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宣誓!人類の味方となるダンジョンにする事を誓います! 〜チュートリアルを装った攻略させないダンジョン作り〜  作者: 天沢与一


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[番外編]友人、遊太の場合

 運命が変わった日と聞かれたら、多くの人がおそらく1月1日のダンジョンが世界中に出現した日を言うと思う。


 けれど俺にとって運命が変わった日は、大阪旅行をしたあの日だった。


 そもそもの原因は遡ること高校3年生の10月。文化祭の帰り道でなんとなく感傷に浸ってしまった俺は思わず、卒業してからも4人揃って遊ぼうぜと言ってしまった。こういうのは大体瑛士がする発言で、俺は言うようなキャラじゃない。すぐになんだか恥ずかしくなって、ほら、卒業旅行とかさ!と付け足した。


 大阪旅行をすることになった、全ての始まりである。


 俺がここでこの話を出さなければ、卒業旅行はなかったかもしれないし、あったとしても日帰りで舞浜のテーマパークに行くくらいだった筈だ。


 でも、俺の発言から卒業旅行はどうせなら泊まりがけで行こうぜって話になって、その後の話し合いで行き先が大阪になった。更に言うなら夜中トイレ行きたくなって起きて、2人が居ないことに気づいて、翌朝問い詰めたのも俺だ。


 俺が原因で、あいつらの、瑛士と蒼斗の秘密を知ることになった。その時は瑛士しか認めてなかったけども。


 元日のあの日に出現してからずっと世間を騒がせてきたダンジョンのダンジョンマスターだなんて。

 ダンジョンマスターなんて、名前くらいは聞いた事ある都市伝説的なものという認識だったのに。


 もともと俺はダンジョンにそこまで興味がなかった。家や学校の近くには無いし、ダンジョンに行くような関係者もいない。希望していた大学の近くにもないから、今後関わることは無いだろうなと思っていた。


 それが一気に近い距離に変わった。


 なにせ友人2人がダンジョンマスターだ。


 でも瑛士がそのことを暴露した後、蒼斗にも疑いを持ったまま、いったん全部無かったことにしてテーマパークに行ったのは今でも無理があったと思う。なんだかんだ楽しかったけどさ。


 卒業旅行から数日後。詰める気満々で蒼斗の家に行ったが、蒼斗はあっさりと自分もダンジョンマスターだと認めた。だったらあの時認めても良かったんじゃと思わなくもないが、きっと蒼斗なりの葛藤があったのだろう。強張った顔してた気がするし。


 その後はダンジョンマスターについて詳しく教えてもらい、いつものノリでダンジョンに配置するアイテムについて話し合った。


 ダンジョンマスターになったからと言って、蒼斗も瑛士も俺たちの知るままだった。側だけ同じの知らない誰かにならなくて本当に良かったと思う。


 その場は解散となり、瑛士とは駅で別れ、光介は俺の家に連れてきた。



「第1回人類会議ー」


「2人しかいないのに人類会議って言っていいのか?」


「別にいんじゃね?4人組の人類側の方ってことだし」


「そうか」


「そうそう。で、ぶっちゃけあいつらのことどう思う?」


「どう、とは?」


「なんでもいいからさ、ダンジョンマスターのこと知って思うことあんだろ」


「そうだな……もし本当に全人類から抽選が行われたとして、同じ学校、同じクラスの2人がダンジョンマスターに選ばれるとは、いったいどれくらいの確率なんだろうな」


「はー、知らねーよ。そこ重要か?」



 あくまでも抽選なんだから、結果が偏ることもあるだろ。ランダムってそういうもんだし。



「重要かはわからないが、ふと疑問に思ってな。全人類から選ばれるよりは、ダンジョンマスターに選ばれるには何かしら基準があって、その中から抽選で選ばれる方が自然じゃないか?」


「なるほど。抽選と言いつつ抽選ではないってことか。で、あいつらには選ばれるだけの理由があったって?」


「そうかもな」


「あの2人真逆の性格してるのに、選ばれるような共通点なんてあるか」


「それはわからないが……」


「わからないならこの話無意味じゃね?」


「そうだな。そういうお前はどう思ってるんだ?」


「どうって言われてもなー」



 逆に聞かれると返答に困るもんである。



「お前が最初にそう聞いてきたんだろう」


「それはそう。あー、俺は正直今だに信じられない気持ちでいっぱいだよ。今、国に12人しかいないらしいダンジョンマスターのうち、2人があいつらなんだぜ?他のダンジョンマスター…….小嵜さん?だっけ。その人と違って2人のダンジョンは普通に人がくるダンジョンだし、瑛士の方に至っては死人まで出してる。2人がダンジョンマスターってバレたらどうなるんだろうな」


