バレンシアもコマンドの餌食
リーリャはまんざらでもなさそなので引き剥がしに行くことも出来ない。くそっ。それは俺のむっちりなんだぞ。
「あー、疲れた」
ユーバリーが色々な貴族と踊り疲れてこっちにきた。
「わ、シャルロッテ可愛いっ」
「バリ姉ありがとう。豚くんとよく踊れるよね」
「しょーがないじゃない。友好国の王子なんだから」
「ワイルドとは踊った?」
「ううん。見かけなかった」
「あいつはこういうの嫌いだからな。来てないんじゃないか?」
と、アームスが言う。
「そうなの?」
「あぁ。女にキャーキャー言われるのもうっとおしいと言うようなやつだからな」
へぇ。
「アームス達はベリーベリーやラズと踊った?」
「踊ったぞ。一番初めがベリーベリー姫だ」
「結婚すんの?」
「なんでだよ」
「俺も踊ったな」
と、デルソル。ベリーベリーは着実に大国の第一王子と踊ってるな。王が無理なら王妃でもって感じかな?
「で、何でここに王子ばっかり溜まってんの?他の娘達と踊りに行きなさいよ。あんたらよりゼルの方がモテてんじゃん」
「うるさいな。もう付き合いは終わったからいいんだよ」
「アームスはラッキースケベを装ってベリーベリーの胸に顔を埋めてきたら?いいもん持ってるよ」
「お前みたいな事をするかっ」
「なんで?男のロマンじゃん」
「そ、そんな事をしてみろっ。責任取らされるだろうが」
「取ればいいじゃん。毎日ホワホワし放題だよ?」
「お、お前は意味わかってんのかっ」
「姫様、終わりました・・・」
「ゼル、お疲れ」
「姫様、癒やして下さい」
と、ぐったりしたゼルが抱きついてきた。
「他の女の匂いがする」
「ダンスしてきたから当たり前でしょう」
ゼルが香水の臭い付けてきたのだ。
「臭いから離れて」
「ひ、姫様ぁぁ。あんまりです」
ゼルに香水の臭いなんていらないのだ。
「お父さん、これいつまでいないといけないの?」
「まだまだ続けても良いですし、もう上がってもよいでしょう。これから少し大人向けのダンスになるでしょうし」
あー、チークとかこれからなんだ。
リーリャとはチークはしたいけど、こいつらとすんのは嫌だからな。
「じゃ、帰ろっか。お腹空いてきたし」
「はい。疲れました」
香水臭いゼルが同意したので帰ることに。手はリーリャとつなぐ。
ん?ユーバリーは一緒に帰るのは分かる。
「なんでアームス達まで帰るの?成人してんだから大人のダンスしてきなよ。女の子達が物欲しそうに見てんじゃん」
「もう疲れたからいい」
もったいない。
「で、デルソルとバレンシアはなんで付いて来るの?」
「ご飯を食べに行くのだろ?一緒に行こう」
お前らが来たら庶民食堂にいけないじゃん。
「お父さん、どこか外に食べに連れてってくれる?コイツラ付いてくる気だから庶民食堂にもいけないし」
「そうですな。他の護衛の方もおられますしレストランに行きましょうか?いちご姫様は可愛いドレスなのでそのままどうぞ」
と、外へ向かおうとするとシドが居た。
「シドっ!」
「あ、いちご姫・・・」
と、シドが固まる。そりゃこれだけ王族が固まってたらな。
「ポテチ売り切れた?」
「こ、これが最後であります。良かったらどうぞ」
「緊張すんなよ」
「無理無理無理っ」
「おい、貴様はなんだ」
と、バレンシアが威圧をしながらシドの肩に手を掛けた。
あっ、とアームスとマシューが声をあげた時にバレンシアはサマーソルトキックを食らった。
「な、なにしやがんだっ」
本気で当ててはいないからそんなに衝撃はない。すぐに起き上がってきた。
「パンチラサービス」
「俺は見てねーぞっ」
「スケベ」
と言ってやると真っ赤になるバレンシア。なぜ、こんなカボチャパンツに赤くなるのか未だにさっぱりわからん。
「デルソル王子、それ以上やると説教を喰らいますよ」
と、マシューが経験談を語る。
「シド、全部売れたんだ良かったね」
「明日、スライサーの返却と仕入れ代金を支払いに行くであります」
「じゃ、昼飯を食堂に食べに行くよ。その時に話を聞かせてね」
「はいっ」
「お前らがいるからシドと普通に話せ無かったじゃないか」
「あいつはなんだ?」
「友達」
「俺達に対する態度と随分と違うじゃないか」
「うるさいな。俺が誰と仲良くしようとお前に関係ないだろ?いいかバレンシア。シドになんかしたら国ごとぶっ潰すからな」
「そんな事できるもんかっ」
「やめとけバレンシア。シャルロッテは本当にやるかもしれんぞ」
アームスはなんとなくそんな気がした。
「アームス、こんな戯言を信じるのか?」
「バレンシア殿下。いちご姫様はメロンの軍隊を動かせますぞ」
ジルベスター、いらんことを言うな。メロンの軍隊なんて動かせる訳ないだろ。
