だんだん大事に
翌日ギルドに行くと3人に飲ませて大好評だったと聞かされた。
「おっちゃんも飲んでみてよ」
「疲れてないぞ」
「いや、味をみてほしいんだ」
と飲ませると絶賛してくれた。
「これが回復ポーションと同じ効能があるとは驚きだ。これ、低級に落として値段安くできねぇか?」
「作る過程は低級と同じなんだけど、私が作ると低級にならないのよね。値段落としてもいいんだけど、他の人に迷惑になるから値段は落とすなって言われてるし」
「へぇ、低級を作れないとか逆に凄いな」
「これ、料理に使うの?」
「いや、これを料理に使うのは難しいな。ドリンクとして出したい」
「薄めたら低級になる?」
「薄めたらこの味無くなるだろ?」
「なら効能が無い同じ味のドリンクを作るからそれと混ぜたら?」
ということで飲むヨーグルト風の物のレシピを登録することに。回復ドリンクとして売るにはポーションの資格を取らねばならないので少し待ってくれと伝えた。
研究室に戻って昼ご飯にラーメンをレインと食べてるとリッカが戻って来たので資格の話をする。
「ラーメンに湯を入れておいてくれ。卵は冷蔵庫のを使え」
と言われてゼルが用意している間に資格証を持ってきたリッカ。
「身分証も貸せ、記録する」
「テスト受けてませんけど?」
「レインが問題無いと言ったのだ。テストはいらんだろ」
リッカはレインを相当信頼しているらしく、テスト無しで資格をもらってしまった。
チュルチュルとラーメンを食べながらリッカが褒める。
「このラーメンは手軽で安いし旨いし素晴らしい発明だな」
「数仕入れてストックしておきましょうか?」
「頼む」
ということなので仕入れて置いておくことにする。いちいち払いに来られても面倒なのでお金入れの箱を置いておいて勝手に持っていってもらうことにしよう。
「渋みの無い回復ポーションを試させてくれ」
リッカにそう言われたので冷蔵庫に保管してあったのを飲ませる。
「うむ、旨い。まさかポーションに牛乳を使うとはな」
「牛乳を使った分、保存性がわからないのでギルドの食堂で回復ドリンクとして販売してもらいます。効能が中級なので薄めて使って貰う予定です」
「それで資格が必要だったのか」
「はい。しばらくギルドで販売してもらってる間に保存性をクリアさせたら大量生産に入ろうと思うんですがみんなどうしてるんですか?」
「大量ってどれぐらいだ?」
「軍に卸せるぐらいに」
「は?」
「今までに無いものなら仕入れてくれる約束なんです。でも安定して数を確保しないとダメなんですよね」
「もうそんな契約を交わしているのか?」
「口約束ですけどね。上級治癒ポーションとかも入札させて貰う事になっています」
「お前は生産前に売り先を確保してたのか」
「はい。立場を利用させてもらいました」
「他の国から打診があったら売るのか?」
「もちろんです。ただ生産と原料を確保出来るか問題なのです。回復草はギルドに常駐採取依頼をかけてますけど春まで確保は難しいと言われてます」
「なるほどな。お前、ポーション工房を立ち上げてここの卒業生を雇う気はあるか?」
「なんですかそれ?」
「ポーションを大量生産して売る商会の事だ。ポーションの資格を取っても独立出来る奴は少ない。だいたいどこかの工房に就職する事になるが延々と初級ポーションを作らされて食いつぶされる事が多いのだ。研究室にいるやつは優秀なやつばかりだから出来れば将来独立して良い物を作らせてやりたい。能力があっても金が無いと独立も出来んし、研究は出来ても商売の才能がなくて大手に利用されて薄給で働かされるとかなのだ」
高単価のポーションは生産出来るようになっても売り先が無いと言ってたし、個人で特殊なポーションを作っても信用がなければまず売れないらしい。
学園祭での発表は学生が作ったポーションの宣伝とか学生の能力をアピールする場だとも教えてくれた。研究室は他にもあるけどリッカの所が人気なのは学生本位でやってくれる所にあるというのをレインに後から教えて貰った。
