短期目標が決まる
ー飛び級結果発表ー
張り出された結果を見に行く。
「やった!1つ上がってる。私中等教育だ!」
ユーバリーは一つ上がってた。そして今回上がった者が結構いた。
「あ、シャルロッテ・・・」
俺はアンデスが言った通り高等へ飛び級になり、授業免除及び卒業試験免除になっていた。もう専門コースの授業しか出なくて良いようだ。
「バリ姉と呼ぶのは春休みで終わりだね。シャルロッテ姉様と呼んでね」
「嫌よっ」
まぁ、別に呼び名なんて何でもいいんだけどね。
ん?
【シャルロッテ・マーセナリーはリッカ研究室に来たれし】
と、下に書かれていた。
何だろ?
リッカの元に向かうことに。
「先生、来ました」
「よく来た。錬金術コースに進むつもりなのだろ?」
「はい」
「では研究室に入れ。初等教育の授業にも出る必要はないから春休みまで中等教育で教える事をやってやろう。明日から毎日ここへこい」
と、特別授業をしてもらうことになった。研究室に行くのは昼ご飯を食べた後だ。
「ゼル。これはこれでどうなのかな?」
「初等教育の授業に出てはいけない訳ではないのでそれに行きますか?」
「音楽の試験とかも受けなくていいみたいなんだよね」
「コトカ様やアキ様との交流が無くなってしまいますよ?」
それはそれで寂しいけど仕方がないのかもしれない。初等教育より授業時間が長くなるからどっちにしろ遊ばなくなるだろう。
部屋に戻るとクインシーがいた。
「ほう、さすがはシャルロッテだな。では毎日午前中は暇なのだな」
「春休みまではそうですね」
「では商業ギルドに行こうか。あの店を買うのだろ?」
そう、空き物件は格安だった。家、店土地を含めて金貨6枚。リフォームと改装代を入れても金貨10枚にならないだろう。またクインシーから預かってるお金から持ち出しになるけど仕方がない。
ユーバリーは拗ねて来ないと言ったのでクインシーとジルベスターと一緒に商業ギルドの不動産担当の所に行く。
「すいません、この前見せて貰った物件の購入なんですけど」
と、担当の男性に声を掛けて再び現地へいく。
ポーションを売る店としてはちょうど良い広さ。店裏には工房が有り、1階にはキッチンとリビング。裏には庭もある。2階が住居スペース。ここにもキッチンとリビング。寝室3つ、バストイレ付き。裏側にはバルコニーもある。理想的だね。
「シャルロッテよ、こんなに狭くていいのか?」
「私には十分過ぎます」
「まぁ、お前がそういうなら構わんか。おい、他の物件も見せてくれ」
とクインシーが言っていくつか空き物件を購入することに。
「これだけまとめて買うのだ。もちろん安くなるのだな?」
「それぞれ売り主が違うものでして、そのまとめてご購入頂いても値段はその・・・」
「ほう、ギルドは売り主に交渉すらしないものなのか?随分と楽な商売なのだな?」
「あ、あの交渉してみます」
「うむ、貴様の交渉能力を楽しみにしているぞ」
「は、はひ・・・」
通常ギルドは斡旋をして手数料を取るだけだ。交渉などしない。担当者はクインシーの圧に負けたのだ。
「クインシー様、発展するのはまだ先ですよ。このまま物件を寝かせておくのですか?」
「貸店舗にするつもりだ。何なら学生達に1軒安く貸してやってもいいぞ。社会勉強を兼ねて店をやるのも悪くないだろ」
「学生に?」
「そうだ。現場でしか学べんこともあるしな」
ということで1軒の店は学生向けの実地研修の店として学園に貸し出す事になった。利用する学生は学校にお金を払ってやってみたいことをするのだ。小ぶりの店だからとクインシーはただ同然で貸し出す事に。
その頃、アームス達は飛び級の結果をユーバリーから聞いて愕然としていた。
翌日、早めに研究室に行くとリッカではない人がいる。
「すいません、シャルロッテといいますけど、リッカ先生から毎日ここへ来るようにと言われたんですけど」
「聞いてるわ。私はレイン。卒業してるけど研究員としてここにいるの。あなたの基礎は私が教えてあげる」
