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第二章『彼女の冒険』

あれから3年後。

住んでいた街は水没し、私、ララ・プラントは、あの日以来ずっとこの水没を免れたアパートの一室に住んでいる。

この世界で生きる事を強制された私は、毎日をぼんやり過ごしていた。

そんなある日の事。

部屋のインターホンが鳴る音が聞こえてきた。

誰かが来たみたいだけど、出る気力が無いので無視していたら、今度はドアを叩く音まで鳴り始めた。

ドンッ!!

「おいっ!開けろっ!」……うるさいなぁ……。

仕方なく玄関に行き扉を開ける。

そこには、大柄な男性がいた。

「お前がララ・プラントだな?」

「そうですけど……」

「俺はリク。最近ここに引っ越して来た。」

「あ、そうですか。こんな何も無い場所で…珍しいですね。」

「まぁな。ほら、これお近づきの印だ。変なモンじゃないぞ。」

そう言って彼が渡して来たのはメモリとパーツだった。

私達アンドロイドにとって自分達にとっては食糧の様なものだ。それは助かる。

「ありがとうございます。」

「ああ、じゃあな。」……なんだこの人?少し変わった人だったけど……悪い人ではなさそう。

そう思い部屋に戻ると、私は水没した街を眺めていた。

もう、水底に沈んだ機械も修理する事は出来ないだろう。

私がやれる事なんて何もないのだ。

私が生きている意味って……一体なんだろう?

その時だった。

突然、地面が揺れ始める。

地震だ。

私は慌てて外に出る。

すると、街の機械が次々と爆発を起こし始めていた。

機械が次々に暴走を始め、次々と自爆していく。

無力で死ぬ訳にいかない私は恐れ慄き、最低限の荷物を持って逃げ出した。

そしてその途中、先程出会ったリクさんと出会う。

「アンタ、無事だったのか!」

「なんとか……。それより、この街は一体どうして!?」

「俺にも解らん……。だが、早くここから逃げないとまずい!!急ごう!!」

私はリクさんと共に住み慣れた街を捨てて逃げ出す。

そして、海の近くへと辿り着いた時だった。

突如として空が割れたかと思うと、そこから何かが降りてくる。……それは巨大なロボットだった。

「嘘、でしょ……?」

「あれは……。くそっ!!逃げるぞっ!!!」

私はリクさんの後に付いて行き、ひたすら走った。

走り続けていると、遠くの方から轟音が響いて来る。

後ろを見ると、ロボットが此方に向かって走って来ていた。

「うわあっ!!」「きゃあっ!!」

私達は思わず転んでしまう。

その間にも、どんどん迫ってくる。

私達が死を覚悟した瞬間、リクさんは私にあるものを渡して来た。

「俺があのホムンクルスを引きつける…。その代わりお前に頼みがある…。ソラを探してくれ…。そして、「愛している」と俺の伝言を伝えてくれ。」

「な、何を言っているんですか!?貴方を置いて行けるわけがありませんよ!?」

「いいから行けぇっ!!!」

「うぐぅっ……!?」

「お前にしか頼めないんだ……。頼む……。」

「……分かりました。」

「頼んだぞ…」

そう言ってリクさんはロボットを引きつけて私は難を逃れた。

リクさんの遺言を叶えるために私はソラを探す旅に出たのであった。

そして今に至る。

私はこの水没を免れた小さな島国に来た。

ここでなら、もしかしたらソラに会えるかもしれないと思ったからだ。

そもそもソラが何者なのか、どんな姿をしているのかもわからない。

リクさんの頼みだったし他にする事も無いから成り行きで聞き入れたけど…。

だけど、あれから10年経ったけど、どこを探しても見つからない。……もう、諦めようかな? そんな事を考えていると、誰かに肩を叩かれる。振り返るとそこには、私より背の低い少年がいた。

