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嫁になんていかないからねっ。  作者: しゅーまつ
未成年編

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修羅の道

「何だ?会場が騒がしいな?」


クインシー達が一拍遅れて会場入りする。


「クインシー王妃様。ご機嫌麗しゅうございます」


「ん?バレンシア王子か。そなたも息災のようでなによりだ。会場が騒がしいが何があったか知っておるか?」


「クインシー王妃様の義娘(いちご姫)はなかなか面白い方でありますね」


「バレンシア、シャルロッテが何かやらかしたのか?」


アームスがそう尋ねると大笑いするバレンシア。


「デルソルが打ちのめされてたぞ」


「またやったのかあいつは?」


「アームスの言うことは信じていなかったが本当だったな。メロンに続いてマンゴーまでやられるとは傑作だ」


「はぁ・・・。あいつはちょっと目を離すと何をやらかすのだ?バレンシア王子、詳細を知っているなら教えてくれぬか?」


バレンシアは遠くで見ていた事を話した。


「なるほど、デルソルがゼルを突き飛ばしたのか。だいたい想像が付いた。で、アイツらはどこに行った?」


「デルソルがいちご姫を拐いましたよ。護衛を引き連れて」


「何っ?」


クックックと笑うバレンシアにクインシー達はデルソルが行った方面に走って行った。



「デルソル、貴様っシャルロッテをどうしたっ」


鬼の形相を浮かべるクインシー。


「クインシー王妃様。お、落ち着いて下さいっ」


そうデルソルの護衛が叫ぶのを無視してクインシーはいきなりデルソルの胸ぐらを掴んで持ち上げ、ジルベスターは剣に手をやっている。それをデルソルの護衛達は慌てて止めに入った。


「シャルロッテ様はすでにお帰りになられましたっ」


「何?嘘ではなかろうな?」


デルソルはクインシーの殺気にガタガタと震えていた。


護衛の言葉を聞き、デルソルを下に降ろすクインシー。


「も、申しあげます」


と、護衛の代表が事の経緯とシャルロッテと交わした約束を話した。


「そうか、無かった事にしろとシャルロッテは言ったのだな?」


「はい」


「分かった。この度の事は不問と致す。デルソルよ、これぐらいの事でそう怯えるな。王子たるもの情けないぞ」


「母上、それは無理です。息子の自分でもあんな気迫で胸ぐらを掴まれて持ち上げられたら震えます」


そういうと皆コクコクと頷き、ジルベスターも問題無しと剣にやった手を降ろした。


クインシーが落ち着きを取り戻した事から護衛達は詳細を話す。シャルロッテが試合には負けたが勝負には勝ったからアームスに偉そうにするなと言ったこと。それに神はメロンケーキを食べたがっていると聞かされる。


「シャルロッテは神がメロンケーキを食べたがっていると言ったのだな?」


「はい」


「デルソルよ、メロンケーキはもう食べたか?」


「まだです」


「では試食しろ。護衛達も食え。それでシャルロッテが言った事を確認するが良い」


と、覇王の如くゾロゾロとマンゴーの者達を引き連れていくクインシー。


「どうだ?」


「こ、これは・・・」


「美味かろう?確かに今年のマンゴーは美味かった。フルーツ単品勝負でもメロンは負けていたかもしれん。それは称賛に値する。が、メロンケーキと比べたらどうだ?」


「こちらの方が美味いです」


「だろ?これはシャルロッテが考えた物だ。神はより美味いものを求めている。シャルロッテが言った事は事実であろうな。フルーツ単体でも美味いものを作らねばならんがそれをより良いものに作り上げていくことも必要だということだ」


「なぜあいつはそんな事を知っているのでしょうか?」


「さぁな。これ以外にもメロンには色々あるからな。来年は覚悟をしておけ」


デルソルはクインシーに何も言えなかった。




「アームス殿下。いちご姫様はアームス殿下の事を和解の条件に出されたようですな」


と、ジルベスターはアームスに話しかける。


「うん。そんな事をしてくれるなんて思っていなかった」


「ご期待に応えないといけまんせな。来年はより高く飛ばねば見限られますぞ」


「分かってる」


アームスはシャルロッテが自分の事を考えてくれていたことが死ぬほど嬉しかった。




「デルソル殿下、大丈夫でございますか。クインシー王妃には我々も何も出来ずに申し訳ございません」


「良い。それよりいちご姫に付いて調べろ。メロンケーキ以外にもまだあるとクインシー王妃は言っていた。今年は勝ったが来年はどうなるかわからん」


「はっ」


デルソルはストロベリーから一番大国のメロンに上手く取り入って鞍替えしたやつだと思っていた。それが王妃であるクインシーがマンゴーの王子である自分を殺す程の勢いで自ら探しに来たのだ。単に要領の良さだけで入り込んだのではないと悟った。


