灯りが揺れて、

3人の影が静かにリビングへ落ちていた。


なぎがマグカップを両手で包みながら、

ふと思いついたようにたまきへ顔を向けた。


「そういえば、環さん。

 美乃よしのさんと給湯室で何話したんですか?

 なんか意地悪なこと言われちゃった、とか……ないですよね?」


環は少し驚きつつも、首を横に振る。


「いえ、そんなことないですよ。

 美乃さん……昔、しゅうのことが好きだったって言ってました。」


その途端──


「……なっ……環っ!?

 そんな話、聞いたのか!?」


飲みかけのコーヒーをごほっとむせて、

柊が思わず前のめりになる。


凪の口元がゆっくりとニヤァ〜っとゆるんだ。


「うわ〜〜〜……

 さすが柊先輩。あんな美人に好かれるとか……

 いや〜モテる男は違いますわ〜」


環はくすっと笑いながら、しずかに続けた。


「美乃さん、柊に言わなかったって言ってました。

 でも……“好きって言わなかったことを後悔してる”って。」


柊は少し目を伏せた。


「ああ……俺も言われたよ。

 この前、偶然会った時にな……」


凪が目を丸くしてぐいっと身を乗り出す。


「で!で!告白されなかったんですか?」


「されてないって言っただろ!」


環はつい笑みがこぼれ、

その笑顔を見て柊の表情が少し安心に変わる。


「そういえば……美乃さん、凪くんと同じこと言ってました。」


「え?僕と同じこと?」


環は胸に手を当ててゆっくり言う。


「はい……凪くん、カフェで言ってくれたじゃないですか。

 “柊は私しか見てない”って。

 それと……

 “私がいなくなったら、柊が壊れる”って……

 それと同じこと、美乃さんからも言われました。」


その瞬間、柊が環と凪を見て言った。


「……それ。

 俺……正直、一番驚いたのは……

 美乃さんじゃなくて……凪が同じこと言ったってことなんだよ。」


凪は、ほんのわずか照れた。


「だって、わかりますよ。

 僕、柊先輩を何年見てきたと思ってるんですか〜。

 本人がいちばん気づかないだけで、

 環さんといるときの先輩……

 もう“壊れたら困るくらい幸せそう”なんですよ」


柊は照れ隠しのためか、

後頭部をぽりぽりかいた。


「……まったく……おまえは……

 本当にときどき、びっくりすること言うな……」


環はふっと目を伏せ、

ゆっくり言う。


「美乃さん、凪くんのこと……

 “かわいいSEさん”って言ってましたよ」


凪は椅子から転げそうになりながら


「か、かわいい!?

 いや〜、まいったなぁ〜〜……

 見る人が見ればわかるんですね〜僕の魅力……!」


柊はため息をつきつつも、

どこか緩んだ声で言う。


「……誰がおまえに魅力あるって……」


環はぽかぽかした目で2人を眺める。


「こうやって……

 3人で話してる時間、やっぱり好きです……

 ぽかぽかします……」


凪がにやり。


「僕もですよ〜環さん。

 こういう時間があるから、頑張れるんですって」


柊は環の肩をそっと抱き寄せた。


「……俺もだよ。

 環がここにいて、凪がいて……

 これが一番落ち着く」


ぽかぽか邸の空気がまた満ちる。


外で何が起こり始めていても、

ここだけは変わらない。

この家は、“帰ってくる場所”だ。

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