「私まだ11歳ですよ?」
「クインシー様が後見人なのだから問題ない。メロン色が強いのが難点だがメロンは囲い込もうとはしていないのだろ?」
「個人的に優先はしますよ」
「それは仕方がないな」
「私は感情で動くので気に入らない国や商人、人には売りませんよ?」
「無理矢理売れと言われても跳ね除けられる権力があるのは良いことだ」
そういう捉え方もあるのか。
「わかりました。近々クインシー様が来られると思いますので相談してみます」
「そうしてくれ」
なんか大事になってきたな。個人のポーション屋をするつもりだったのに工房を持つのか。仕事増えそうで面倒だな。
とりあえず、飲むヨーグルト風のレシピを登録してギルドと契約。回復ドリンクを売り出す事になった。卸値は1本銅貨80枚。それを10倍に薄めて販売する。売値は銅貨20枚にするそうでレシピ代も入ってくる。春になれば結構売れるだろうとのこと。
「ゼル、身分証に入ってるお金って確認はどうすればいいの?」
「宿舎の事務室の横に確認する機械があります。見るだけなら無料、紙に印刷するなら銅貨1枚の手数料が必要です」
そんなのあるんだ。金貨100枚あるから残高を気にしてなかったけど、レシピ代とかちゃんと入ってるか確認してなかったのだ。
宿舎に戻って紙に印刷してみる。あれ?思ってたより残高が多い。
中身を確認すると毎月メロンから銀貨20枚入金されている。なんだこれ?
「ゼル、メロンから入金があるけど何これ?」
「お小遣いだと思います」
「そんなのくれてるの?」
「私も王宮騎士として給料を頂いております。お断りしたのですが給料の実績がないとおかしいからとのことで。お小遣いもそうだと思います」
「そうだったの?」
「姫様はご存知なかったのですか?」
「うん。子供に毎月銀貨20枚って多すぎるよね」
「王族ならそれぐらい当然なのでしょう」
ゼルがストロベリーで貰ってた手取りより多いじゃん。これだけで余裕でレインの飯代くらい払えるな。稼ぎがもっと出だしたらこれも返すか。
それから数日経ってハンドミキサーとミキサーが出来て来た。値段はどちらも銀貨2枚。思ってたよりも安いのでもう2セット作ってもらうことに。マグソフ亭とメロンのコックにプレゼントしよう。
「これは売るのであるか?」
「そのうち売れると思うけど」
「ふむふむふむ、ならば登録しておこう。身分証を貸し給え」
俺の名前で登録してくれるらしい。その代わりに生産するならここへ発注してくれと言われた。銀貨2枚は卸値らしく売値は好きに決めてくれとのこと。
なら、もう3セット追加。サバーンで置いて貰ってみよう。ついでに生クリームを作る遠心分離機も5つ追加する。
「売り先を持っているものがいると儲かるのである。研究室としては非常に助かるのである」
魔道具の売値とか想像つかんな。
「大体いくらぐらいで売るのが適切ですか?」
「それはわからないのである」
研究者はそんなもんか。安価で売っても数作れなさそうだからボッタクリ価格にしておこう。利益下げて数売るのは競争が増えてからだな。
売値は仕入れの10倍にして様子見だな。
「リッカ先生、ここにある色々な薬草とかはどこから仕入れてるんですか?」
「薬草工房だ」
「そんな所があるんですか?」
「あぁ、栽培もしているから年中手に入る。ギルドで採取された天然物の方が効果は高いがな」
通常はギルドで採取依頼をかけるより薬草工房の方が値段は高いらしい。が、リッカ研究室は年間契約をしているから割安で手に入るとのこと。興味があるなら自分で見に行けと言われた。
晩ごはんは卓上コンロで焼肉。もちろんリッカも食べに来て皆が酒をのむのでまたボッチ感を味わう事になってしまったのであった。
焼肉を食べる前にまたシフォンの手が出てきたら怖いので、女神像を隣に置いてお供えしてから食べるようになったシャルロッテであった。




