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商売の種が増える

マグソフ亭に行って晩飯だ。


マクドには今日は割引不要と言っておいた。


「ん?クリームシチューは頼んでないんだけど?」


「サービスだ。生クリームを取った後の牛乳があまり気味でな」


どうやらハンドミキサーと生クリームの機械のおかげでシフォンケーキの数を作れるようになって脱脂牛乳が余るらしい。スキムミルクにしたら保存出来るんだけどな。


ウマウマと晩飯を食べて宿舎に戻る。


今日はリーリャも入れて3人で寝る。むちむちに挟まれて寝て満足だ。


翌日から回復練乳と飲むカイロを延々と作る。これはクインシーが帰るまで続いた。


「飲むカイロは1回当り銅貨10枚、回復シロップは1回分銀貨10枚でいいな」


「ハイ」

 

合計で金貨11枚も売上げてしまった。この調子で行くとあっという間に金が貯まるのではないだろうか?めっちゃ重労働だったけど。


クインシー達が帰るのが名残惜しいが今日からはエルフ耳が癒やしてくれるだろう。


クインシー達を見送ったあとにレインが疑問をぶつけてくる。


「シャルロッテ」


「何?」


「あなた、どうしてあんなにポーションを作り続けられるの?」


「え?めっちゃ頑張ったから」


「違う。普通は魔力が枯渇してあんなに作り続ける事は出来ない」


あ、そこか。


「ほら、私はそこそこ魔力多いって言ったじゃない」


「そこそこどころの話じゃない。異常」


そんな事を言われたってなんともないんだから仕方がないじゃないか。



翌日は魔道具の研究室に行って進捗を聞きに行くとオドバルが死んでいた。


「どうしました?」


「魔石の充填が出来ないのである」


教師の仕事と魔石の充填の魔道具が上手くいかなくて寝てないらしい。仕方がないので回復ポーションをあげた。 


「うおっ。ものすごく回復したのである」


「それより魔石の充填ってそんなに難しいの?」


「理論上はこれであっているはずなのに魔石に魔力が流れないのである」


仕組みを説明されてもよく分からない。が魔石自体も魔力を通すというのはわかった。


「入口、つまり魔力が10入ってくるとしたら出口で1使うようにしたら9の魔力が魔石に残らないかな?」


「なんであるとっ?」


「魔石に魔力が流れたらいいんでしょ?これ魔力の出口が無いから流れないんだよね?魔力を流れるようにして入って来るより出る方を少なくしたら魔石に魔力たまらないかな?使う魔力もここに還元したら無駄なくつかえるんじゃ?」


「シャルロッテ!」


オドバルにがっしりと肩を掴まれて睨まれる。何か不味いことを言ったのか?


「試してみるであるっ」


一緒に実験に立ち会えと言われて制作現場にいるけど、研究室の生徒でもないのに見てていいのか?


魔道回路を不思議なペンとインクで描いていくオドバル。よく何も見ないであんなの描けるな。横で見ていると複雑な模様を組み合わせて描いていくオドバル。ポーションを習得したら魔道具も学ぼうと思っていたがこんなの無理だな。