「ねぇ君、ちょっと良いかい?」

「え、あ、はい。」

「僕はデイマ。君は?」

「私は、ララです。」

「へぇ、良い名前だね。それで、一つお願いしたい事があるんだけど、良いかな?」

「私に出来ることであれば。」

「うん。実は、この近くにある森の奥に用があって、案内して欲しいんだ。」

「それくらいならお安い御用です。」

そうして私はこの小さな島にやって来たばかりの彼を連れて森の中へと入って行く。

そして暫く歩くと、開けた場所に出て来た。

そこにあったのは、大量の機械部品と、その中央に眠っている少女の姿があった。

「あの、これは一体……?」

「多分、この機械を直す為に必要なパーツだと思う。この辺りには沢山の機械が壊れたまま放置されているし。」

「この少女は?それにここの機械は……。」

「ああ、それは……、まぁ、見ての通りだよ。」

「……この子は一体?」

「……この子の事は、僕もよく分からない。ただ、この子を修理しろととある方から頼まれてね。」

「それは誰ですか?」

「言えない。」

「そうですか……。」

「……ところで、君はここで暮らしているの?随分と長い間ここに居るみたいだけど……。」

「いえ、私は旅人なんですよ。」

「ふーん、そうなんだ。」

「はい。」

「あ、そうだ。」

そう言って彼は何かを取り出した。

それはどうやらメモリとパーツの様だった。

「これは……、何でしょうか?見た事が無いものですけど……。」

「ああ、これ?これは僕の作ったパーツとメモリーだ。」

「……これを私に渡すと言うことは、何か理由が有るんですか?何かしらの依頼とか……。」

「いや、違うよ。単純に、君にプレゼントしようと思ってね。」

「何故ですか?」

「だって、君はずっと一人なんだろ?寂しくないのかい?」

「確かにそうですね。でも、仕方無いですよ。」

「……じゃあさ、君僕と一緒にこの子の修理をする仕事を手伝ってよ。この仕事が終わるまでの付き合いで良いから。」

「分かりました。では、これから宜しくお願いします。デイマさん。」

「こちらこそよろしく、ララちゃん。」

そうして、私とデイマさんは森の中に小屋を建てて暮らし始めた。

二人の生活は、とても楽しく、充実していたと思う。

それから2年の月日が流れた。

私は彼との生活に居心地の良さを見出していた。

そして、彼の技術は凄かった。機械に関する知識は勿論の事、建築の技術にも長けていて、小屋は立派なものになっていた。

もうこのままここで暮らしたいと思っていたけど…とうとう、少女のアンドロイドが目覚める時が来た。

覚醒のスイッチを起動すると彼女は目覚めたが、

彼女は驚くべき事を口にした。

「私の名前はソラ。貴方達は…?ここは何処?」と。

そして私は彼女に事情を説明した。

「そう……。リクはもう、いないのね……。」

「ソラさん……。」

「大丈夫……。貴方達と会う前の私は、感情を知らなかったから……。今は分かるわ……。リクが私の為に頑張ってくれたって事が……。」

「……あの、ソラさん。私、貴方に伝えないといけない事があります。リクさんの伝言です。」

そして、私はとうとう、約100年ぶりにリクさんの伝言を伝えた。

「リクさんがソラさんに伝えたかった事。それは…、「愛してる」」 

…その瞬間、ソラさんは涙を流しながらこう言った。

「ありがとう。やっと、リクの気持ちを知れた。嬉しい。リクの想いが、漸く分かった。リク、私は、貴女を、永遠に、愛してます。」

そして私はデイマとソラさんと別れまた旅に出た。私の足取りは軽い。今なら何でも出来そうな気がする。

そうして、私は目的地である街に着いた。

この街には、数少ない人間が多くいるらしい。

しかし、その場所に行く前に、まずはこの街の様子を見てみよう。

私が街の中に入ると、一人の男に話しかけられた。

