長所を伸ばそう
翌日ユーバリーに粘着されているシャルロッテ。
「ここ教えてよ」
「バレンシアに聞いてみれば良かったじゃない」
ユーバリーは分からない所を放置していたらしい。
「あいつ偉そうなんだもん。マシューとおんなじタイプ」
「もう、これはこうだからこうなるの」
「あ、なるほどー」
「バリ姉、ここで躓いてたら飛び級落ちるよ?」
「い、嫌な事を言わないでよっ」
「じゃ、これは?」
とユーバリーの尻を叩きながら最後の追い込みをしてやる。また同じところを間違えたのでユーバリーの尻を物理的に叩いたら少し柔らかくなってる。
「バリ姉、お尻大きくなった?」
「な、な、なってないわよっ」
あちこち触ってみるとどこも丸く柔らかくなったような感じがする。
「ちょっと胸見せて」
「いっ、嫌よっ」
いいではないか、いいではないかとユーバリーを押し倒したらリーリャにアームス、アンデス、バレンシアがお見えですと呼ばれた。いいところを邪魔する奴らだ。
「なに?今からバリ姉の身体検査をするんだけど」
「されないわよっ」
「バレンシアを街に案内するんだが一緒にいかないか?」
「行くっ」
俺より先にユーバリーが返事をする。
あんた落ちても知らないからね?
そしてまたお忍びという名の貸し切り買い物ツアーへ。
「今日はゾイド隊長なんだね」
「ジルベスターは王宮護衛ですからな。私では不服ですかな?」
「不服じゃないけど」
「私は肩車したりしませんからな」
と言ってハッハッハと笑うゾイド。ジルベスターと色々と話してんだな。
今回はどうやらクインシーに寒くないコートを買ってやってくれと言われたらしく服屋に連れてこられた。
「これなんかどう?」
ユーバリーよ、なぜ毛皮のコートを選ぶのだ?それは子供が着るものではない。蠍座の女が着る物だ。
ダウンジャケットとかないかな?とキョロキョロしていると店員がこれはいかがですか?と濃いグリーンの革のマントチックなコートを持ってきた。中はフワフワでとても暖かいし外は革だから風も通さない。それに見た目と違って軽い。
「これ、いいね」
と言った瞬間ゾイドが店員にカードを渡した。
「あれ、いくらなの?」
「クインシー様より好きな物を選ぶように言われておりますので値段は気になさらずに」
めっちゃ高そうな気がするんだけど気にしないでおこう。すでに支払われたのだ。
ユーバリーもいつの間にかなんか買ってた。
俺は元が貧乏症だから子供にこんな高そうな服ってもったいないと思ってしまう。来年着れなかったらどうすんだよ?
その後も靴やらなんやら揃えられた。
ゼルにもなんか買ってあげたいけど俺にはここのは高くて買えないだろう。
「シャルロッテ、面白い所に連れてってやる」
と、アームスに言われて来たのは的当のあるところ。ジルベスターと弓をやった所だ。
「お、アームス。勝負をするか?」
「俺は弓が得意なんだぞ?」
「お前の得意分野じゃないと勝負にならんだろ?」
アームス、君は賭け事に向かないからやめなさい。
店の人に顔を見られたくないのでゾイドの影に隠れておく。
「シャルロッテ、見ておけよ」
アームスは自身満々だ。アンデスも参加しユーバリーもやるようだ。
「いちご姫様はやらないのですか?」
と、ゾイドに聞かれたので
「大丈夫」
と答えておいた。
「クッソー」
な、アームス。君は賭け事に向かないのだよ。
「はい、シャルロッテ。ここのは思ったように飛ばんから気を付けろよ」
「いや、いいよ」
「遊びだから当たらなくてもいい」
と、無理矢理アームスに弓を渡された。
俺を見てあっという顔をする弓屋の親父。しーっと口に指を当てて親父を黙らせた。
「シャルロッテ、俺より上の点数を取ったらなんでも好きな物を買ってやろう」
「ふーん。何点だったの?」
「47点だ」
「本当になんでもいいの?」
「構わんぞ。俺より点が上だったらな」
「負けたら?」
「なんかオレンジのレシピを教えろ」
「いいけど私が欲しいの高いよ?」
「俺の小遣いから買ってやる」
「あんたも税金の無駄遣いするんだね」
「小遣いと言っても俺は国で弓と剣の大会で得た賞金だ」