「それは……蒼斗の説明にはなかったが、群馬のダンジョンが突如消えたのを覚えてるか?」


「あー、テレビでやってたような」


「なら、ダンジョンが出現してすぐに、重要参考人として逮捕された男がいたのは?」


「そういえばそんなやついたな」



 俺あんまりニュース見ないからどっちもふんわりとしか覚えてない。



「その男がどうなったか気になって調べてみたら、もう死んでいた。そのネット記事が上がったのは群馬のダンジョンが突如消えたとニュースになった後だ」


「それはそいつが群馬のダンジョンマスターってだけじゃないのか?ほら蒼斗もダンジョンのコアを壊されたらダンジョンマスターは死ぬって言ってたし」


「俺もそう思う。警察が、つまり国がダンジョンマスターを捕まえてたんだ」


「……それで?」


「なぜその事を発表しないんだ。ダンジョン防衛宣言をしたのに。……いや、ダンジョンマスターを捕まえたからダンジョン防衛宣言したのか?逮捕した男からダンジョンを防衛、攻略できると思えるだけの情報を手に入れたから。だとしたらダンジョンのコアを壊されたらダンジョンマスターは死ぬ事も知っていた筈だ。なのに群馬ダンジョン攻略……?本当に攻略できる事を確認したいなら、順番が逆じゃないか?群馬の後に渋谷になってないと、おかしい」



 光介がぶつぶつと呟き出してしまった。これに付き合えるのは蒼斗だけだ。


 普段無口な癖にこう言う時だけいっぱい話すんだよなぁ……



「結局まとめると?」


「逮捕された男は本当は殺される筈ではなかったのに、死んだ可能性がある。群馬のダンジョンの攻略を強行したってよりも、ダンジョンマスターが殺されたって考える方が自然だ。だから2人がダンジョンマスターだとバレたら、逮捕された男を殺した連中に殺される可能性がある」


「は!?」



 いや、待て。落ち着け。



「渋谷で攻略できる事を確認したから、用済みになって群馬も攻略された可能性もあるじゃん?」


「そうだな」


「もし男が本当に殺されたとして、なんのために殺されたん?」


「それはわからない」


「なら普通に病死しただけのかもしれないし」


「そうだな」


「なんであいつらが殺されるって結論に至るわけ?」


「俺のはあくまでも予想だ。当然外れてる可能性もある。さっきのは、最悪の結果だった場合だ。ただ、蒼斗はやけに警戒していただろう?中々自分がダンジョンマスターだと認めなかった」


「あー、そうだな」


「世間に自分がダンジョンマスターだとバレたらマズイような事情があるのだろう。それは俺の予想通りの事かもしれないし、他の事情かもしれない。なんにせよ蒼斗があそこまで警戒してたんだから、何かあるのは間違いない」


「瑛士は隠す気ゼロだったけど」


「あいつは何も考えてない」



 即答じゃん。

 まぁ蒼斗もそう言ってたしな。


 あいつらの事がバレたら、最悪殺されるかもしれない。あくまでもかもしれないという、そういう可能性があるってだけの話。


 けど、ダンジョンマスターになる事を選んだのはあいつらだとしても、もし本当に光介の予想が当たって、殺されでもしたら俺は後悔すると思う。



「俺、決めたわ」


「なにを?」


「あいつらがどんな存在になっても、結局俺のダチって事には変わりないからな。俺は何があってもあいつらの味方をするよ」


「そうだな。俺もそうする」



 その日から度々俺と光介で話し合うようになった。話を誰にも聞かれないように、場所はどっちかの家だ。


 あいつらには内緒で、もしもバレたらどうするか。バレないようにするにはどうしたらいいか。捕まった場合はどうしたらいいのか。


 おそらく相手は政府になるだろうから、いつも結論は出なかった。それでもいつか2人で話し合ってた事が役に立つだろうと信じて、2週間に1回ほど集まった。


 一言だけあいつらに、というか瑛士に物申すとしたら……


 お前はもっと警戒して動け。発言に気をつけろよな。


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