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宣誓!人類の味方となるダンジョンにする事を誓います! 〜チュートリアルを装った攻略させないダンジョン作り〜  作者: 天沢与一


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120話 将来

 元々遊太はコミュ力がある奴なので、気づけばすっかり酒木岳と打ち解けていた。今は瑛士と3人でカウンターに居た女性について話している。


 普通にネットでバイトを募集して採用したらしい。


 素性がバレてるから出来る事だな。

 俺のダンジョンでは無理だ。


 まぁそもそもバイト雇ってやって欲しいこと今ないけどね。


 丸くて真っ白な毛の塊のモンスターを触りながら、俺は光介とのんびりと雑談する。



「光介は職場の人とダンジョンに潜ってるんだっけ」


「あぁ、週1回程度な」


「普段どこのダンジョン行ってんの?」


「以前はいろんなダンジョンに行ってたんだが、鎌倉ダンジョンが出来てからはそこしか行ってない」


「鎌倉ダンジョン結構精神攻撃してくるって噂聞くけど実際のところどう?」


「精神攻撃と言っても、大量の人形の上を進まないといけないとか、逃げ回る壊れかけの人形を殺す必要があるとかで、別に魔法で攻撃される訳じゃないからな。慣れれば特に問題ない」



 鎌倉ダンジョンは何か人形に恨みあるの?ってくらい色んな人形のモンスターが出てくる。まだ行ったことないから今度行ってみてもいいかもな。



「あー、最初は可哀想って思っても何度もやってれば気にならなくなるか」


「所詮相手はモンスターだしな。先輩は嫌いな上司の名前呼びながら倒してる」


「ストレスでも溜まってんの?仕事そんなキツい?」


「業務内容は特に。よくある工場の単純作業だけだしな。ただ普段現場に居ない癖に来た時だけ細かい文句を言ってくる奴を宥めて帰らせてるのが先輩だから、ストレスは溜まるだろう」


「うわ、めんどくさそー」


「あぁ。俺には出来ない。……蒼斗は大学卒業したら就職するのか?」



 就職かぁ……最初はそのつもりだったけど、仕事中ダンジョンの様子は流石に見れないよな?だとするとあんまり就職したくないというか出来ないというか……


 いつまで人気が続くかわからないけど、週1回の配信とたまにする動画投稿の収益で生きていけるだけの利益は出てんだよな。まぁダンジョンマスターであることを母に言ってない以上、このことは言えない。


 となるとシンプルに探索者になるって伝えておいた方が無難ではある。それはそれで心配かけそうなんだけどね。



「んー……まだ決めてないな。今の所ソロ探索者になるが優勢だけど」


「そうか」


「まぁ、まだ2年だし。ダンジョン情勢も今後どうなるかわからないしな」



 今の所は資源のために完全攻略はしない方が良いって風潮で探索者は稼げる職業だけど、それが覆るかもしれないし、逆に資源を確保するためにダンジョンに入れるのが公務員のみになるかもしれない。いや、流石にこれやったら国が批判されるか。


 とりあえずなるべく安定した生活を送りたい所である。


 たくさんモンスターと触れ合って、たくさん話して、酒木岳相手にも少しだけ会話して、そろそろ帰ろうかという流れになった。体感的に割と長時間この場所に居た気がする。


 魔法陣で元の場所に戻って、カウンターの横を通り抜け、ダンジョンの外に出た。


 外はすっかり日が落ちている。



「がっくん今日はありがとね!」


「あざーす!」


「ありがとうございました」


「いーえ。またぜひみんなでおいでよ」



 少なくとも最後まで敵意みたいなのは感じなかった。うーん……警戒しすぎかな?

 でも姉と思わしき人物に俺の正体バレかけてるんだよなぁ……



「あ、そうだ!連絡先交換しよ!」


「いいじゃん。スマホ取ってくるからちょっと待ってて」



 そう言って酒木岳は家の中に入って行った。


 いたって普通の私服に完全手ぶらで来ていたから、どこか出かけた後に荷物を家に置いて、ダンジョンに来ていたのだろう。


 1分も待たずに酒木岳は帰ってきた。


 全員が連絡先を交換してる中、俺だけ断るのも変なので仕方なくSNSを交換する。まぁめんどそうなら後でブロックすればいいしな。


 そして別れの挨拶をしようとしたところで、声をかけられた。



「あの、品谷さんですよね?」


「うん!どうしたの?」



 目的は俺じゃなく瑛士。


 またファンでサイン貰いに来たんだろうかと思ったが違った。



「姉ちゃんを……小嵜麻夢を助けてくれませんか!?」



 ……いや、なにが?


 えっと……確か小嵜に初めて会った時弟の話題出してたな。その弟がなんで瑛士に助けを求めるんだよ。



「小嵜麻夢……って確か俺と同じダンジョンマスターの人だよね?」


「あぁ。その認識であってる」


「助けるも何もさー、状況がわからないと出来るかどうかも判断できないよ」


「あ、そうですよね!すみません」



 そして小嵜弟は何があったのかを話し出した。


 元々小嵜はダンジョンは無くすべきという考えだったが、人類がダンジョンの資源を得て豊かになる可能性に気づいてからは、本当にそうなのかと悩んでいたらしい。ダンジョンは残しておいた方が有益ではないのかと思い始めたところで、ドラゴン出現騒動が起きた。その事をきっかけにまたダンジョンは消滅させた方が良いという考えに戻ったそうだ。