「じゃ、遠慮なく」
ストストストストスト
「はい、満点。今から本屋に行くわよ」
「ば、馬鹿な・・・」
「私も弓得意なの。オーホッホッホッ」
親父が涙目でポーションを出して来たのでにっこり笑って受け取った。
本屋で前に見ていた本をゲット。金貨1枚と銀貨15枚。バレンシアが得た賞金の大半を奪ってやった。鼻っ柱を折ってやったのも気持ちいい。満点を取った時の顔がめちゃくちゃ面白かったのだ。
「シャルロッテ凄いっ」
「ま、こんなものよ。ゼル、これあげる」
「姫様がお持ちください」
「前のがあるから1本ずつ持ってようね」
と、ポーションを渡した。
「前のってどういうことだ?」
バレンシアが聞いてくる。
「あの店はジルベスター様に連れてって貰った事があるの」
「前も満点だったのか?」
「そうよ。多少矢が曲がっててもあの距離で外す事は無いわよ。ご愁傷さま」
「ちっ、弓が得意なんてとんだ誤算だ」
「自分が何でも一番だと思ってたら足元救われるわよ。ね、アームス」
「う、うむ」
「よし、オレンジに来たら玉遊びで勝負だ。それに勝ったらレシピ教えろよ」
そうバレンシアが言うとアームスはクックックッと笑っていた。
もう他の人に迷惑だから帰ろうと言って王宮に戻った。
そして夕食までユーバリーの勉強を見ながらバレンシアに買わせた本を読む。やっぱりここまで進むと忘れてるよなぁ。
「こんな難しい問題わかるのか?」
バレンシア、ここはユーバリーの部屋だぞ?アームス達は兄妹だから問題ないけど他国の王子がいていいのか?
「わかんないから本が欲しかったの」
バレンシアも頭は良いみたいだからちゃんとこういう受験勉強みたいなやつをすればもっと伸びるだろうな。アームスとアンデスも頭は悪くは無いが理数系という感じではないんだよな。バレンシアは理数系なんだろう。
俺が本を読んでいる間にユーバリーが問題に詰まっているとバレンシアが教えようとしている。
「そんな事を言われてもわかんないっ」
「なぜこれがわからんのか聞いてるんだ」
「分からないから分からないのっ」
うん、理数脳の奴は分からない人がなぜわからないのか理解出来ないものなのだ。
「バリ姉、ここがこうなるからこうなるんだよ」
「なるほどー」
「なんだ、そんな事もわからなかったのか?」
「やっぱり、こいつマシューと一緒」
マシューも理数脳なのか。
「バレンシア、この本を勉強し終わったらこれを渡すから勉強しなよ。お前が興味ないなら別にいいけどやれば出来ると思うから」
「ん?そこまで必要ないだろ?」
「そうかもしんないけどね。でも出来る奴はさらに進んで勉強して後世に何か残す事は重要だと思うぞ。ここまで世界が発展してきたのは先人がそれをしてきてくれたおかげだ。お前も未来に何か残せ」
「未来に残す?」
「そうだよ。数学、理科、植物育成、経済、何でもそうだ。みんな先人が残した物を学んでそれを伸ばして進めて発展して来たんだ。それは連綿していく。お前はそれをする立場でもあるし能力もあると思うぞ」
「俺を認めたのか?」
「ちょっとな。次期王として能力を抑えて他国に叩かれないようにしているのかもしれないけど、そのうち抑えた能力がお前の本当の実力になってしまう。伸びる時に伸ばしておく方がいいんじゃないかな」
「シャルロッテ、俺は認めてくれないのか?」
「アームスはまだ何が伸びるか分からない。マスク王の調整能力や政治力、クインシー様の強さや先見性。あの二人の子供なんだから何か受け継いでいると思うぞ。短所は思慮の浅さだ。短所を無くすのも必要だけど長所を伸ばす方がいいと思う。何となくだけどマスク王タイプなんじゃないかな?アンデスはクインシー様タイプだから二人で短所を補え合えばいいんじゃないか?上手く言えないけど」
「私は?ねー、私は?」
「バリ姉はそのままでいいよ。早く柔らかく成長してね」
「何よそれ?」
「私に必要なもの。それより早く問題やろ。落ちるよ」
「やめてよっ」
バレンシアにユーバリーを教えるのは無理そうなので本を読むより教える事を優先したのであった。




