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嫁になんていかないからねっ。  作者: しゅーまつ
未成年編

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試作品完成

皆が飲んで盛り上がってる。一人シラフでまたボッチ感満載だ。


仕方がないのでシフォンに話しかけてみる。


「おい、シフォン」


シーン・・・


こいつムカつく。食いもん無かったら反応すらしやがらん。


しかし、元の世界だと甘い物とか全く食べたくなかったのに、最近食べる機会が増えたからか少し食べたくなるのが不思議だ。


が、甘い物ストックしてないから何もないな。フルーツ単体でもいいけど少しトロミのあるものが食べたい。そう、フルー○ェとかだ。レムのお料理教室のレシピを見ていくと、あった!


ペクチンは柿やバナナから取れるものが・・・。もしくはペクチンを購入し・・・。


どっちもないやんけ。


片栗粉を使うやり方もあるな。あ、牛乳にレモンでチーズなんか作れるんだ。


ワイワイ盛り上がるなか、一人でレシピを見ながらカッテージチーズを作ってみる。副産物で出る透明な液体と牛乳を使うとリコッタチーズというのが出来るのか。科学の実験みたいで面白いな。


結構時間が掛かって完成。カッテージチーズは裏ごししてなめらかに。うん、結構濃厚だな。リコッタチーズはそれに比べて軽い感じがする。


これをマンゴーと混ぜてみるか。


マンゴーをカットしてリコッタチーズと混ぜてみる。うん、美味しい。


(供えて♪)


こいつしばくっ。話し掛けた時は無視しやがったくせに。


さっき無視された仕返しにシフォンを無視して全部食べてやった。ギャーギャー騒いでたけど知らん。


(ねー、供えてよっ!ねーってばっ)


無視だ無視。次はオレンジの皮を向いて実だけにして混ぜる。うん、個人的にはこっちの方が好きだな。


(なんで自分だけ食べるのよっ!供えてよっっ)


最後はメロンだな。メロンの柔らかい所だけ混ぜて食べるといける。硬いところは薄切りにしてカッテージチーズとはちみつをかけたら美味いわ。


にゅっ


「うわっ」


いきなり手が出てきてメロンチーズハチミツを掴まれたと思ったら消えた。


「な、な、な、な、何したんだよっ」


(ンフフフフ、これ美味しい)


「何したって聞いてんだよっ」


(あんたがそなえないからちょっと貰っただけでしょっ)


「そんな事は聞いてねぇっ!手がでてきたじゃねーかっ」


(ちょっとだけ実体化したの。実体化するの疲れるからちゃんとお供えしなさいよ)


いきなり手だけ出てくるとかホラー以外何物でもない。怖っわ、こいつ怖っわ!


しかも物自体が消えるとかありえん。こいつにいきなり掴まれて連れていかれたら死ぬってことか?こんな攻撃されたらクインシーやゼルでも防げんぞ。


シフォンの事が急に怖くなったのでゼルのそばにピッタリくっついておくことにした。



「リッカ先生、錬金術コースに進む予定にしてますので研究室に入れて下さい」


バレンシアの奴、本当に錬金術コースに来る気なんだ。


「貴族は入れん。自分で生計を立てねばならんやつしか必要ない。国の中枢に関係するやつは特にな」


「シャルロッテは貴族ではありませんか」


「こいつはちょっと違う。自分の力で生きようとしている。それにメロンの王族だが他の国の者にも庶民にも別け隔てないだろう?ポーションによっては国力に影響する恐れもあるからな」


「しかし・・・」


「もしお前が画期的なポーションを開発したとする。自国と他国に同条件で売るか?」


バレンシアはリッカの質問に黙る。


「そういうことだ。国がポーションの資格を持った奴を囲って開発もさせているだろ?私はそういうのが嫌だから学園で研究をしているし、寄付も特定の国からは受けずに研究室出身者からしか受けていない。研究室に入れる者は才能、向上心、特定の所に加担しないのが条件だ」


「先生、私はメロンに肩入れしますけど?」


「それはそうだろうな。しかし、オレンジやマンゴーに売らないとかはしないだろ?こうして他国の王子が集まって飯を食いに来ているし、レインも私も庶民だ。普通王族がこうして庶民と飯を食うことはない。それをさせているのはお前だからな」


「なら俺も」


「王子の立場は違うだろ?最優先すべきは自国であらねばならない立場だ。だから無理なのだ。それに私の研究室に来ても機材や素材が揃っているだけで新しい発見を共有したり何かを教える事はない。金がある王族ならこれは個人で出来る事だ」


確かに、それぞれが自分の研究をしているな。確かに見ようと思えば見れるけど俺のところにも誰も見に来ない。新しい物を開発しても研究室に権利を寄越せとかもしないみたいだしな。


バレンシアはスッパリと断られてうなだれていた。


結局、王子連中は何をしにきたのかよく分からないままリッカが帰る時にみんな帰っていった。


おまえら後片付けくらいしていけよな、これだから男どもは。自分もそうだったからよくわかる。準備するのはいいが片付けるのは面倒なのだ。しかもあいつらは自分でそんな事をやったことすらないだろう。


