表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ALCHEMY12  作者: 神宮寺基哉
1/2

創世神話

YouTubeにオリジナルアニメ展開中!

https://youtube.com/@alchemy12_animation_project?si=DL1Umcwar23ou_RO

世界にまだ、形は無かった。


すべては、虚無だった。


だが、そこに一つの意志が生まれる。


名は、アエテルヌム。原初の創造神。


世界にことわりと秩序を創った。


彼は孤独を恐れ、愛を求めた。


そして、それがすべての始まりとなった。


アエテルヌムは、心の奥から“もうひとつの光”を生んだ。


名は、エリュシア。


彼女は微笑み、祝福し、あらゆる命を慈しんだ。


優しき慈愛の創造神──


世界は、彼女の愛に満ちていった。


だが──与えすぎた愛は、人々の“欲望”をも育てた。


争い、裏切り、憎しみ。


そのすべてが、エリュシアを蝕んでいった。


神でありながら、彼女は悲しみに耐えきれず、


一粒の“涙”を流した。


その涙は──ただの悲しみではなかった。


人々の欲望、争い、愛を求める声……


すべてがその一滴に宿り、


ついには、かたちを持った。


“感情”そのものが、世界を呑みこもうとした。


その涙は、呪いと化した。


世界を覆う、終わりなき災厄。


人々はそれを恐れ、こう呼んだ──


『メデューサの涙』と。


メデューサの涙は少しずつ、確実に世界を蝕んでいった。


この災厄を封じるため、十二人の錬金術師が立ち上がった。


己が命と引き換えに、涙に宿った様々な感情を分解し、十二個の装飾品に封印した。


怒りも、悲しみも、恐れさえも。忘れられぬ想いを宿した器。


時の流れに名は消え、語られることのない記憶となった。


けれどその行いだけは、今も伝説として刻まれている。


封印は、果たされた。


世界には光が戻り、人々は再び歩み始めた。


だが、その代償は大きかった。


魔術や錬金術、その術式の全ては忘れ去られ、世界から失われた。


そして、世界は“感情”が持つ大きな力、そのものを──忘れてしまった。


だが今、時は満ちた。


忘れられた記憶が、静かに、目を覚まそうとしていた。


それはまだ、微かな煌めきに過ぎない。


黒く沈む世界の底に、一粒の感情の欠片が揺れている。


それは、失われたはずの力に残された火種。


錬金術の火は、まだ──消えてはいない。


「ALCHEMY 12──


封じられた、感情の錬金術。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