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海の挽歌  作者: 門戸
東の丘の最終決戦
249/256

249 東の丘の最終決戦35:虜囚

 

「どうなのよ、瀕死その後の調子は?」



 テルポシエ城、新北棟地下階。がらんと立ち並ぶ牢の一室、薄闇のような男の身体が、もやりと動いた。


 そこにさっと、外光があたる。左目元の引きつれたあざがうごめいて、それで男の笑い返すのがわかった。



「いつまで、こんな辛気しんきくせえとこに押し込めとく気だよ」



 開いた扉の敷居に立つ小さな魔女は、青い頭巾ずきんの下の眼を光らせる。



「知ってるか? ここの地下牢な、北の墓所につながってんだよ。とらわれ者を喰いに来る、死霊だか化物だかが出るんだ。俺もそのうち、喰われっちまうぞ?」


「ほーお……。それはそれで、まあいいかも。いずれにせよ、ここの牢はあたしの盟友となったティルムンおばちゃん達が、理術の結界を張っている。窓や扉を破ったり、牢番を殺して脱出とかはできないようになってるから、安心するのね」


「うげえ。またしても女だよ……」



 何だか、こないだまでのメインと似た状況になっちまったなー、とギルダフは笑顔の裏でうめく。



「さっさと衰弱することね。もう少し操りやすい状態になったら、また喋らせに来るわよん」



 すすす……アランはすり足後ろ歩きで、牢の外に出かけた。



「すげっ、こっち歩いてるようにしか見えないのに、うしろ進んだ。それも魔術か」


「あなたの知らない、秘儀の世界よ。じゃあまたね……」


「おいおいおい。べつに今話しても、全然かまわんよ?」


「あら、そうなの?」



 すすす……今度は前に進んできた!



「島の話、聞きたいんだろう?」



 割に快適な地下牢である。外光も風も入ってあかるい。それなのに男の瞳はすべての光を呑み込んで、全き深闇だった。


 対するアランの蒼い双眸が、ぎいんと光る。





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