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嫁になんていかないからねっ。  作者: しゅーまつ
未成年編

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薬草の攻略本は高い

リッカに教えられた薬草工房に行ってみることに。


店番は婆さん。ヒッヒッヒと笑う魔女みたいな人だ。乾燥させた薬草が棚にびっしりと並んでいるけど何がなんだか全くわからん。


「何をお探しかね?」


「ポーションに使える物って何があるかなぁって見に来たの」


「おや、その歳でポーション作成の資格持ってるのかね?」


「うん。リッカ先生の研究室にいるの」


「ほう。かなり優秀なんじゃな。いまいくつじゃ?」


「11歳」


「は?まだ初級の年齢じゃろ?」


「飛び級したの」


「ヒッヒッヒ、リッカも面白い奴を確保したのじゃな」


「まだ勉強し始めたばっかりだけどね。薬草の効能も初級のしか知らないし」


「そうか、勉強し始めたばっかり何じゃな。それならいいものがあるぞ」


と、婆さんが出してきたのは図鑑みたいな物が3種類。


「これは?」


「各種薬草の効能が書かれたものじゃ。これは一般的なもの、詳しいもの、そしてこれがスペシャルな奴じゃ」


「高そうだね」


「当たり前じゃ。ワシが長年掛けて調べたやつじゃからな。通常はこいつがあることすら教えん。その歳でリッカの研究室におるのなら見込みがあるのじゃろ」


「スペシャルっていくら?」


「金貨100枚じゃ。しかしこれにはワシのすべての知識を記してあるぞい。頑張って金を貯めて買えるようになってくれ。ヒッヒッヒ」


金貨100枚か。これは手がでんな。


「ここの棚の薬草すべてが記されてんの?」


「ここにないものも記してあるぞ」


「誰かに見せたりとかしたら知識が出回っちゃうね」


「まぁ、仕掛けもしてあるから他の奴は見れんようにしてある」


婆さんの説明ではこれは本だけど魔道具みたいな機能があるらしい。買った人の血で登録することでその人にしか見えないらしい。試しに中を見せてくれたら真っ白だった。


「一番安いのは銀貨10枚じゃ。これは研究室にいるやつなら持っている奴もおるぞ」


これ、レインが教えてくれた内容が載ってるな。


「これは?」


「これは金貨10枚。これも登録したやつしか見れんぞ。中級から上級ポーションを作るには必要じゃろう。それを売ればすぐに元が取れるじゃろうて」


確かに上級ポーションを売れればすぐにペイするな。


「ただし、効能や製法がわかっても作るには才能が必要じゃ。同じやり方をしても同じ効能になるとは限らんからの」


へぇ。そういうこともあるのか。

しかし、薬草の知識はないし、婆さんに聞いても全部教えてくれる事はないだろうな。これをこれだけくれと指定して言わないとダメみたいだし。


中級の本を買うべきか研究室に戻ってリッカに聞いてみよう。


とりあえず今日は回復草を買って帰ることに。100本くらい作れる量でもそんなに高くはない。


「回復草を実験でそんなに使うのかね?」


「うん、美味しい回復ポーションを作ってるんだ。渋みを取って美味しくするまでは出来たんだけど、保存性の問題がクリア出来ていないから当分回復ポーション作りかな」


「美味しい回復ポーション?」


「そう」


「どうやって作った?」


「それはナイショ」


「あぁ、そうじゃな。それはワシに売ってくれる事は可能かえ?」


「すぐに飲むなら大丈夫だよ。明日持って来ようか?」


「うむ、頼む」


明日また来ると約束して薬草工房を後にした。


「婆さんめっちゃ驚いてたね」


「リッカ先生も驚いていましたからね。それだけ姫様が作ったものは画期的なのですよ」


「あとは保存性をどうにかしないとね」


「そうですね。それがクリア出来たら大ヒット間違い無しですね」


「そうなんだけどね、ほら例えばさ、保存性をクリア出来たとするじゃない?で、工房で他の人に作ってもらったら同じ性能になるかな?」


「どういうことですか?」


「私が作ると初級の作り方で中級になるじゃない?でも他の人が作ったら初級のものだと思うんだ」


「確かに」


「だから中級の作り方で同じものを作らないとダメでしょ?ということは私が中級の作り方を覚えないとダメなのよね」


「あー、そうですね」


「あの真ん中の本を買うのが一番手っ取り早いよね」


「金貨10枚は結構な値段ですよね」


「ゼルの剣と同じ値段だからね」


「はい、この剣はクインシー様が安すぎると言われてましたが本当はいくらぐらいするんでしょうね。確かにこの剣は気持ち悪いぐらい手に馴染んでいるのです。まるで身体の一部みたいに」