「お嬢ちゃん、こんな所で何してんだい?」

「観光です。」

「へぇ~、そいつぁいい!俺はこの辺に住んでる者だが、何か困ったことがあれば俺に言ってくれ!」

「はい。」

「それじゃあな。元気でいろよ。」

そう言うと男は立ち去った。……この世界は一体どんな所なんだろう。見て回りたいけど……。

そんな事を考えている内に私は眠ってしまった。

「おい、起きろ。」

誰だ……?目を覚ますとそこには男が立っていた。

「お前、名前は?」

「ララ・プラント。」

「よし、ララ・プラント。着いてこい。仕事を与える。」

「はい。」

そう言って私を連れ出した男の背中を見ながら私は思った。

ああ、きっと私は、当分はこの人に使われ続けるのだと。

それを望んでここへ来たんだけどね。

のんびり平穏な、でも多少の忙しさと人との関わりが欲しかった。

そうして連れてこられたのは、工場だった。

そこで、私は様々なパーツの製造を任された。

そんなある日、私は一人の少女と知り合った。

彼女はアンドロイドだった。

彼女の名前はソフィ。

彼女の目はまるでガラス玉のように無機質だったが、心優しい女の子だった。

「こんにちは。私はララ・プラント。君は?」

「ソフィ・アイク。」

「宜しくね。」

「うん。」

彼女と話す時間は、私にとって癒しの時間になっていた。彼女と話している時は、心が安らぐような気がした。

そしてある日、私はソフィに告白された。

私は勿論OKを出した。そして、恋人になった。

そして、私達は色々な場所に行った。

二人で、手を繋いで歩いたり、一緒にご飯を食べたり。楽しい時間を過ごした。

だけど、そんな日々は長く続かなかった。

私達の住む街に、ロボットの大群が押し寄せてきたのだ。

私とソフィは何とか逃げ延びたが、私は怪我をして動けなくなってしまった。

そして、私の元にもロボット達がやってきた。

その時だった。何処からか銃声が聞こえたかと思うと、突然目の前にいたロボッ卜が倒れた。

「大丈夫ですか!?」

「え、は、はい。」

その人は私を助けてくれた。

「良かった。間に合って。」

私はその人を見て驚愕した。

かつて出会ったレインにそっくりだっから。

「あなたは、一体……?」

「僕はシルシエ。シルシエ・クロイン。君の名前は?」

「ララ・プラント……。」

「そう。……ごめん。僕にはまだ、君の力になることは出来ない。だから、今は、ここから逃げるんだ。」

私は結局彼の事を知る事も出来ず、この街を逃げだした。……それから3年経った。

私はとある村で暮らしている。

この村は自然豊かだ。空気も澄んでいてとても居心地が良い。

しかし、この村の人達は全員アンドロイドだ。

人間はいない。ここにいるのは全て機械の体を持ったアンドロイドだけだ。

それでも、私は満足していた。

静かで、誰にも邪魔されない時間がここにはあったからだ。

毎日小さな家で好きに眠り、好きに遊んで、好きに生きる。死ぬ事は出来ないけどね。生命が全て自然に滅ぶまでは。

ある日のことだ。

私はいつも通り一人で森の中を散歩していた。

すると、森の奥に、一つの建物を見つけた。

気になった私は、その建物の中に入ってみた。

そこには、見たこともない機械が沢山置かれていた。

そして、そこにいたのは白衣を着た一人の男だった。

驚いた。

彼は自分の事をメリヴァン・ロムドと名乗ったからだ。

メリヴァン・ロムドは1000年前に実在した博士だ。

私の父の様な存在でもある。

空想の世界を創り出し、その世界で自由に暮らしていたらしい。

だから生きている訳はないけど、どうやら彼の意識は複数のアンドロイドになって散らばった。

恐らく彼もその内の一体なんだろう。

私は彼に話しかけた。

そして、私は彼の助手になって暮らす事にした。