「そんな事が出来るものか。クインシー様でもあるまいし」
「兵士達はいちご姫様にメロメロですからな。私の為に戦ってと言えば動く者が多いと思いますぞ」
「そういえば母上はシャルロッテに軍隊を統括するか?とも言ってたな」
「クインシー様が?」
「あぁ。割と本気だったと思うぞ」
バレンシアはデルソルに向かったクインシーの顔を思い出していた。
「な、何もするわけがないだろ?庶民が迂闊に近付いてきたから何事かと思っただけだ」
これは事実である。通常、平民が貴族と気軽に接することはない。
「平民を馬鹿にすんな。シドはお前よりずっと偉い。そんなセリフは自分で働いて稼いでから言え」
反論をしかけたバレンシアをアームスが止めた。今から泣かされるぐらい説教される未来が見えたからだ。
シャルロッテはアームスが止めたのでそれ以上言うのをやめた。シドに何もしないならそれでいい。別にバレンシアがどんな大人になろうと知った事ではないのだ。
「リーリャ、イライラしてるから太もも触っていい?」
「ダメですっ」
でも腹はムニムニしておいた。
「何をしている?」
「ムニムニの補給。お前がイラつかせたから落ち着かせてるの」
「そんなので落ち着くのか?」
「クインシー様の胸、リーリャの太もも、次が腹。これが至福なの」
「女の癖に変わった奴だ」
「うるさいな。ホワホワは正義なんだよっ」
いちいちバレンシアがイラつかせるのでリーリャの腹はちぎれそうだ。
「シャルロッテ様。伸びますっ」
「伸びたらもっと触り心地良くなるかな?」
「嫌ですっ。腹の伸びた女なんてっ」
腹の伸びた女ってフレーズ初めて聞いたな。
ジルベスターはクックックと笑っていた。
ジルベスターが連れて行ってくれたのは鉄板焼レストラン。ちょっと良いところだ。
「お父さん、飲んでいいよ」
「そうか、なら赤ワインでも貰おうか。他の方々はどうされますかな?」
「いえ、私達は護衛任務がございますので」
「堅いこと言わずに食べて飲んだらいいのに」
「いえ、任務中でございますので」
「ふーん。なら堅苦しくて美味しく食べれないからデルソルとバレンシアは離れて食べて。メロンの者は仲良くみんなで食べるから」
と、デルソルとバレンシアに言う。
「ちっ、貴様らも一緒に食え」
「し、しかし」
「少々飲んだ所で任務が務まらんぐらいやわな鍛え方をしておるのか?」
デルソルがそういうと護衛達も席に付いた。恐らく砂を噛むような感じだろう。ま、立って見てられるよりマシだ。
「ゼル」
「はい姫様」
「香水臭いから離れて」
「えっ・・・」
ゼルが悪い訳ではないが飯の時に香水の臭いを嗅ぎたくないのだ。
鉄板焼きの王道ステーキを頼む。
「海老とかは無いのだな」
メニューにあるのは各種肉と野菜だ。海鮮系はない。
「バレンシア、海老ってあの海老?」
「海老は海老だろ?」
「オレンジに海あるの?」
「あるぞ」
こっちに来てから海鮮を食べていない。ラーメンとポテトがあれば良かったけど、無いとなると食べたくなるのが不思議だ。
「こっちには持って来れる?」
「冷凍で良ければな」
「こっちに流通してる?」
「いや、ずっと冷凍したままだと高く付くから一般流通はしていない」
「冬は?」
「山越えする時に雪が積もるから無理だ。お前、海老を食いたいのか?」
「あればね。でも難しいなら別にいい。鶏肉とかも好きだし」
「春休みに遊びに来るか?思う存分食べさせてやるぞ」
むむむ、ちょっと考えてしまうけどやめておこう。食い物に釣られてこれ以上関わりを持つのは危険だな。
「大丈夫。ラーメンがあるから」
「シャルロッテ様、海老って美味しいんですか?」
と、リーリャが聞いてくる。メロン王国とか内陸っぽいからな。
「色々な食べ方があるからね。焼いてもいいし、フライにしてもいいし、アヒージョとかもいいね」
「アヒージョ?」
「しらない?じゃ、明日部屋でアヒージョする?別に海老でなくても出来るから」
「はいっ。料理名の響が美味しそうです」
「じゃ、私の部屋でやってよね。仲間はずれとか無しよ」
と、ユーバリー。
「お父さん、帰りにワインとビール買って帰りなよ。多分いっぱい飲むから」
「赤と白、どちらが良いですかな?」
「どっちがあうかな?油をたくさん使うのと、鶏モモ、ベーコン、じゃがいも、アスパラ、ブロッコリー、キノコとか。それにニンニク」
「うむ、迷いますな。では両方買って帰ることにしましょう」
「明日、食材も買いに行くからその時でもいいよ」
「楽しみですな」
料理を食う前に料理の話をする俺達。
デルソルとバレンシアの護衛達は普通に護衛が一緒に飯を食ったり酒を飲んだり、メロンとはどんな国なんだ?と不思議そうに見ていた。




