どうやら女性上級生を敵に回したらしい
「シャルロッテ、自分の工房を持つのか?」
アームスから聞かれるので話さざるを得なくなって説明する。
「研究室の卒業生の働く場所か」
「そう。ポーション士として将来の為にまともな工房を作ってくれとリッカ先生に言われたの」
「出来そうなのか?」
「うん。そのために売れるものを開発中。今までにないポーションをどんどん開発しないとね」
「それがあの回復ポーションと飲むカイロか」
「そう」
「他には何を作るつもりなのだ?」
「痛み止とか色々。新しい物も必要だけど今あるポーションをより使いやすくとかそんな感じ」
「フッフッフッ。俺は錬金術のポーションコースに受かったのだ。これで春から同級生だなシャルロッテ」
とバレンシアが自慢気に言う。
「は?第一王子がポーションコースに行くのか?」
と驚くフジ。
「バレンシア、同級生は無理だよ。私は授業出てないし、もう資格持ってるから」
「は?」
「レインに資格取れる所まで教えて貰って、リッカ先生から資格もらったから授業は出てないよ」
「な、何だそれは?まだ新学期も始まってないだろうが」
「新しいポーション売るのに資格必要だったからね。もう資格もらった。バレンシアも早く資格もらえるように頑張ってね」
「それなら俺もリッカ研究室に入るぞ」
「無理だと思うよ。貴族も王族も取らないって言ってたじゃん」
マシューに言ったんだけっか?まぁどうでもいいや。俺が採用するわけじゃないし。
「いちご姫」
「なんですか?フジ王子」
「お前は初級クラスから飛び級で上がったのだったな?」
「そうですよ。もう卒業試験も受けなくていいのでいつ卒業しても良いと言われています」
「何歳まで学園にいるつもりだ?」
「成人するまでは学生でいるつもりです」
「メロンケーキはお前が考えたのだな?」
「ハイ」
「りんごは何か考え付くか?」
「まぁ、色々とあるでしょうね」
「いくら払ったら教える?」
「お金はポーションと他の商品で稼ぐから別にいいです」
「教えろっ!アップルは再興せねばならんのだっ」
「私の知ったことではございませんけど?」
「オレンジには何か教えるのだろうが」
「約束はしてませんけどね。まぁ、オレンジというより柑橘類の利用方法がたくさんあるだけです。フルーツは貴族向けですけど、柑橘類は一般の人でも手に入るように出来るそうですから」
「何っ?」
「オレンジは現代表国のマスク王に許可を得ている。オレンジ以外は庶民に販売しても構わんとな」
「オレンジ王は許可したのか?」
「それはシャルロッテがする」
は?
「そんなの聞いてませんけど?」
「父上に紹介すると言っただろ?」
「国の方針決定なんて自分でなんとかしなさいよ」
「大丈夫だ。あのレモンジャムとはちみつレモンを作ってくれればいい」
そういう意味か。
「あれはレシピ登録しているので私と契約を交わして下されば宜しいですわ。そしてご自由に販売下さいませ」
「マンゴーは何かないのかっ」
「フルーツは何でもあります。庶民に販売するならレシピを考えますわ」
「メロンにはケーキを考えたではないかっ」
「メロンというよりクインシー様にお世話になっているからです。身寄りのなくなった私に手を差し伸べてくれたクインシー様の恩にお返しするのは当然です。それにメロンの人々はとても良くしてくださって、ゼルにも身分を与えてくれているのです。この学園にも今まで通りいれるようにもしてくださった上にフワフワもむちむちもお父さんも与えてくれたのです」
フワフワ?むちむち?と変な顔をされる。
「という訳でございますので、肩入れするのはメロンのみ。オレンジは庶民向けの商品を考えるだけにございます」
そういうとデルソルとフジは怒ってしまったけど、君たちには世話になってないからね。
「い、イチゴは何かありますのかしら」
ベリーベリーがツンツンしながらも聞いてくる。
「ありますけど、もう離籍した身ですので出過ぎた真似はしたくありませんで」
好きなだけその良いものを揉みしだいていいなら何か検索してあげるけどね。
そういうとついに夜叉姫となってその場を去って行くベリーベリー。下をみると取り巻きにめっちゃ睨まれてる。ストロベリーの貴族なんだろうなあれ。コトカとアキも試験が終わったから部屋に呼ぼうかと思ったけど止めておこう。とばっちりが行くと申し訳ないからな。
「シャルロッテ。面倒に巻き込まれるような事はするなよ」
「ワイルド様、いつもご心配ありがとうこざいます。ワイルド様が王になられましたら何かレシピを考えますわ」
「そうか。ならちゃんと王を目指さねばならんな」
シャルロッテはストロベリー王国にというよりワイルドには何かしてあげたいなと思って言った一言がストロベリーの王争いに拍車をかけたことには気付いていないのであった。
デルソルとフジも拗ねてどこかへ行ったのでバレンシア達と春休みの打ち合わせをしてこの場を離れたのであった。
帰るときも貴族女子達の視線が痛かった。
「バリ姉、何でラウンジに来なかったのさ?」
「あそこは成人してないといけないの」
え?
