F4とか
「ベリーベリー様。お久しぶりでございます」
「そんなのどうでもいいわ。どうして姫でもないあなたがこの席を使おうとしているのか聞いていましてよ」
別に使いたい訳ではない。連れて来られたのだ。
「アームス、居心地悪いから帰るよ」
他の人からもヒソヒソ話をされている。薄っすらと調子乗ってんじゃないわよチビがとかも聞こえてくる。
「アームス殿下を呼び捨てで呼ぶなど失礼ですわよ。何様のつもりかしら?」
あ、人前でアームスを呼び捨てにするのは問題だったな。
「ベリーベリー姫、私が呼び捨ても許可しているし、ここへ連れて来たのも私だ。口出しをしないで貰いたい」
「アームス殿下、それでは秩序というものが乱れます。身分差はきちんとわきまえてもらわねば困りますわ」
「シャルロッテはメロンの王族だ。身分差など無いっ」
「えっ?」
「母上がシャルロッテの後見人になったのだ。身分もメロンの王族になっている」
「そ、そこの護衛は庶民で・・・」
「ゼルはメロンの王宮騎士で貴族籍も持っている。問題ない」
「アームス、もういいよ。揉めてまでここにいたくないから」
「そ、そうか。なら俺の部屋で」
「アームス殿下の部屋に行くですってっ」
キーっとなるベリーベリー。前みたいに可愛がるふりをして抱きしめてくれるなら首筋にキスマークでも付けてやるんだけどな。ストロベリーから離籍してるからもう可愛がってくれるふりをしてくれることもないだろう。意地悪金髪縦ロールはちょっと魅力的だから残念だ。
「よう、シャルロッテ。ここにいたのか」
「あ、バレンシア」
アームスに続いてオレンジ王子バレンシア登場。
「さっき部屋に呼びに行ったらいなかったから探したぞ。春休みの予定を打ち合わせたい」
「春休みの予定?」
ベリーベリーがバレンシアの言葉に引っ掛かる。
「あぁ、ストロベリーの姫様か。これはこれはご機嫌麗しゅう。そんなに眉間にシワを寄せていると綺麗な顔が台無しだな」
バレンシアは褒めるフリをして醜い顔してるぞと言うような感じだ。
「これは小国の王子様。随分とその小さいのと仲がよろしいようで」
「アームス、お前もいるならちょうど良かったぞ。来るのはアンデスとユーバリーで良かったな?」
と嫌味で返してくるベリーベリーを華麗にスルーするバレンシア。
「バレンシア、レインも連れてっていいかな?」
「あの講師か?んー、かまわんぞ」
レインにはまだ言ってないけど連れて行こう。飯とか心配だしな。
ベリーベリーがなんかキーキー言ってるけど、アームスもバレンシアも無視してここで打ち合わせようと座らされてしまった。
そしてアームスが希望者を募ってメロンケーキを出した。下の席にも配られているところにデルソルともう1人やってくる。皆テストが終わったから集まってきているのだ。
「アームス、これみよがしにケーキを配るとは自慢のつもりか?」
そして何も言わずに俺の隣に座るデルソル。
「ほー、これがいちご姫か?」
「えっとどちら様?」
「アップルのフジだ。俺を知らんとはな」
フンと偉そうにされるけど知らないのだからしょうがない。一度遠くからゼルに教えられたけど。
「な、な、な、なぜデルソル様とフジ様もそんなちびに構うのですかっ」
「ベリーベリー姫も宜しかったらこちらへどうぞ」
ベリーベリーはツンツンしながらもアームスの隣に座った。
「シャルロッテ。今回の春休み中はずっとオレンジにいることになる。父上にも紹介するからな」
「オレンジの陛下に?面倒臭いの嫌なんだけど」
「バレンシア、お前シャルロッテをオレンジに招待したのか?」
とデルソル。
「マンゴーには関係ないだろ?冬休みにメロンに世話になったからアームス達も招待している」
「は?メロンに行ったのか?」
「あぁ、さすがはメロンといったところだな。メロン軍は素晴らしかったぞ。なぁ、シャルロッテ」
「ソウデスネ」
ジーク・メロンの事は言うなよ。
「バレンシアよ、いくら下位国だからと草とつるむのか?」
フジがそう嫌味を言う。
あー、メロンとストロベリーは野菜という嫌味か。元代表国のアップルはプライドが高そうだな。
「デルソル、お前が気に入ったチビはこいつだろ?ストロベリーの次はメロンと世渡り上手なチビのどこがいいんだ?」
「フジ、お前は知らなくていい。競争が激しくなるからな。シャルロッテ、夏休みの予定は決まっているか?」
「まだ春休みにもなってませんよ」
「夏休みはマンゴーの最盛期だ。より質の高いものが手に入る。招待するから思う存分食べろ」
「別にいいです」
「またお前はそんな事を言うのかっ。なぜ素直にハイと言えないのだっ」