ずっと見ていると複雑なアート作品を作っているようにも見える。


2時間程見ていると完成したようだ。


回路の上に魔石をセットしてしばらくすると赤いランプみたいなものがついた。


「うむうむ。第一段階は成功なのである。ここにこれを繋ぐのである」


と、魔石の魔力残量を測る装置を持って来て回路を繋いだ。


「現在の魔石の魔力残量は2%なのである。これが増えて行けば成功なのである」


ずっと見ていても増えないのでお昼ご飯にすることに。リッカ研究室からラーメンと卵を持ってきて作る。オドバルはパンしか食べていないようなので3人分作った。


「旨いのである。これはなんであるか?」


「ラーメン。お湯入れるだけで作れるから先生も気に入ったならここにおいておく?」


「頼むのである」


ということでまた仕入れなくては。


ラーメンを食べ終わる頃に魔石の魔力は4%に増えていた。


「フハッ フハッ フハハハハハっ。成功!成功なのであるっ。これはとてつもなく画期的な発明なのであるっ」


「売れそう?」


と聞くと少し難しい顔になるオドバル。


「うむ、世の中の仕組みを変えてしまうかもしれないの発明なのである。冒険者達の仕事を奪ってしまうかもしれない発明なのである」


どうやら魔石は冒険者達の貴重な収入源であり、それの再利用促進をすると強い魔物を狩りにいく冒険者が失業する恐れがあるらしい。


「じゃあ売らないの?」


「いや、大きな魔道具を動かすには魔石が足りないという現実もあるのである。おいそれとは買えない値段にすればいいのである」


売値は魔石を買うより遥かに高い金貨30枚ぐらいが良いのではないかとなった。1割もらえるのかな?と思ってたら売上の5割もくれるらしい。


「次に作って欲しい物があるんだけどね」


と、フリーズドライの魔道具を頼んだ。瞬間冷凍をして真空にする機械だ。スキムミルクを作るのはこれだった気がする。工場で何を作っているかのクイズを思い出したのだ。生麺タイプのラーメンを作っている工場を思い出したのだ。


これがあればポーションの粉末化、スキムミルク、ラーメンスープの粉末化も出来るはずだ。


魔道具自体はそんなに難しい物ではないはず。冷凍の魔道具もあるし、モーターの魔道具もある。あとは真空ポンプの仕組みを作って貰えばよい。


「なぜこれで液体が粉末になるのであるか?」


「気圧が下がると沸点が下がるのを利用するんだよ。ほぼ真空になると熱を加えなくても水分が沸騰して蒸発するんだ」


と簡単に説明して魔道具を作ってもらうことにした。


うん、どんどん商売の種が出来てくるな。ポーション工房で色々と作ろう。



とりあえず来年の冬に向けて飲むカイロを作っていく。ギルドにおいて貰って来年の需要喚起にしてもらおう。夏向けに身体を冷やすポーションも考えておくか。



ギルドにはサンプルとして10本渡しておく。金もってそうな冒険者に渡して貰って効果を試してもらうのだ。



「姫様、忙しくなってきましたね」


「そうだね。この歳でこんなに働くとは思ってみなかったよ」


回復ポーションがあるので24時間戦えますか状態になりつつあるシャルロッテ。借金ではないけど借金があるのと同じなのでとっとと稼がねばならないのだ。


皆が試験勉強で忙しいなかせっせとポーションを作り、それ以外の商売の種も考えていったシャルロッテ。そして寒い冬も終わり、春休みを迎えようとしていた。



「シャルロッテ、試験終わった!余裕だったよ」


「バリ姉、良かったね」


「うん、これで心置きなくオレンジに行けるわ」


「春休みは宿題ないもんね。予習はしなくて大丈夫?」


「い、嫌な事を言わないでよ」


「だってさ、飛び級したから全部新しい勉強になるよ」


「わ、わかってるわよっ」


そんな話をしているとアームスがやってきた。


「シャルロッテ、お茶しにこないか?」


「お茶?どこに?」


「ラウンジだ。試験が終わったからメロンケーキを皆で食べるんだ」


「コックさん来てんの?」


「もう料理メイドが作れるからな。準備万端だから早く来い」


と、ラウンジなるところに連れて行かれる。


「こんな所が宿舎にあるの?」


「知らなかったのか?王族と上級貴族しか入れん場所だ」


「嫌な場所だね」


「そんな事を言うなっ。別に貴族なら来れるがだんだんとそうなった場所だ。別に制限をかけているわけではない」


まぁ、セキュリティ上の問題があるからこういう場所も必需かもしれんし、各国の情報交換や将来の相手を探す場でもあるのかもしれない。


ここは室内のカフェみたいな場所。その上にバルコニーみたいなスペース。皆を見下ろせるような席だ。


バルコニー席は制限されていないらしいがF4を始めとする王子と姫専用席みたいになっているらしく、俺がアームスに連れられて階段を上がるとざわつかれた。



「あら、珍しい人がいるわね。どうしてバルコニー席を使おうとしているのかしら?」


そう声をかけて来たのはベリーベリーだった。


かつての姉。金髪縦ロールのベリーベリー・ストロベリーは少し意地悪そうな顔をしてシャルロッテを呼び止めたのであった。


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