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嫁になんていかないからねっ。  作者: しゅーまつ
未成年編

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海の向こうにあるらしい

「ど、どうしたの?」


「姫様、気持ち悪くはないのですか?」


「何が?」 


「魚に黒い得体のしれないソースなんて気味が悪いです」


「ゼル、アーンしてみ」


「いっ、嫌です」


「あっそ。ポンデ、スダチとかゆずとかある?」


「う、伺って参ります」


マグロやイカは醤油でいいけど、鯛にはちょい濃いからポン酢でいきたいのだ。


ポンデがいくつか持ってきてくれたのでバタフライナイフをシャカシャカと出して半分に切り刺身に絞る。そして醤油とワサビでいくとやっぱり旨いわ。


「シャルロッテ、なぜお前は躊躇なく食える?」


「え?美味しそうだったから。バレンシア、こんなのあるならあると言えよ」


「醤油も平気なのか?」


「これ、ガーデンで売ってよ。料理の幅が飛躍的に広がるから」


「昔、持って行って気味悪がられたのだ」


「見たことないソースならそうなるかもね。ちゃんと食べ方を教えないからだよ」


「魚ぐらいにしか使わんだろうが」


「ばっか、何を言ってんだよ。なんにでも使えるわ。肉にもめちゃくちゃ合うんだぞ。じゃがいもにも合うし、ラーメンもさらに旨くなるから。ポーション工房で独占販売させてほしいぐらいだよ」


「父上、シャルロッテに独占販売の許可を頂けませんか」


「シャルロッテ姫よ、醤油は他国でも受け入れられるのであるか?」


「もちろん。死ぬほど売れると思います。今ポンデに持ってきてもらった柑橘類も同時に卸して欲しいですね」


「先程刺身に掛けておったが。そうすると旨くなるのであるか?」


「少しお待ち下さいね」


と、ゆずとスダチを絞って醤油と混ぜて味見する。なんか物足りないけどこれでいいか。


「はい、陛下。完璧ではないですけどこれで鯛のお刺身をお試し下さいませ」


と調合したものを渡すと、サンキスト王とネーブル王妃が試した。


「む、鯛の刺身はこちらの方が合うな」


「砂糖とかカツオ出汁とかも調合するともっと美味しくなりますよ」


その後はサンキスト王と話が弾むシャルロッテ。メインは魚のムニエルらしいのでオレンジソースではなくレモンを絞ってもらった。


「バレンシア、オレンジの魚旨いな」


「お、おぉ。そうだろ」


「他はどんな魚があるの?」


「俺は魚の名前はよく知らん。後でコックと話してみるか?」


「いいの?」


「レシピを教えてやってくれ」


バレンシアとそんな話をしながらデザートのオレンジをパクパク食べてるとアームスが、


「メロンはあまり食わなかったのにオレンジはよく食べるな」


「程よい酸味だから食べやすいからかな。メロンには酸味ないでしょ?甘いのが好きな人はメロンの方がいいけど、ほら私はレモンとか好きだから」


メロンよりオレンジを食う俺にアームスは不服そうだった。


食後、クインシーはサンキスト王とネーブル王妃と別室で話をするらしい。俺はコックと打ち合わせだ。



ーサンキスト王とクインシーー


「クインシー王妃、この度の訪問は縁談の話でございますか?」


「いえ、本当に同行させて頂いたまででございます。アームス達だけであれば同行はいたしませんでしたわ」


「シャルロッテ姫の同行と言う意味ですかな?」


「そう。あの子は何を仕出かすかわかりませんのでね」


「シャルロッテ姫は元ストロベリー家の姫で離籍したと伺っておりますがなぜクインシー王妃が後見人を?」


「シャルロッテが離籍せざるを得なくなったきっかけを作ったのが愚息のアームスなのです。まぁ、今となっては功績でありましたけど」


「バレンシアからシャルロッテ姫を是非紹介したいと手紙にありましてな。確かに彼女は物怖じもしないし博識でもある。それになんといっても実に愛らしい姫ですな。アームス王子とご婚約を?」