「ファイトスにベタベタ触られた甲斐あったじゃない」


「エッチな感じはしませんでしたので触られても問題ありませんよ。しかし、あのファイトスというドワーフは私が思ってたより凄い職人なのかもしれません」


「かもね。バタフライナイフで指を切った時も痛いとかなかったのにスッパリいったからね」


「次からは気を付けてくださいね。指が落ちたら治せませんよ」


指が落ちるとか怖いことを言わないで欲しい。


研究室に戻ってラーメンを食べながらレインと話す。


「中級の本は私が持ってるから教えてあげる」


「え?買ったのあれ?」


「ずっと貯金してたのを全部費やしてお金を借りて買った」


どうやらリッカが貸してあげたみたいでまだそれを返しているらしい。薄給なのはそれもあるのか。


「そんな大切な知識を教えてもらうのは悪いよ」


「家賃も食費も払ってないからそれのお礼」


なるほど。それでお互い貸し借り無しというなら言葉に甘えよう。一緒にポーション屋もやるつもりだしね。


昼から飲むヨーグルト風の回復ポーションを作る。作りながらふと、インスタントコーヒーみたいに出来たら保存性がぐんと高まるよなと考える。


真空パックみたいな物を考えてだけど容器から全部開発しないとダメだから粉末にするのが一番いいかも。それなら軽くなるしお湯で戻せるしな。


あれはどうやって粉末にしてるのかな?


乾燥させて水分を飛ばすんだろうけど、煮て水分飛ばしたら焦げるだろうな。


試しにゆっくり煮て行くとモロモロとした練乳みたいになり、乾燥するより先に焦げてしまった。焦げて苦味めっちゃ復活だ。

しかし、練乳みたいになったことで巧妙が見えた。元の世界の練乳も常温で缶やチューブに入ってたから保存性が高くなるのかもしれない。


次は砂糖を多くしてレモン無しで練乳みたいにしていく。これをポーション瓶に入れてと。


これは飲むというより舐めるものだな。小さな瓶に入れると出てこないし、かといってゆるくすると腐るかもしれない。


うーむ。10本分ぐらいまとめて缶詰にして軍用にしたら売れるかも。この缶詰1つで銀貨10枚か。試しにお湯に溶いて飲む。量的には中級回復ポーション並の効能のはず。味的には甘いお湯だ。しかし中級程の効能が必要な事が少ないからもっと薄めて初級まで落とすと薄甘い飲み物。美味しくはないけどクソまずいポーションに比べたら行けるか。しかし、どうせなら美味しくしたいよな。回復シロップとして売り出すか。なら缶詰より蓋が出来る瓶詰めの方がいいかな。ジャムみたいにして。


うーん、毎日これ作って瓶詰めとか面倒だな。煮詰めるのから瓶詰まで機械化できないかな?


よし、魔道具教師のオドバルに相談してみよう。


夕方に研究室に訪問して相談してみる。


「ふむふむふむ。大掛かりな魔道具になるであるな」


「今すぐじゃないんだけどね。将来的に可能なのかなって」


「理屈では可能である。だが魔石をたくさん使うであろうな」


イマイチ魔道具の事を知らなかったのでどういう原理で動くのか聞いてみる。


どうやら魔力の元になる魔素と呼ばれるものが存在しており、さほど魔力を必要としない魔道具はその魔素を吸収して動くのだそうだ。で、魔力をたくさん使う魔道具はその吸収では追いつかないので魔石というものを使って不足分を補うとのこと。魔石は高いらしく人力で作業をした方が安価になるのでは?との事。


「使い終わった魔石はどうなるの?」


「ただの石ころである」


「もう一度魔力は込められない?」


「元の魔力に戻すにはそのままおいておけば数年後には魔力がまた溜まっているのである」 


再充填にはそんなに時間がかかるのか。


「魔道具を動かすのに周辺の魔素を使うんだよね?」


「そうである」


「そうやって集めた魔素を魔石に充填出来ないの?」


「なんであると?」


「いや、物を動かすのに魔素を魔力に変換するんでしょ?それを魔石に充填出来ないのかなって」


「ふむふむふむ。その発想は面白いのである。研究するに値すのである」


オドバルは話の途中で自室へ走って行ってしまった。ま、しばらくは人力だな。


そうだ、薬草工房に行く予定だった。


リッカ研究室に戻ってレインにご飯食べに行こうと誘った。宿舎にハンドミキサーを取りにもどってから薬草工房へ行ってからマグソフ亭に行くのだ。レインはお金無いからと言ったけど知識で返してと言っておいた。



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