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庶民食堂のことはバレているようだ

「明日の晩餐は皆様とご一緒にと連絡がございました」


「パス」


「は?」


「面倒だからいいよ。イチゴ飯なんて食いたくないし」


「そのような訳には参りません」


「なんでだよ?あんな息の詰まるような所に行きたくないんだよ。それに妾とはいえ、子供を産ませた女の葬儀にすら来ない父親なんてどうでもいい」


「陛下は王としてのお立場が・・・」


「それでもだよ。だったら庶民に手を出すなって話だ。俺のことも腫れ物みたいに扱うなら、とっとと金渡して母子もろともどこかへやればよかったんじゃないのか?」


「しかし、王位継承権のこともございますし」


「あのな、万が一、正妻の子供を差し置いて俺が王になったら国が荒れるだろうが?兄妹は認めないだろうし、それぞれの家臣達も反乱をおこすだろう」


「そ、それはそうかもしれませんが」


「それに王になるなんて全く興味がない」


「そ、そんな・・・」


「ゼルも身の振り方を考えておけ。俺に忠誠を尽くしても貧乏くじだぞ。今なら再就職も引く手あまただろうし、結婚も可能だ」


「わ、私は姫様に一生付いて参ります」


「学校卒業後は追放されるのが決まってるんだぞ?なんのメリットがある?それにお前が好きだったウジっとしたシャルロッテではなくなっているのだぞ」


「姫様は姫様ですっ」


「はぁ、追放されても俺一人ならなんとかなるだろうが、二人分食っていけるとは限らんぞ。それに王族でなくなれば護衛の必要もなくなる」


「それでも私は・・・」


「わかった。この2〜3年でこれからの人生をどうするかよく考えろ。私は好きに生きる」


シャルロッテはミリイが追放されても付いてくると言ったのを裏切られて心が荒れていた。ゼルも途中でいなくなるなら早いほうがいいと思ったのだ。



「明日の晩餐は何卒・・・」


「わかった。だが、好きに振る舞うぞ」


「姫様のお心のままに」



ー翌日の晩餐ー


「陛下、最近庶民の生徒達の成績がとても上がってますの。私もクラスメイトに数学の成績を抜かれてしまいましたわ」


「ほう。庶民もなかなかやるものだな」


「私のところもよ」


「ゼルの学年もか?」


「私のところもです」


と、グースがブスッとして同意する。


「ふむ、何か教え方が変わったのか?」


「ねぇ、シャルロッテ。あなたは何かご存知ないかしら?」


「存じませんわ。皆様がお姉様方より頑張られたのでしょう」


「へぇ・・・。あなた最近、庶民の生徒達からイチゴ姫とか呼ばれているそうね。私やゼルはそのように呼ばれ事はございませんのに。もしや、自分だけがストロベリー王国の姫だと勘違いされているのかしら?」


「ベリーベリー様とラズ様には恐れ多くて庶民は声を掛けづらいのでしょう。私は半分庶民ですので接しやすいだけでございます。お気になさらぬよう」


「シャルロッテ、庶民と懇意にしておるのか?」


「はい。学園で貴族や王族といった物を振りかざしては窮屈でございます。学園は学ぶ所。身分差は卒業後に嫌と言うほど味わうでしょうから、学生である間ぐらい宜しいのではないでしょうか」


「そなたの身が危険ではないのか?」


「ゼルもおりますし、危険なのはどこでも同じではございませんか?母もここで亡くなりましたし」


と、葬儀に来なかった王に嫌味パンチをお見舞いしたらそこで王は黙った。


「シャルロッテの癖に生意気な口をきくな」


と、グースが突っかかってくる。


「グース様は私に構うよりご自身の実力や魅力を磨かれた方が宜しくてよ。皆、ワイルド様は存じておりますが、グース様は同国の女生徒からすら全く注目されておられぬようですので」


「ブッ」


それを聞いてラズが吹き出した。


「貴様っ・・・」


「事実を申し上げたまでです。まずはそのお腹をゼルのように鍛え上げればよろしいのでは?ミリイより柔かそうですわ。気持ちよさそうなので少し抱きついても宜しくて?」


そう言うとよっぽどムカついたのかグースはこっちへ来て殴ろうとした。


「グース様、お止めください」


ゼルが止めに入ったところをグースの野郎がゼルの腹を殴りやがった。まぁ、グースの拳のほうが痛いだろうけど。


「たかが護衛の癖に俺に楯突くなっ」


「申し訳ございません」


「グース様」


「なんだっ!」


バシッ


グースを平手打ちするシャルロッテ。


「な、何をするっ」


「仕返しですわ。私の護衛が私を守るのは責務を果たしまで。私の護衛に手を上げたのですから仕返しされて当然でしょ?」


「うるさいっ!シャルロッテの癖にっ」


と、こんな可憐な少女をグーで殴るつもりかこいつ?