なんか少し影のある女の人だ。感情の起伏がよく分からない。
「宜しくお願いします」
「じゃ、座って。ポーションとは何かから教えるから」
こうしてしばらくの間レインに座学を学ぶ事になった。高等教育の授業が終わるとぞろぞろと学生がやってくる。もちろんみんな歳上だ。
「シャルロッテです。新学期から錬金術コースに進むことが決まっているのでそれまで基礎をここで教えてもらうことになりました。宜しくお願いします」
「えっと・・・、君いくつ?」
「11歳です」
「あの噂本当だったのかよっ」
どうやら初等教育の生徒が飛び級で卒業資格まで取ったのが噂になっていたようだ。しかももうリッカの研究室に来ている。
「人の事はどうでもいいから自分の事をやりなさい」
とレインに冷たく言われてそれぞれの研究をし始めた。ここに来る学生は14、5人みたいだ。
そして座学再開。ポーションと一口にいうけど種類は多岐に渡る。
「これは何のポーションですか?」
と、弓屋でゲットしたポーションを見せる。
「それは傷を治すポーション。結構高かったでしょそれ?」
「銀貨10枚ぐらいするそうです」
「でしょうね。でも自分で作れるようになったら銅貨5枚くらいで作れるから」
「そんなにぼったくってるの?」
「ぼったくりじゃないわ。それを作れるようになるまでどれだけの学費や研究費、時間を費やすと思ってるの?自分で学費を払ってないからそんな風に思うのよ」
と冷たく言われてしまった。
仰る通りでございます。どうやらレインは庶民で、独学で勉強して飛び級をして上がった苦労人のようだ。よりよいものを作れるようになりたいと卒業しても薄給で研究員をしているらしい。
本日の座学は終わり。
「じゃ、私は自分の研究をするから」
「ありがとうございました」
部屋に戻ってクインシーとジルベスターに話をする。
「その講師をしてくれた者の言うことはもっとだな。お前がポーションを作れるようになっても値段を下げて売ると苦労したやつから恨まれるから気を付けろ」
「わかりました」
「まぁ、高利益のポーションは売れる数も少ないからその値段になるというのもある。そんなにバンバン大怪我をするやつはおらんだろ?」
「そうですね」
「実際に売れるのはちょっとした怪我を治すポーション、熱を下げるポーション、痛み止めポーションとかだ。そういうものは安価でないと売れんから利益も少ないし競争も激しい」
「じゃあ、苦労して作れるようになってもあんまり儲からないね」
「普通のしか作れないとそうなるな。上級クラスやそいつにしか作れないポーションがあれば話が変わってくる。だからこそ研究室に入って勉強しているのだろう。お前に基礎を教えてくれているレインというやつもそうなのだろうな」
「上級を作れても売れなかったら儲からないよね?」
「そこから先は売り先を確保出来るかどうかだ。そこで質問だ怪我を治すポーションをよく使う所はどこだ?」
「ギルドや軍?」
「正解だ。シャルロッテよ、貴様はすでに売り先は確保出来ているのだ。頑張って上級以上のものやオリジナルポーションを作れ。死ぬほど儲かるぞ」
「ちょっとズルい気がする」
「今仕入れているものより性能が落ちるなら買わんぞ。そこは甘やかせられんからな」
「わかりました。頑張ります」
「こういうものにも競争がないと良いものが出来んからな。ちなみに国が購入する場合には入札になる事も多い。通常の入札は値段を抑えた物が勝つがポーションや武器の類は違う。買う数と支払う値段を提示して、より良い性能の物を買うことになるのだ」
「へぇ」
「初級中級はポーションはお前では勝負にならんだろう。大規模でポーションを作っているところと勝負にならんからな。狙うは上級やオリジナルだ」
「了解しました」
「うむ、楽しみにしておるぞ」
ポーション屋は個人向け、利益は国向けに作る事になるんだろうな。やった事がない事をするのはちょっと楽しみでもある。
当面の目標はお金稼いでクインシーに金貨100枚返す。そしてゼルに給料を払えるようになる。これだな。




