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EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season10 ― 言わなかった後悔、言わなくてよかった光 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season10 ― 言わなかった後悔、言わなくてよかった光 ―
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第1章 ① ―美乃のモノローグ―


「告げなかった想いは、あなたを光へ導いた」



◇◇◇



失う前に、想いを伝えられたらよかったのかもしれない。

でも――私は言わなかった。

言えなかったのではなく、言わなかった。


しゅうくんは、いつもまっすぐで、

不器用なほど誠実で、

自分の心よりも周りの誰かを優先してしまう人だった。


そんな彼が、誰かを「大切だ」と言ったとき、

その瞳の奥に宿る光は、

かつて私が見たどんな光よりも美しかった。


あのとき気づいてしまったの。

――あぁ、この人は、もう私の知らない“未来”を手にしているんだ、と。


だから私は、言わなかった。

後悔がなかったと言えば嘘になる。

けれど、言わなかったからこそ、

彼は“その子”の手を離さずにいられたのだと思う。


もしあの時、私が想いを告げていたら……

柊くんはきっと応えようとしただろう。

優しい人だから。

でもその優しさは、ときに誰かの“光”を曇らせてしまう。


だから私は彼の未来に触れなかった。

触れずに終えることを選んだ。

その選択をして初めて、

私は自分の後悔を受け止められたのかもしれない。


今こうして、彼の隣にいる女性を見て思う。

――よかった。

この人に、柊くんは救われている。

この人こそ、彼の光だったんだ、と。


私が言わなかった想いは、

消えるどころか、静かに形を変えて

“祝福”になっていた。


だからこそ、あの子に伝えなくてはならない。

あのまっすぐな瞳を持つ、やわらかい女性に。


「あなたの手、離しちゃダメよ。

 彼は、あなたがいないと壊れてしまう。

 そんな気がしたの。」


これは私の後悔の言葉じゃない。

未来への、そっと灯す光だから。

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