ゼルとレインが片付けて洗い物をしてくれる。


「姫様、フルーツ食べたのですか?」


「ちょっとね」


「珍しいですね」


「変わった食べ方ないかなって思って試したんだよ。冷蔵庫に残ってるから食べてみたら」


メロンチーズはちみつは作り直す。シフォンに盗まれたからな。



「美味しいです。こんなに軽いチーズはどうしたんですか?」


「それ、レモンと牛乳からすぐに作れるよ。また今度作り方を教えてやるよ」


明日のランチはこれでパンを食べたいというので今作り方を教えておいた。



翌日も午前中から回復ポーションの研究。回復草の葉をそのまま齧ってみてもさほど渋くない。根もそうだ土臭いだけの味。試しに別々に煮てみると渋みが出るのは葉だということがわかった。根はグツグツと煮出して葉はぬるめで抽出。それを合わせてぐるぐるかき混ぜるとちゃんと黄色くなって渋みが激減した。


「ゼル、これを飲んでみて」


嫌そうな顔をするが飲むゼル。


「あ、あんまり渋くないです」


うん、顔が真ん中に寄るような渋さではない。が、やはり口の中には残る。何度か試してこれが限界だったのだ。


口直しにフルーツチーズを食べるとあら不思議。口に残った渋みがスッと消える。これは新発見だ。これは使えるかも。


ゼルに牛乳を買ってきて貰って実験だ。


回復ポーションに、レモン汁を混ぜた物、牛乳を混ぜた物、牛乳とレモン汁を混ぜた物を作っていく。結果、牛乳を混ぜると渋みがなくなった。


「ゼル、これはいけるんじゃない?」


「でも腐りませんか?」


そうか。保存性に問題が出てくるな。元の世界ならロングライフ牛乳とかあったから解決させる方法はあるはずなんだよね。


殺菌と空気から遮断されたらいいのかな?


とりあえず味は改善出来たけど課題はまだまだあるな。


試しに牛乳を混ぜた回復ポーションにレモン汁を入れて混ぜていくと黄色いトロミの付いた液体に。砂糖を入れると飲むヨーグルトみたいだ。


「これ美味しいです」


「だよね。効能はあるかな?」


「今は私も元気ですので効果はわかりませんね」


「疲れてる人はどこかにいないかな?」


「夕方にギルドに行きますか?冒険者が帰って来てたら疲れている人がいるかもしれません」


ということで10本回復ポーションならぬ飲むヨーグルト風のを作って早めに研究室を出る。



「こんにちはー」


「あ、いらっしゃい。残念ながらまだ回復草は集まってませんよ。冬はほとんど採れないので春からですね」


「いえ、ちょっと実験に付き合ってくれる人がいないかなって思って」


受付けのお姉さんに趣旨を説明する。


「では、その回復ポーションを鑑定しましょうか?安全かどうか確かめないとダメですし」


「鑑定なんて出来るの?」


「はい。もちろんです。ポーションの買い取りの査定もしないとダメですので」


ということで鑑定してもらうと中級回復クラスの物と判明。通常なら銀貨1枚で販売。買い取りは2割引かれて銅貨80枚だそうだ。


日持ちしないようなら買い取りは無理とのこと。まぁ、今日は実験だから買い取りは次の段階だ。


食堂でコックと話しながら冒険者達を待つことに。


「ポーションとして売れないなら、ここで回復ドリンクとして売ってもいいがな」


「食堂で銀貨1枚払って飲むかな?」


「どうだろうな。冬は活動も減るから需要は少ないだろうな」


「この時期はどこで働くの?」


「雪の無いところを動く商人の護衛や、雪山でこの時期しか捕れない魔物の毛皮採取とかだな。雪山での狩りは実入りはいいが寒くてキツイしやるやつは少ないな。雪の中でじっと待ったりしてると凍え死ぬ可能性もあるし、手がかじかんで狙いが狂ったりと難しいんだよ」


なるほど。


で、しばらく待っても疲れてそうな人が帰って来なかったので、食堂の冷蔵庫に保管してもらって、そのうち誰か疲れている人が来たらサービスで出してみてと頼んでおいた。

 


「ゼル、雪山で訓練とかしたことある?」


「かなり辛いですよ。しもやけや下手したら凍傷とかになりますし、かといって防寒をしたら動けなくなりますしね」


雪山で火をおこすのも苦労するので気軽に湯も沸かせないらしい。燃やす素材が少ないというのもあるので干し肉を齧って凌ぐそうだ。


俺も寒いのは嫌だ。マーセナリーに行った時に死ぬかと思ったからな。



研究室に戻るとリッカがフルーツチーズのパンをがっついている。忙しくて昼に戻って来なかったからな。


「よし、魔道具のやつの所に行くぞ」


と、魔道具の研究室に連れて行ってもらう。


「オドバルだ」


「シャルロッテです」


「ふむふむふむ、見事な赤毛である。一本くれないか」


「嫌です」


「ふむふむふむ、それは仕方がないのである」


こいつ変わってんな。


で、作って欲しいのはハンドミキサーと普通のミキサー。


「何に使うのであるか?」


「これは調理器具」


「ふむふむふむ、わかったのである。請求は後ほどするのである」


リッカ曰く、作らせて高いと思ったら買わなくていいと言われた。酷いやつだ。



今日は何も作らずに食堂に行くというとリッカは付いて来なかったのでラーメンをあげた。


「明日は朝からギルドに行ってみよう。効能がイマイチだったら作っても無駄だからな」


「もう試作品できたの?」


「うん、渋みは抑える事が出来たけど、保存性をどうするかなんだよね」


「渋みを取るなんてすごいね」


レインはすぐに前に進んだ俺に少し悔しそうだった。食堂ではレインは有料なのでモヤシ炒めを頼んでいた。これ、部屋で何かを作ってやった方がいいな隣でモヤシ炒めばっかり食べられるとこっちも好きな物を頼みにくい。


これはレインも養う事になるんだなとシャルロッテは思い、レシピをどんどん売ろうと決めたのであった。


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