最終章 ― エピローグ ―
ぽかぽか邸の灯りは、今日もあたたかい
◇◇◇
事件解決から数日後の夜。
ぽかぽか邸のリビングには、いつもの3人がいた。
テーブルには柊が作った夕食の残りと、凪が買ってきたデザート。
環はクッションを抱きながら、ほっと息をつく。
「……終わったんですね」
環が静かに言う。
「あぁ。でも環が無事で本当に良かった」
柊は環の頭をそっとなでた。
その手つきが優しくて、事件中ずっと張りつめていた想いがにじむ。
「柊、すっごくかっこよかったですよね。
あの時……カフェテリアで助けてくれた時とか……」
環が照れながらそう言うと――
「おう。だろ?」
柊は自信満々に言い放つ。
その瞬間。
「はいはいはい〜〜!出ました〜柊先輩のドヤ顔〜〜!」
凪がソファから身を乗り出す。
「環さんの前だとすぐ調子乗るんだから〜。
てゆうか柊先輩、あの時めちゃくちゃ必死だったじゃないですか。
走りながら“環!”って叫んでましたよね?」
「……うるさい。叫ばずにいられるわけないだろ」
柊は少し耳を赤くしながらそっぽを向く。
環も頬を赤らめながら言う。
「でもね……柊が来た時、安心したんです。
震えていたの、止まったから……」
「環……」
柊の声が柔らかくなる。
「ほらほらほら〜!
イチャイチャが始まった〜!
視界がぽかぽかで曇るんですけど〜!
僕にもメガネ拭きください〜!!」
「凪、ほんとに黙れ」
柊が苦笑しながらツッコむ。
しかし凪はまったく悪びれず、むしろ得意げ。
「でも柊先輩〜。
今回いちばんすごかったの、実は環さんなんじゃないですか?
情報あつめも、聞き込みも、冷静さも。
僕、ちょっと尊敬しましたよ」
「えっ……」
環が目を丸くする。
「そうだな」
柊がゆっくりとうなずく。
「今回……俺たちが気づけなかったところを、環が見つけた。
俺と凪だけじゃ、事件は解決しなかった。
お前がいたから、光がさしたんだ」
「柊……」
「はいはい〜また始まりました〜。
でもさ、僕ほんとに思うんですよ。
3人で動くと最強だなって」
凪がにっこり笑う。
「うん。3人でいると安心する」
環がぽつりと言う。
「俺もだ」
柊が即答する。
「僕も!ぽかぽかチーム最高!」
凪は両手を上げてバンザイする。
3人の笑い声がリビングに広がり、
夜のぽかぽか邸に温かい灯りがともった。
「これからも3人でがんばろうな」
柊の言葉に、
「はい!」
「もちろん!」
明るい声が重なる。
外は冷たい夜風が吹いているのに、
この家の中だけは、いつだってぽかぽか。
――今日も、3人の光はひとつに重なっている。