「忙しいし」
「オレンジには行くのだろうがっ」
「オレンジには海があるみたいだから。探したいものもあるし」
「マンゴーにも海ぐらいあるっ」
どうやらオレンジとマンゴーは南の方にあり、マンゴーはより南国よりらしい。夏は海水浴とかも出来るし、遠浅の海はとても美しいと力説された。
「日焼けするし海水浴とか別にしたくない」
お目当ては寒天なのだ。シャルロッテボディは暑さにも寒さにも弱いから日焼けなんかしたら偉いことになるだろう。昔やった夏の玉遊びも辛かったのだ。
「ぐぬぬぬぬっ」
とデルソルは悔しそうだった。
「なっ、なぜこんな妾腹の卑しい者を皆様はお誘いになるのですかっ。私は誘われた事などございませんのにっ」
「シャルロッテは面白いからだ。ストロベリーはよくこいつを手放したものだな。人を見る目がなさすぎるぞ」
バレンシアがベリーベリーをバサッと切る。
「なっ・・・」
プライドの高いベリーベリーは夜叉みたいな顔になってる。おぉ怖ぇ。そんな顔したら嫁の貰い手がなくなるぞ。
ベリーベリーがガタッと立ち上がって癇癪を起こしかけたところに、
「姉上、殺気が出てる」
ワイルド参上。
「ご無沙汰しておりますワイルド様」
「下からお前の髪が見えたからな。珍しいなここに来るなんて」
「アームス殿下に連れて来られましたの」
「そうか。仲良くやっているようで何よりだ」
「ワイルド、お前がここに来るの珍しいな」
「アームス、シャルロッテがいたからだ。みんな揃って何をしている?」
「ベリーベリー姫は綺麗ですねと話していたところだ」
「姉上は黙っていれば美人だからな」
「ワイルドっ。黙っていればとはなんですかっ」
「美人が台無しですよ姉上。シャルロッテが怯えている」
ワイルド、俺を出汁にしないでベリーベリーを刺激しないで欲しい。より夜叉になったではないか。
ワイルドがアームスにメロンケーキを食って行けと言われてベリーベリーの横に座った。F4全員集合だ。もうあちこちからザワザワが止まらない。貴族女子達はF4ファンの上にベリーベリーお姉様派も多いのかめっちゃ痛い視線が下から突き上げてくる。これはF4でないバレンシアと話すのが吉だな。
「バレンシア様。春休み中ずっと滞在ということでございますね」
「そうだ」
「シャルロッテ、オレンジに行くのか?」
「はい、ワイルド様。ご招待頂きました」
「そうか。メロン以外とも仲良く出来てるのだな」
ワイルドはまだ心配してくれる感じだ。普通に妹として接してやりたいがストロベリーとはハレーションが大きすぎるからな他人行儀にしておくしかない。
「アームス、このメロンケーキは見事だな。学園祭の時も関心したが」
ワイルドはメロンケーキを食べてそう言う。
「そうだ。このケーキというのは他のフルーツ全部をメロンが押さえているのはどういうことなのだアームス」
デルソルお怒り。
「当然だろう?オリジナルはメロンケーキだ。他のフルーツはその派生版に過ぎないからな。マンゴーは父上と交渉しているのか?」
「そうみたいだ。父上がメロンにすべて押さえられていると怒っていた」
「怒らずともマンゴーも独自で新しい物を考え出せば良いではないか」
「これはメロンが考えたのではなく、シャルロッテが考えたものだろうがっ」
「シャルロッテはメロンの王族だから問題ない」
「このケーキをシャルロッテが考えたですって?」
「ベリーベリー姫はご存知無かったのですか」
デルソルがメロンケーキに俺が絡んでる事を言うとベリーベリーは知らなかったようだ。
「そうか、シャルロッテがこれを考えたのか。素晴らしいな」
素直に関心してくれるワイルド。
これ、イチゴの方が王道なんだけどね。そのままストロベリーにいたらショートケーキとして開発してたかもしれない。そうすればストロベリーが代表国の芽もあったかもな。元の世界程甘くないイチゴはケーキ向きだしな。
「へ、へぇ。ストロベリーにいる頃は役立たずだったシャルロッテがメロンでは役に立っているのですね。それは良かったですわね」
ベリーベリー、顔が煮えてジャムになるぞ。
「次はオレンジで何かを作ってもらうつもりだ」
バレンシア、そんな約束はしていない。
「ズルいぞバレンシア。シャルロッテ、夏休みはマンゴーへ来いっ」
「嫌でございます」
「お、お前と言うやつはっ」
「だから忙しいんだって。ポーション工房とか立ち上げないとダメだし、他の新しい物も商品化しないとダメなのっ」
「ポーション工房?」
全員の声が揃った。しまった余計な事を言うんじゃ無かったと後悔したシャルロッテなのであった。