頭の中でコマンド入力


↖K


バシュッ


避けるふりをして、サマーソルトキックを食らわしてやった。それをまともに食らって倒れるグース。それを見下ろして


「Try again in a few years」


うん、これだな。


慌ててグースの従者が駆け寄る。


「誰か救護をっ」


「ひ、姫様・・・」


「あら、よけてこけそうになったら足があたっちゃいましたわ。大丈夫かしらグース様?」


「クックック あーはっはっは」


と、笑い転げるラズ。


「ねぇ、シャルロッテ。あなた本当にシャルロッテなのかしら?」


「私はシャルロッテですわよ。それ以上でも以下でもありませんわ」


「ふーん。後、私のクラスの庶民がイチゴ姫の話をよく楽しそうにしてるんだけど?」


「ラズ様の事も話されましたわよ」


「どんな話よ?」


「可愛すぎて近寄れないって」


そう言ってやると赤くなりやがった。


「しょ、庶民なのだから当たり前ですわっ」


ラズはツンデレだろうか?


第二夫人は俺に殺気を見せてるし、ベリーベリーは王に猫々して愛想を振りまき、ワイルドは相変わらずブスッとしてこちらを見ようともせずに食事は終ったのであった。やっぱりパスすりゃ良かった。



部屋に戻ってポテトを揚げて持ってきて貰う。なぜ、イチゴソースまであるのだ?


「姫様。あのような事をされては・・・」


「お前も王族相手には手を出せないだろ?」


「あれぐらいなんともございません」


「そりゃそうだろうけど、ゼルを殴るとかムカつくじゃん。お前、一応女なんだしさ」


「ありがとうございます。一応というのは少々引っ掛かりますが」


「ちょっと、腹を見せてみろ」


「はい」


と、ペロンと服をめくるゼル。


「赤くすらなってないな」


と、マジマジとシックス・パックを見てペタペタと触ってみる。やはり肌質は女だな。


「ひ、姫様?」


「なんだ?恥ずかしいのか?」


「い、いえ、その少しくすぐったくありまして・・・」


「腹がくすぐったい?」


「あ、はい」


「お前もしかしてくすぐったがりか?」


「なんですかそれは?」


と聞くので試しに腹をコショコショしてやる。


「キャーッハッハッハ」


わ、めっちゃおもしろい。腹でこんなにくすぐったいのか。


「お、お止めくださいっ」


「どうして?」


「その、そんな触られ方をすると耐えられなく・・・」


「じゃ、ここは?」


と、脇腹をコショコショしてやる。


「うっひゃぁぁあっ ウヒヒヒヒヒっ」


うん、新しい暇つぶしを見つけてしまった。これからは暇な時にゼルで遊ぼう。


ロッテンマイヤー系のメイドが冷めた目で見ているのでここではやらないでおこう。あー、ミリイが居たらコショコショしたらどんな反応したのだろうか?


いなくなってしまったのが本当に残念だ。


また気分が落ち込んでしまったので、風呂に入って寝よう。


ゼルが頭を洗ってくれているときに、そっと脇腹を指でつついてみると、ビグっとする。


「ひ、姫様お止めください」


「どうして?」


「その、くすぐったく・・・」


「これが?」


と、またツンとしてやる。


「ウヒヒヒヒヒッ。お止めくださいと申しておりますのにっ」


「エイっ、エイっ」


と、面白いのでツンツンしてやると笑いを必死で堪らえようとするゼルに洗っている頭を握り潰されそうになってしまった。


「いでででででっ。キブッ ギブッ」


「も、申し訳ございませんっ」


頭の形が変わったらどうすんだよっ。


危険だから、頭を洗って貰ってるときにはやめておこうと思ったのであった。




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