 そしてこの前捕まった探索者が元々富良野ダンジョンの探索者で、富良野ダンジョンについての特集をよくやっていた。


 どこの特集でも富良野ダンジョンは日本で1番行方不明者を出していると言われており、ダンジョンを消滅させるなら富良野ダンジョンからと判断した。


 姉弟(きょうだい)揃って前置きが長いな。


 ようは北海道に向かった小嵜と連絡が取れなくなってから1週間も経ってしまった。絶対に富良野ダンジョンで何かあったが、警察に言っても動いてくれないので、ドラゴン出現の際に人々を助けていたことで有名な瑛士に助けを求めた、ということらしい。


 そりゃダンジョンに向かったとわかっているなら警察は動いてくれないだろう。ダンジョンで何があろうとも自己責任だからだ。それは死亡だろうと行方不明だろうと扱いは変わらない。


 ただ、小嵜はダンジョンマスターである。


 海の中のダンジョンでろくに資源も取れないけれど、ダンジョンコアが間近で見られることで知られている。貴重なのは間違いない。


 だから警察や瑛士じゃなくて、国や研究所に助けを求めれば動いてくれる人も居ると思うんだよな。あとファンもついてるだろうからネットで拡散すれば勝手に動く奴も出てくるだろう。



「そっか。お姉さんと連絡取れないのは心配だよね」


「えぇ。でも海中ダンジョンが無くなったってニュースはないから生きてる事には間違い無いんです」


「姉を助けたい気持ちはわかるけど、なんで瑛士に頼むわけ?警察が無理でも、もっと他に頼る相手居るだろ」



 あ、遊太が俺の思ってたこと言ってくれた。



「それは……その、広島でドラゴンが出現した時、品谷さんって無償で人助けしてたじゃないですか。それを姉が仕切りに褒めてたのを思い出して。それに、品谷さんは姉ちゃんの知り合いだと思ってたので……」


「えっ、なんで?俺会ったことも喋ったこともないよ?」


「そう、ですよね。以前姉が町田ダンジョンマスターと連絡取ってたから品谷さんもって勘違いしてました。最初の反応でそれは違うかなと気づいたのですが」


「そっかー。小嵜……さん?は知らないけど、お姉ちゃんがいなくなって心配だよね!」



 ……瑛士。まさかとは思うが助けに行くなんて言わないよな?



「できれば助けてあげたいんだけど、えっと、確か北海道って大阪より遠いよね?日帰りは流石に無理?」



 詳しいルートは調べないとわからないが、飛行機で北海道入りして、富良野ダンジョンには電車やバスを使う。おそらくトータル5、6時間はかかるんじゃないかな。


 しかし瑛士の場合はダンジョンに帰る機能で大阪に行けるから、そこから新幹線とかリニアで帰って来れる。ダンジョン探索でその日のうちに小嵜麻夢を見つけられれば日帰りできる可能性はあるな


 まぁでも、



「流石に無理だな」



 ここで出来るって言うとじゃあ行くって言い出しかねないから無理って断言しておこう。



「やっぱそうだよね。急な泊まりってなると母さんに言わないと行けないから、今すぐに助けに行くって言えないや。ちょっと電話して聞いてみるね」



 ちょっと電話する前に待ってほしい。



「瑛士、富良野ダンジョンがどんな所かもわかってないのに了承しようとするな。ここで町田ダンジョンとか所沢ダンジョンなら電車で行ける距離だけど、場所は北海道なんだぞ?飛行機を今から取るなら数万かかるし、泊まりがけならホテル代もかかる。お金の問題がなかったとして、富良野ダンジョンを探索してすぐに見つけられるとは限らない」


「今日の稼ぎを使うからお金は大丈夫だよ!たぶん!でも確かに俺だけじゃ見つけられるかわからないか……蒼斗も手伝ってくれる?」


「俺がいても無理だから。そもそもダンジョン攻略は自己責任。ダンジョンに行って帰って来なくても仕方がない事なんだよ。それとも今後も家族が帰って来ないから助けてくださいって言われたら全員対応するのか?できないだろ」


「それはそうだけどー……ほら、小嵜さんって俺らがダンジョンマスターですって動画出す時本物だって言って助けてくれてたじゃん。今度はこっちが助ける番だよ!」



 ……しれっと俺らとか言うなよ。


 確かに小嵜がダンジョンマスターと認める動画出したことで、より話題になって再生数稼げたし本物だと認めてくれる風潮になったけどさぁ……


 瑛士の言い分としては借りを返そうってことなんだと思うけど、その前に確かよくわかんない相談に乗っててたんだよな。だから貸し借りはない。むしろその前に命を見逃してやってるわけだから向こうにまだ貸しがあるとすら思ってる。



「あの!あんまり、多くは出せないんですけど、謝礼は必ず払います!」


「富良野ダンジョン興味あったしこっちも小嵜さんに恩があるから謝礼は大丈夫だよ!」



 完全にもう行く気だな?


 これは何言っても止められないか。



「俺も富良野ダンジョン興味あるわ。ついでについて行っていい?」


「がっくんも来てくれるの?ありがとう!」



 なんで酒木も行く気になってるんだよ。


 まだ居ない方がやりやすいんだけど。



「ありがとうございます!本当にありがとうございます!」



 俺の中で、富良野ダンジョンは日本一ヤバいダンジョンだという認識である。


 攻略情報が出尽くしている浅い階層の探索なら兎も角、行方不明者の探索なんて危険極まりない。


 酒木も敵とは思ってないけど、実力は未知数である。使えるのか足手纏いになるのかわからない。


 ……大学始まれば学校行けって言える。数日探索させて、諦めてもらおう。


 本当に不本意だけど、その探索のサポートを奈那さんに頼むか。

 瑛士と酒木のみに任せるよりは断然マシだ。

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― 新着の感想 ―
弟、1週間も何してたんだろうか。まさか1週間瑛士を探してただけとかないよね?
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