他国の護衛をパシらせる
翌日の昼に食堂に行き、シドにスライサーとじゃがいもの仕入れ代金をもらってると、パンケーキ屋の人も来た。
「良かった。どこであの甘いソース代金を払えばいいかと思ってたんだよ」
と、銀貨1枚と銅貨17枚を受け取る。
「シドはどれくらい儲かったの?」
「売上が銀貨3枚と銅貨58枚。じゃがいもとかの仕入れを引いて銀貨2枚と銅貨70枚ぐらいだな。3人で割ったら一人銅貨90枚だ。だいぶ稼げたぜ」
「こっちも似たようなもんだな」
「じゃ、一人一日当たり銅貨30枚ってところだね。働いてた時間長いからバイトしてるより割にあってないよね?」
「あっ」✕2
「イチゴ姫はどれぐらい儲かったんだ?」
「ざっくり銀貨7枚。試食とかにも使ったからね」
「そんなにっ?2日目、3日目は半日ぐらいしか店をやってなかったよな?」
「準備に一週間くらい掛けてたから、店を開けてる時間以外にも仕事はあったよ」
「それでも俺たちよりぜんぜん儲かってるじゃないか」
「そうだね。単価を高くして利益率を上げてたから。売れなかったら大損だけどたくさん売れて良かったよ」
「売れ残ったらどうするつもりだったんだ?」
「あれは日持ちするから外の商店で売ってもらうつもりだったの」
「じゃ、損することなかったからじゃないか」
「そうだよ。そんな博打するわけがないじゃん」
「やっぱり考えてること違うよな」
「薄利多売も必要だし、利益率が高いのを売るのも必要なのよ。来年は焼き鳥とかしたら?」
「そんなのあちこちでやってるから競争が激しいじゃないか」
「そういうときは差別化をするの。味付けでここのは旨いってなったら、みんなそこで買うでしょ?」
「なるほど」
「今から色々試しておいたら?自炊してるでしょ。何が将来に繋がるかわからないわよ」
「おう、日々勉強ってやつか」
「そうそう。あの本の主人公も冒険に行くのに日々鍛錬してたでしょ?あれと一緒」
と、将来に向けての話をしておいた。卒業したら何がしたいか決まったら、それを試すのもいいわよとアドバイス。
安い材料で単価取れそうな模擬店の物はたくさんあるけどそれは自分で考えて貰おう。
ご飯を食べた後はジルベスターとユーバリーを連れてお買い物。アヒージョの材料を買うのだ。
定番以外の食べたいものも買っていく。パンはバゲットにしておいた。チーズも買っちゃお。
ジルベスターは酒をたくさん買っていた。
ユーバリーの部屋でリーリャとゼルが俺の指示に従ってせっせと準備。もちろん脳内レシピを見ながらだ。
(ねぇ、メロンケーキのお供え来ないんだけど)
知らんがな・・・
無視してアヒージョの準備をする。
(ねえってば。聞こえてんでしょっ)
「でね、全部の具材に竹串を刺して。そのままぶっこんでもいいけど、刺してあった方が食べやすいし」
「違う具材を組合せて同じ串に刺してもいいですか?」
(無視してるとバチ当てるわよっ)
「なんでだよっ!」
「ご、ごめんなさい。それぞれ刺します」
「ご、ごめん。リーリャに言ったんじゃないんだよ。ちょっとトイレに行ってくる。ベーコンにトマトやじゃがいもと組合せると美味しいよ」
と、そそくさとトイレに行く。
「何でバチ当てられなきゃなんないんだよっ」
(メロンケーキは?)
「伝えたからそのうちお供えされんだろ。それよりお供えくれなくてバチ当てるより、お供えしたら加護かなんかよこせっ。人にねだるだけねだってお供えくれなかったらバチ当てるとか悪魔かお前は?」
(悪魔なんて失礼ねっ。あんなのと一緒にしないでっ)
え?
「いるの?悪魔」
(いるわよ)
「どこに?」
(誰かが呼び出したりしたら来るわよ。呼び出した奴は痛い目に合うけどね)
怖っわ。悪魔なんてファンタジーだけど会いたくはない。可愛いサキュバス娘ならいいけど。
「お供えはどこにすんだよ?女神像は片付けられてたから教会まで行くの面倒臭いぞ」
(買ってきてよ)
「何を?」
(私の像。教会で売ってるから)
「何でそんなもん買わないとダメなんだよっ」
(お供えするからに決まってんでしょ)
「分かった。明日買ってきてメロンケーキ作ってる人に渡しておくから」
(あんたの分も買って来なさいよね)
「なんでだよ?」
(すぐにお供えしてもらうからに決まってんでしょっ)
「俺が熱心な信者とか思われんだろがっ。神官に言え神官にっ」
(うるさいわねっ。バチ当てるわよっ)
「そんなことしたら二度と何も供えんからな。めっちゃ旨そうなの見せびらかして食べてやるわっ」
(何よそれっ!あんた神を脅すつもり?)
「欲しかったら〈お供えして下さい。お願いします〉だ。命令じゃなくてお願いしろっ」
(キーーっ 人間の癖に生意気よあんたっ!)