「アームスに連れて行かれたけど?」
「上級生に睨まれたでしょ?」
「うん」
「成人してるというのは暗黙のルールなんだ。だから成人したらやっとあそこに行っていいよって感じなの」
「もう行かないからいいけどさ、アームスもそんなの所に連れていくなよな」
「アームスにぃは今あそこで一番偉い人みたいな感じだからね。皆も文句は言えないでしょ」
「でもバリ姉は知ってて私を見捨てたんだよね?」
「アームスにぃは私に来いとは言わなかったじゃない。あそこにいる男の人はまだマシだけど女の上級生って面倒なのよね。ベリーベリー様とかいたら面倒じゃない」
こいつ・・・いつなら私もって言うくせに。
「私は今から研究室に行くから」
「えー、今日休みじゃん」
「レインは研究室に行ってるし私もすることがあるの」
「私も行くっ」
「研究室は部外者立ち入り禁止なの」
と、ユーバリーが俺を見捨てた罰に俺もユーバリーを見捨ててやった。
「姫様、今日は休むといっておられませんでしたか?」
「もうラウンジで疲れたし、バリ姉の相手も疲れたら外に出る。ちょっと街中をプラプラしよう」
日頃行かない中央の方へ出向く。街を歩いている人がチラホラとレモンジャムの瓶を持っている。あれ?
「あのジャムってサバーンの瓶と違うよね?」
「新しいのを売り出したのですかね?」
そのまま歩いて行くとイチバーン商店からジャムを持った人が出てきた。あれ?と思って店に入るとレモンジャムが置いてある。しかもよくみると上底瓶で同じ値段だ。
「ゼル、商業ギルドに行くよ」
そしてそこでレモンジャムのレシピを聞くと契約書を持ってきたから販売したとのこと。
「私、イチバーンと契約なんてしてません」
「え?」
そして商業ギルドが調べるとの事で後日また来ることになった。
帰りにサバーンに寄って買い物がてら不正かもしれないことを話す。
「イチバーンだったか」
「なんか知ってるの?」
「いやな、奥さんがこんな上底してるなんて酷いじゃないと言ってきた人がいてな。うちじゃないと追い返したんだよ。てっきり嬢ちゃんがよそとも契約したのかと思ってたわ」
「こことしかまだ契約してないんだけどね、契約偽造してたらどうなるの?」
「最悪商店の登録取り消しだな。悪質でないと判断されたら罰金で終わるけど」
「罰金てどれくらい?」
「レシピ登録者がどこまでの罰金を望むかによる。つまり嬢ちゃんがどこまで罰金を請求するかによるぞ」
「どれぐらいが妥当?」
「まぁ、ジャムで売上た金額の3倍くらいだろうな」
「今までにこういうことあった?」
「あるぞ。大体イチバーンがごねてレシピ持ってる者が圧力かけられて終わる。無理矢理契約させられて契約前のレシピ代を払って終わりだ。あそこはタチが悪いんだ。ガーデンの衛兵の上にも顔が効くしな」
そうやってあの地位を確保しているのか。こりゃ面倒だな。
一応、このガーデン都市は貴族の力を無理矢理行使しないという前提がある。貴族に逆らいはしないけど中立都市として独立しているからな。
「ありがとう。もしここが何か嫌がらせされたら教えてね」
「ありがとうよ。嬢ちゃんも気を付けなよ」
「姫様、どうされるつもりですか?」
「まぁ、商業ギルドの調査待ちだね」
学園に戻って食堂にラーメンの発注に行く。
「あんたいつもそんなに買うけど売り歩いてんのかい?」
「違うよ。リッカ研究室とオドバル研究室に置いてるんだよ。お金無い人が結構食べるから減るの早いんだよね」
「なんだい、学園内で売ってるのかい?」
「そう。お金いれる箱置いてあるからそこに勝手にお金入れて持って行ってもらってる」
「リッカ先生とオドバル先生のところだね?それならこっちで配達してあげるよ。毎回大変だろ」
「そんなのしてくれんの?」
「いくらで売ってるんだい?」
「銅貨2枚」
「なら差額は振り込んであげるからまかしときな。ただし箱にお金入ってなかったらいちご姫もちだからね」
別に利益を取ろうと思ってる訳ではないからそれぐらい構わない。というか足りなかった事は一回もないしね。
「あと、イチバーンが契約したからラーメンを売れと言ってきたけど本当かい?」
「いやサバーンとしか契約してない」
ここでも偽造しようとしてたのか。悪質だな。
「おばちゃん、次も言ってきたら契約書見せなって言っておいて」
「わかったよ」
食器は後で返すからとハンバーグセットを3つ頼んで持って帰る。レインもそろそろ帰ってくるだろうからな。
そして部屋に帰るとユーバリーが拗ねて待っていたので俺はラーメンを食べたのであった。