「残念ながらシャルロッテにその気はないようですね」


「クインシー王妃、バレンシアとシャルロッテ姫はお互いに呼び捨てで呼び合う仲みたいですね」


「ネーブル王妃、シャルロッテは物を知りません。誰に対してもああなのです。バレンシア王子を特別扱いしているわけでもありません。無礼な態度をお許し下さい」


「シャルロッテ姫は海の魚や醤油を知っていたようですが海の近くで育ったのですか?というより醤油をなぜ知っていたのでしょう?あれは外には出しておりません」


「シャルロッテは幼少の頃より本をたくさん読んで来たようですから知識が豊富なのです。もう学園の卒業資格も持っていますし、ポーションの資格も持っています。私も惹かれる物があって後見人になりましたが正直驚くことばかりですわ」


「面白い姫でありますな」


「えぇ本当に」


「シャルロッテ姫はメロン籍に?」


「いえ、メロンの王族の身分を与えてはおりますが籍は入れておりません。彼女の正式名はシャルロッテ・マーセナリー。私の実家の家名を与えました。マーセナリーは私の弟が王をしておりますので恐らくマーセナリーの王族になっているやもしれません」


クインシーはサンキスト王からバレンシアとの婚約を言い出さないようにあえてマーセナリーの王族の話をした。これで正式な申込みはメロンとマーセナリーにしなければならないからだ。


「シャルロッテ・マーセナリーですか。それはなかなかハードルが高いですな」


「はい。シャルロッテは高いハードルで囲まれておりますわ」


そしてしばしの沈黙の後、


「あの醤油というものはオレンジで昔から使われているものなのですか?」


「いえ、あれはヤバン、和国と呼ばれるところから伝わったものなのです」


「貴国は和国と繫がりが深いのですかな?」


「船での貿易はよくしております。和国のオレンジよりこちらのオレンジの方が甘いとのことで輸出をしております」


「オレンジを他国に販売ですか?」


「小国は色々と大変なのですよ」


「オレンジもフルーツ連合国だということをお忘れなきよう」


「勿論ですとも。こうして大国のメロンの王妃がわざわざ来て下さったのです。是非友好国となりたいものですな」


「そうですね。メロンとオレンジは離れておりますが良い関係を築けるものと私も思っておりますわ」



ー食堂ー


「カツオを醤油に?」


「カツオを木みたいに固めた干物みたいなのない?」


「あー、ヤバンの商人が持って来た事があったかもしれません。言葉が違うので使い道がよく分からなかったのです」


「ヤバンて外国?」


「そうです。海の向こうの国です。醤油もそこから伝わったものです。刺身とかもそうです」


「その商人はいつ来るの?」


「半年に1度ぐらいですね。次に来るのは秋頃だと思います」


秋か。言語はもしかしたら召喚特典ですぐに理解出来るかもしれないな。


「バレンシア」


「なんだ?」


「私、この国に勝手に来ていい?」


「は?」


「ヤバンの商人と話をしたいんだよね。私は授業に出なくていいから秋でも来れるし。バレンシアは授業あるでしょ?」


「休むっ」


「いいよ。バレンシアに用があるわけじゃないから」


「なら私が相手してあげるわ」


と、バレンシアの妹ユズ姫が言い出した。


「ユズ姫はフルーツ学園に通ってないんだよね?どうして?」


「だって小国の姫なんて肩身狭いし、冬は帰って来れないからこっちの学校で十分なの」


ユズは3つ上だ。勝ち気そうな感じだから自分より上の国の生徒がいるところには行きたくなかったみたいだ。


「それより刺身とかよく食べたわね?私は生臭くて嫌いなの」


「苦手な人はそうかもね。嫌いなら無理して食べなくていいよ。魚は嫌いなの?」


「魚は好きよ」


「なら、天ぷらの方がいいかも」


と、ようやく本題のレシピの話になった。レシピを検索してコックに伝える。後は今どんな魚があるか教えて貰ってそのレシピも検索する。今の旬はメバルやサワラとかのようだ。メバルは煮付けに、サワラは味噌漬けか。


「味噌ってあります?」


「仕入れた事がありましたが今はありません」


「米はある?」


「米ですか?あるにはありますが」


やった!


「米も明日のごはんに炊いてくれる?」


「あれは家畜の餌でして」


え?


「人は食べないの?」


「はい。どうにも臭くて食べられないのです。ヤバンでは食べているようですが」


それでもいいから用意をお願いした。明日昼飯後に一緒に作ろうとなった。


クインシーにヤバンに行きたいと行ったらダメって言われるかな?元の世界のものがザクザクありそうなんだよね。


売れなくてもいいら自分用に欲しいと思うシャルロッテなのであった。

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