「それにしてもあの小さき身体でよくぞ私の顎にヒザ蹴りを食らわしたものだな」


デルソルはメロンケーキをもう一口食べてそう護衛に呟いた。衝撃で倒れたものの痛さや傷は残っていない。力が無いのか手を抜かれたかは分からない。


「驚きました。いきなりあんな攻撃をされては我々でも食らっていたでしょうな。さすがはクインシー王妃の庇護下にある者だと言わざるを得ません」


「お前たち、あれをどう思う?」


「どうとは?」


「メロンが強いのはクインシー王妃の力であることが大きい。あの王妃がいるからマスク王は安心して国を任せて外遊が出来るからな」


「そうでございますね」


「いちご姫はあの後を継ぐかもしれんぞ?」


「アームス殿下の妃になるということでしょうか?」


「そのへんも調べておけ」


「はっ」


デルソルは政治的な判断もあるが、躊躇なく飛び膝蹴りを食らわしてきたシャルロッテに惹かれているのにはまだ気付いていなかった。



「本当にシャルロッテは宿舎に帰ったのかな?」


「どうかな?」


アームスはユーバリーにそう聞く。クインシーは他の会合があるとこの場を去ったので試食会場にいるのは子供達とジルベスターだけ。


「部屋を見に行こう」

 

と、アームスが言うとジルベスターに止められた。


「アームス殿下はこの後のダンスパーティーに出なければなりません。他国とのお付き合いは大事ですぞ。それはアンデス殿下もユーバリー姫も同じでございます」


ジルベスターにそう諭されダンス会場に移動させられたのであった。



部屋に戻ったシャルロッテ達。


「姫様、ダンスはどうされるのですか?」


「俺が踊れると思う?」


「では私と踊りますか?」


「ゼルって踊れるの?」


「はい。男性パートを踊りますので姫様は身をお任せ下さいませ」


「これパスしちゃダメかな?」


「あの騒ぎの後も気になりますし、火消しは早い方がいいですよ。そうでないとまた学園でヒソヒソ話をされて姫様の機嫌がどうなるか心配です。リーリャも明後日には帰ってしまいますので」


あー、そうか。


「リーリャは踊れるの?」


「もちろんです。男女両方踊れますよ」


さすがは貴族の娘だ。


「じゃ、行くか」


「その前に着替えましょう。着飾って目立たねばなりません」


「なんで?」


「マンゴーの王子がイタズラをしようと思ったのが事実であると印象付けるのです。あぁ、これだけ可愛ければそうかもしれないと周りに思わせるのです」


「そんなに上手くいく?」


「はい。お任せ下さい。ちゃんと服もございます」


いつの間に用意したのだ?


「リーリャはメイド服で行くの?可愛いい私服ないの?」


「い、一応持って来ました。えへへ」


ということでみんなでお着替え。ゼルは王子服みたいなもの。俺は髪の毛をポニーテールにされてイヤリングやネックレスといったアクセサリーを付けさせられる。少しお化粧も。口紅って不味いな。 


ドレスは赤に白の水玉、襟元に白い襟、腰には黒の大きなリボン。スカートの中から白いレースのひらひらが見えている。我ながらめっちゃ似合う。


ん?もしかしてこれはベティちゃん?


「姫様、気に入って頂けましたか?」


「う、うん」


自分がおっさんと言うことは忘れよう。


リーリャのドレス姿もかわいい。チークがあれば踊って貰おう。

ガーターベルトしてるかな?とスカートをめくったらめっちゃ怒られた。



ダンス会場に行くと人目を引く。皆制服なのだ。


「ゼル、みんな制服なんだけど?」


「そうですよ。しかし服装の決まりはありません」


「めっちゃざわつかれてんじゃん」


「それだけ姫様が可愛いのです。まるでいちごの妖精です」


これ、ゼルにはめられたな。一人だけ傾奇者みたいだ。

 

「姫様、さ、行きますよ」


あーっもうっ、どうでもいいわ。


「これより我ら修羅に入るっ」


「なんですかそれ?」


「ん、傾奇者」


リーリャは突然訳の分からないセリフをいったシャルロッテにキョトン顔をしていた。



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