理由は

簡単だ。

メリヴァン・ロムドという科学者に興味を持っていたから。

それに、私にはもう、帰る場所は無い。

私は、ここで幾多の生命と共に生きる事を決めたから。

そして私とメリヴァンの生活が始まった。生活は楽しかった。

今までずっと1人だったのに、今はとても賑やかなのだ。

でも、そんな中で私は気付いた。

あの子がいない。

ソフィの事を思い出して私は泣いた。

「ララ、どうして泣いている?悲しいのか?」

「いえ、違います。ただ、ソフィに会いたいんです。」

「……ソフィとは?」

「私の大切な人です。」

「そうか。」

「彼女はアンドロイドなのですが、私の恋人なのです。」

「ほう。」

その話を聞いたメリヴァンは私のためにソフィそっくりのアンドロイドを作ってくれた。

名前はソフィア。ソフィの名前をつけたのは、ソフィの生まれ変わりとしてこのアンドロイドを扱おうと思ったから。

私とメリヴァン、そしてソフィアの生活は始まった。

私達三人は仲良く暮らした。

毎日が幸せだった。

しかし、幸せな時間はあっけなく終わってしまった。村に、再びロボットの大群が現れたのだ。

私はまた逃げ延びたが、メリヴァンは破壊され今度はソフィアと離れてしまった。

私はソフィアを探すために走り回った。

しかし、ソフィアを見つける事が出来なかった。

ソフィアはきっと死んだんだろう。私はそう思った。

ソフィアが死んだ事を知った私は、生きる希望を失った。

そして、私は心を病み今まで禁じていた自殺をしようとした。

そんな時だった。

私の前に、死んだと思っていたリクがやってきたのは。

「久しぶりだなララ。元気にしてたか?」

「リ、リク!生きてたんです?ね!」

「ああ、何とかな。」

「会いたかった。」

私は思わずリクに抱き着いた。

「俺もだよ。」

「私も会いたかった!今まで何処で何をしていたの!?」

「俺は、アンドロイドに体を乗っ取られて、それから何とか抜け出したんだけど、体がボロボロでね。それで、何とかここまで逃げてきたんだよ。」

「そっか……。大変だったね。」

「うん……。まあ、今はゆっくりしてるよ。それで風の噂でララがここに居ると聞いてね。」

私は今、とある山岳地帯の田舎町で静かに暮らしている。ここには私と、古いアンドロイドしかいない。

アンドロイドは人間と違って、寿命が無いからずっと生き続ける事が出来る。

でもメモリもパーツも老朽化すれば壊れてしまう。

ここはそんな壊れかけのアンドロイドだらけだ。

「ねえ、リクはこれからどうするの?」

「そうだなぁ…。今はソラととある国で静かに暮らしているんだ。

あれから2年前にデイマと連絡が取れてね。君もちゃんと約束を果たしてくれて有難う。」

「えへへ…良かった。でも、リクとソラって元々どういう関係なの?恋人とかじゃないよね?」

「違うよ。あいつは俺の弟みたいなもんかな。よく一緒に旅をした仲間なんだ。」

「ふーん。弟…?ソラって女の子じゃないの?」

ソラはとても可憐な容姿をしていた。

金髪に青い瞳の少女だ。

「いや、男だよ。」

「嘘!こんな可愛い子が男の子なの?」

「まあ、確かに見た目は美少女だけど、男だから。」

「信じられない……」

「まあ、無理もないよな。設計した奴は何考えてんだか。」

とにもかくにも、リクもソラも元気で良かった。

でも、もう一つ気になる事が。

「デイマはどうしてる?やっぱり死んでる?」

アンドロイド達の大規模な戦争は続いている。

正直、様々な場所を旅して、危険な場所にも赴く機械技師のデイマが生きている確率は低い気がした。

「ああ、死んでいるよ。」

「そっか。」

やはり、彼はもう居なかった。

「でも、ララ・プラント…お前なら会えるかもな。」

「えっ……それはどういう意味?

