何色にでも染まる
「こんにちはー」
引きつりそうになる顔を何とかいなして、みんなの前で笑顔を見せる。
『夢のため、夢のため、夢のため……』
僕的には絶対NOだけど……ツテのない僕にできることなんて、これくらい。
流行りに乗って、人がたくさんいるところで、そして、あまりお金のかからない方法で……。
『とにもかくにも、人材確保!』
ひとりでやれることには限りがある。
なら、二人三人……せめて、5、6人くらい集まれば、それなりのものはできそうだ。
少なくとも、僕が警察に捕まらない程度のものは……。
昔を思い返して、心の中でため息をつく。
『ちっくしょー。あんな振る舞いしなけりゃなあ……』
昔のことだ。イキって、えばって、『僕最強!』とやってたら、法律に負けて、家族に裏切られて、牢屋に放り込まれた。
『二度と……二度とあんなヘマはしねぇ……。見てろよ、世界!』
僕はその時誓ったんだ。
『今度は、家族を警察に突き出してやる!』
どうせ、僕の家族だ。新しい世界に目がないに決まってる。
新しい刺激に飢えているに決まってる。
『見せてやるよ。あたらしい世界。そして、捕まえてやる。世界丸ごと、俺の傘下に……してやるぅ!!!』
そう。俺は誓った。
新世界の警察になる!
今の世界じゃー、規定が厳しいから〜、それが及ばない世界を作り上げて〜、僕の考えをルールにする。
夢はでっかく!
そして、現実は足元から。
『ってことで……』
僕は、配信業に目をつけた。
気楽に来れて、あたらしい世界が好きで、金があんまりかからねぇところ……。
市場調査にはうってつけだ。
『んで、僕でもやれそうなところ♡』
そして、選んだのさ。
僕が過去を忘れて、生き生き過ごせる、ユートピアみてぇな、最高の場所!
僕が選んだんだ。
だからきっと、僕みたいな考えを持った人間の巣窟に違いない。
そこから、何人か見繕って、俺のそばにおけばいい。
おっと、いけねぇ。ワルな僕が出ちゃったね。
ごめんごめん。
フッ……知ってんだぜ?
最近は、優しい対応が流行りなんだろう?
人を人とも思わねぇような厳しい対応は歓迎されない。
なら、流行りに合わせるが吉。
自分を偽ろうが、何しようが、僕は僕だ。
どれだけ困窮したって、僕は僕。
何一つ変わりゃ、しないんだよ。
ふっふっふ。今に見ていろ。
いつか、必ず、僕を裏切った連中をコテンパンにしてやるから。
腹の底から大笑いさせて、俺を邪険に扱ったこと、なめてかかったこと、全て後悔させてやる!
と、いうわけでー。
「今日も、みんな、よろしくねー♡キュルン」
スーパー白灰、誕生と相成りましてございます。