「じゃ、絡んで来んな。今まで通りのお供えで我慢しとけっ」
(フンッ、あんたなんかバチが当たって死ねばいいのよ)
「じゃあ殺してみろよ。フルーツ連合がなくなって誰もお供えしなくなるからな」
(キーーーーーっ)
勝った。この手の奴は甘やかすと際限無くなるからな。
コンコンっ
「姫様、大丈夫ですか?」
「あ、ごめん。大丈夫。もう出るから」
便秘で唸ってるとか思われたかもしれん。
まだ時間があるのに準備が終わってるな。
「ゼル、小麦粉で薄い皮作って」
追加の物を作ろう。レシピを見ながら薄皮作り。それにチーズをつつんでいく。
「これは何を?」
「つまみにもおやつにもなるよ。先に食べる?」
と、普通の油で揚げてもらって、ゼルたちにはハチミツ。俺とジルベスターは塩で食べる。
「美味しいですぅ」
「おやつにもつまみにもなるよね。他の具材包んでもいいし」
めっちゃバクバク食うみんな。ジルベスターはビールを飲みだした。すっかりお家のパパだ。
そうこうしている間にクインシー登場。コックを連れて来た。来るなら準備の時に来てくれたら良かったのに。
アヒージョパーティーの開始だ・・・。
「待たせたか?」
「いや、呼んでませんけど?」
アームス、アンデス、マシュー参上。
「メロンの者は仲良く食べると言ったではないか」
こんなに増えたら鍋が足らん。
「卓上コンロと鍋持ってきて。これだと食べられるまで時間がかかるから」
そしてデルソルとバレンシア参戦。
「あーっもうっ。鍋と卓上コンロ取ってきてっ」
断ってもこいつら強引だから絶対居座りやがるからさっさと鍋と卓上コンロを取りにいかせた。しかし、油が足りない。材料も足りるだろうか?
デルソル達が帰って来たあと申し訳ないけどあいつらの護衛をパシらせた。
俺の命令で動く他国の護衛騎士達。
「いちご姫、これを」
と、デルソルにマンゴーを渡された。
「え?いらないんだけど」
「そんな事をいうなっ。最高級品なのだぞ」
「あ、うん」
別に今まで食べなかったのはそんなに食べたいと思わなかっただけなのに。
「こっちもオレンジを持ってきたぞ」
「ありがとう」
「なんだ、オレンジの方が嬉しいのか?」
「ジュースに出来るし」
「ハッハッハ、マンゴーよりオレンジの方がいいらしいぞ」
またバレンシアはいらんことを言う。
とりあえずマンゴーを冷蔵庫に。オレンジはいくつかゼルに絞ってもらってジュースにした。
護衛達が食材を持って帰って来たのでようやくスタート。煮えるまでゼルとリーリャが食材を用意。串刺しは護衛達にやらせた。
「はい、あんた達も食べて飲んで。嫌ならドアの外で立ってて」
酷い言い草だけど、ジルベスターがでは護衛同士で食べましょうと上手くやってくれる。流石だ。
「アヒージョって美味しいです」
リーリャが嬉しそうだ。
「良かったね」
確かに旨いな。トマトベーコンとか絶品だ
「おい、シャルロッテ、海の物が食いたいと言ってたな。持ってきてやろうか?」
と、バレンシアがニヤッと笑って言う。
「海老あんの?」
「いや、他のだがな。おい、持ってこい」
と、護衛に命令して持ってこさせた。
「クックック、こいつも海の物だ。食えるなら食ってみろ」
イカとタコじゃん。
「ありがとう。ゼル、これを処理して」
と言うとめっちゃ嫌そうな顔をする。
リーリャもイヤイヤした。
「なんだよ、これ旨いんだぞ」
「ん?お前は平気なのか?」
「当たり前じゃん」
と、ゼルもリーリャも触りたがらないので自分でやる。
「手伝いましょう」
と、コックが言ってくれたので、ゲソとタコを塩もみにしてもらい、イカの皮を剥いてもらう。タコは一部唐揚げに。その間にゼルにレモンを取りに行ってもらった。
「な、なぜ平気なのだっ」
「海の物なんてたいてい食べられるからね」
と、タコをオリーブオイルに突っ込むと皆嫌な顔をする。
「唐揚げできました」
と、コックが持ってきてくれたので塩とレモンをかけて食べる。めっちゃビールが欲しい。
「タコを唐揚げにしたのか?」
とバレンシアが聞くので口に突っ込んでやった。
「あっつ、何しやが・・・旨いじゃないか」
「タコの唐揚げはビールのつまみ。レモンかけたからさっぱりして旨いたろ?」
タコのアヒージョもイカのアヒージョも旨い。そして最初にトライしたのがクインシー。
「うむ、旨い。これは酒が進む」
コックとジルベスターも続いて食べて旨いと言った。
そして嫌がるゼルのほっぺたをギュッとつまんで無理矢理口を開けさせてタコ唐を突っ込んだら涙目になっていた。