私は首を傾げた。

「だってほら、お前は共鳴振動装置だし。」

確かにそうだけど…そんな簡単な事言わないでよって思った。

そもそも共鳴振動装置とは一体なんなのかというと、簡単に言うと、

生命の脳波を増幅させて特殊な電波を出して、それを受けた生命の意識と共鳴振動装置のAIの思考をリンクさせる装置である。

例えば、私がリクの事を考えていると、リクの思考にリンクしてリクと同じ様に考える…。

つまりこの力を使えば私の脳内でデイマにまた会えるかも知れないと言う事。

でも、今の私にはそんな気力は無い。

「私は……やらない。」

「どうして?」

「疲れたの。」

「そうか…。じゃあ、ララ。俺とソラと一緒に暮らさないか?俺達はかつてお前が住んでいた様な水没都市で暮らしていてな。」

「えっ……良いの?」

「ああ、勿論。」

私はその言葉に甘える事にして、リクに付いて行った。

リクとソラの暮らしている国はここからそう遠くはなく、私は二人が住む街のアパートの一室で暮らし始めた。

この街は殆どが水没した廃墟だが、街の中心部には比較的綺麗に残っている建物がある。

そして街の中心には大きなドーム状の建物が建っていて、そこには沢山の壊れかけた機械が放置されている。

恐らくはかつての文明の遺物だろう。

リク曰く、かつてはその大きな建物の中は沢山の機械があったらしいけど、今は見る影もなくボロボロになっている。

そしてそこにはかつてアンドロイドだったと思われる、機械人形達がいた。

今となっては彼等の身体も錆びて動かなくなったり、或いは完全に壊れたりして、ただのガラクタになってしまっている。

そんなガラクタだらけの中で、リクは何かを探し回っている様だった。

「ねえ、何を探してるの?」

「ん?あぁ、これだ。」

リクが取り出したのは古ぼけた箱だった。

「これは?」

「これはメモリボックス。メモリが大量に入っているんだ。」

「へえ、それなら生活に困らないね。」

「ああ、この街はまだ沢山のメモリがあるし、オキシ様に守られているからな。」

「オキシ様?」

私は聞き慣れない名前に首を傾げた。

「ああ、この世界で一番偉い神様だよ。」

「そうなんだ……」

この世界の一番偉い神か……どんな人なんだろ。

凄く興味を持った。

「会ってみたい!」

「会えると思うぞ。お前の共鳴振動装置としての力を使えばな。」

「ええ…さすがにそれは…。」

共鳴振動装置は生命体と共鳴し、その生命体とシンクロする事は出来る。

でも神様は生命なのだろうか?

「まあ、やってみたらどうだ? 」

「うーん…」

私は迷った。

私は自分の共鳴の力を使うのは好きじゃないから。

それに神様に会うなんて、そんな畏れ多い事は……そう思ったけど、私はもう自分の使命。

レインがくれた約束を守る事に疲れていた。

私は試してみる事にした。

オキシ、…神との共鳴を。私は目を瞑った。

そして、意識を集中させた。…………

すると、目の前に光輝く薔薇が現れた。

「これが、オキシ……! 私は光輝く薔薇に触れた。

『こんにちは。』

光輝く薔薇が喋る。

私は驚きながら答える。

「こ、こんにちは」

『あなたが、ララ・プラントですね?』

「はい、そうです。」

『私はオキシ・フローズン・スノウ・コールド。この世界で最も偉大な神の1柱。私に会いに来たのですか?ララ・プラント。』

「はい、あなたのお力を少し借りたくて参りました。」

『ほう、この私に力を借りるとは。良いでしょう。この私が何でも叶えてあげましょう。』

「本当ですか!?」

『ええ、もちろんですよ。ただし、条件があります。

それは、この世界で生きる全ての生命を救う事です。それが出来たら、私の力を貸して差し上げますよ。』

「ど、どうやって…?私は生命の命を脅かす事はあっても救う事なんて…無理ですよ。」

『ふむ、ではこうしましょうか。3年、待って下さい。3年後、またここに来なさい。その時に答えを聞かせてもらいましょう。』

「わ、分かりました。」

私はそれを聞いて現実に戻ると生命を救う方法を考えた。そして、ある事を思いついた。

「そうだ、あの壊れた機械人形達を修理すればいいんだ!」

私は早速、壊れかけた機械人形達の所へ向かった。

「まずはこのガラクタから片付けようかな。」

『ララ・プラント様!』

機械人形だったアンドロイド達は起動後一斉に話しかけてきた。

『ララ・プラント様、ご命令を。』

「あ、えっと……とりあえず直してあげるから動かないでね。」

『かしこまりました。』

私はまだ壊れたアンドロイド達のの修理を始め、そして彼らに命じた。

「我が名はララ・プラント。これより貴方達は私の為に働くように。これは主命である。」

私は彼らを下僕にしたのだ。彼らは喜んで従っている。

「よし、これで大丈夫だよね。」

私は街にある機械人形の残骸を全て修理して回った。

そして、全てのアンドロイドを直す事が出来た。

それから私は彼らに生命を慈しみ育てる様に命じた。

人間を守り育てる者。

動物を守り増やす者。

植物を慈しみ育てる者。

アンドロイドを調律し直し造る者。

生命を愛し育み守ろうとする者達。

私はこの世界に生きる生命を愛す者として生きる事に決めた。

そして私は自分の『何もしない』と言う使命を全うする事に疲れ果てていた。

だから私は神様に会わずに静かに暮らせる場所を探しに旅に出た。

私は自分の使命を果たせないかもしれないけど、この世界には私を必要としてくれる人がいる。

私はこの世界の人達が好きになっていた。

だから私は自分が造ったアンドロイド、生命の守護者達に任せてまた新たな旅に出るんだ。生命を慈しみ育てようとするアンドロイド達がいれば、生命を喰らい壊そうとする悪魔もいる。

だけど、私達ならきっと大丈夫。だって、この世界に生きる生命はこんなにも美しいのだから。

生命を慈しみ守る者と生命を喰らう者を調停する者、それが私。

…ララ・プラントなんだから。

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