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嫁になんていかないからねっ。  作者: しゅーまつ
未成年編

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売り方は色々ある

学園祭当日


せっせと瓶を運ぶ。ジルベスターが手伝ってくれてるけど、王宮騎士隊長にこんな事をさせていいのだろうか? 


「お父さんありがとう」


そう言うとニッコリ笑ってくれる。なんかパシらせてるみたいでごめん。


準備が終わるとジルベスターはユーバリーの護衛に付いた。貴族もたくさん来るらしく、挨拶とかそんなのが結構あるみたいであちこちにいかないといけないらしい。


学園祭は貴族も庶民も交じる珍しいイベントで、護衛は必ず付けるようだ。


他の模擬店は単価が安いので庶民達はそちらに行く。レモンマーマレード屋は今の所閑古鳥が鳴いている。銅貨30枚は模擬店の売り物としては高いのだ。勝負は貴族達の挨拶が一段落付いたころかな。


「シャルロッテさん」


と、声をかけてくれたのは担任の先生だ。


「先生、見に来てくれたの?」


「貴族で店を出してるのシャルロッテさんだけですからね。どう?売れてる?」 


「まだ誰も見に来てないよ」


「結構高いの売ってるのね。レモンのジャムって美味しいのかしら?」


「試食してみる?」


と、先生にクラッカーを渡す。


「あら、美味しい。レモンのジャムってこんなに美味しいのね」


「これも飲んでみて」


と、はちみつレモンをお湯で溶いた物を出す。今日は少し肌寒いのでホットにしてみた。


「これも美味しいわ。もっと寒くなるとピッタリね」


「暑いとき炭酸でも氷水でもいいよ」 


「じゃ、一つずつ買うわね」


「無理しなくて大丈夫ですよ」


「ううん。職員室においておくの。時間が無いときにパンに塗れるし、ほっと息を抜きたい時に飲むのにちょうどいいから」


と、買ってくれたのでレモンピールの砂糖漬けをサービスしておいた。


売れたのを見ておばちゃん達が寄って来た。


「なんだいこれ?」


それぞれ試食して悩んだあげく買ってくれなかった。おばちゃん達の財布の紐は硬い。


ポチポチと試食する人は増えたけどまだ売れない。


「姫様、売れませんね」


「残ったらサバーン商店で実演販売するからいいよ。ゼルとリーリャにもホットハチミツレモン作ってやろうか?」


と、暇なので三人でのんびりとお茶をする。我ながら結構旨い。


クラッカーをつまみつつ甘いハチミツレモン。ゼルとリーリャはクラッカーにジャムを塗って食べながら飲んでいる。俺はついでにリーリャの腹もつまむ。


「もうっ。人前でやめてくださいっ」


リーリャの腹が出ているわけではない。柔らかいだけなんだからいいじゃないか。


貴族達の挨拶が終わったのだろうか。身なりの良い人が増えてきた。そこによく日に焼けた生徒が護衛を連れてきた。


「レモンのジャム?貴様はオレンジの国のものか?」


「いいえ、違いますわ」


「ふんっまぁいい。レモンなど酸い物をよくジャムにしようと考えたな」


「美味しいですわよ。味見されます?」


「いらん。行くぞっ」


と、去って言った。



「あら、誰かと思ったらストロベリー家の者でもないのにいちごとか呼ばれてる人がいるわ」


クスクス笑って近づいて来たのはラズだ。


「えっとどちら様でしたっけ?」


「姫様、ラズ様ですっ」


知ってるわ。嫌味だよゼル。


「家から出ると模擬店ですら働かないといけないのは大変ね」


「はい。ラズ様の胸のように控え目な生活をしております」


嫌な所をつかれてイラッとしたラズ。


「せ、せっかく一つ買ってあげようかと思ったのにっ」


「そうなの?試食する?」


「何なのよその口の聞き方は?庶民の癖に」


「ラズ様。姫様は庶民ではございません」


「え?」


「メロン王国の王族にございます」


「何よそれ?」 


「色々ありまして。お時間あるならお座りになって」


と、座らせた。


「そ、その制服・・・。本当にメロンの」 


「これはバリ姉・・・。ユーバリー様に頂きましたの」


「バリ姉ってなんなの?」 


と、ラズが座ったところにユーバリーがやって来た。


「シャルロッテ、売れた?あ、ラズ様。ご無沙汰をしております」


「こちらこそ、ご無沙汰をしております。ユーバリー様」


「バリ姉も食べる?」


「食べる、食べる」


「お父さんは?」 


「頂きましょう」


「シャルロッテ、これどういうこと?」 


と、聞かれたので経緯を説明した。


「へぇ、上手くやってたのね」


「うん、お陰様で」


「あんた本当に変わったわよね。あんなにウジウジ、オドオドしてたのに」


「私は生まれ変わったのです。神よりフニフニして生きなさいと」


「なにそれ?」


リーリャをフニフニする。


「こうしなさいって」 


「嘘つかないでくださいっ」


「まぁいいわ。ちょっと心配してたの。陛下もずっと眉間にシワ寄せたままニコリともしなくなったし、ワイルド兄さんもますます仏頂面になったし。笑顔なのは母親達だけよ」


「豚は?」


「いじめる相手がいなくなって不機嫌よ。ま、あんたが出て行く時にやられたからそれからだけど」


「ラズ様は私の事を嫌いではないのですか?」


「ウジウジしてたからイタズラしたくなっただけよ。これ、美味しいわね。両方買ってあげる」


「ありがとう」


「じゃ、頑張ってね。ユーバリー様もご機嫌よう」


と、ラズが去って行った。


「ゼル、ラズってあんなんだった?」


「どうでしょうね?いじめるってほどではありませんせでしたから」


まぁ、心配してくれてたみたいだし、思ってるよりいいヤツなのかもしれない。ワイルドもそうだったしな。


「まぁ、ストロベリー家を出たからこそかもしれません」


それはそうかも。


次にアームスとマシューがやって来た。


「シャルロッテ、今年の料理勝負はメロンが圧勝するぞ」


「何すんの?」


「デザートにメロンケーキを出す」


「へぇ。お供えもするんでしょ。神様喜ぶかな?」


「供えても実際に食うのは神官だからな」


「勝とうとして買収されたりしないの?」


「神官が買収される訳ないだろ。そんな事をしたら天罰が下るぞ」


ここの神様は声掛けてくるぐらいだからそういうのもあるのかもしれん。


アームスとマシューがいるので、あちこちからキャッキャと女生徒の声が聞こえてくる。こいつら人気あるんだよな。


「で、何しに来たの?」


「最終日のダンスに誘いにきた。俺と踊ってくれ」


「冗談はよしこさん。もっと歳の近い子誘いなよ」


「いいではないか。他に約束なんてしてないんだろ?」


「私はこれを売ってるの。遊んでるひまなんて無いの」


「では全部買ってやる」


「そういうの止めろって言っただろ?これはちゃんと売るの。はい、商売の邪魔だからあっちいって」


「シャルロッテ、俺と踊ってくれないか?」


「マシュー、あんた人の話を聞いてた?頭いいくせにぱっと理解しなよ。小さい娘が好きなら、コトカやアキを誘え。喜んで踊ってくれるぞ」


「クックック」


「なんだジルベスター?」


「いえ、別に。さ、いちご姫様の邪魔でありますからどうぞ他の視察に回られて下さい。まだ挨拶も残っておられるでしょ?」


とジルベスターが上手く追い払ってくれた。


あ、オレンジ王子の話を聞いとけば良かった。


それからポチポチと売れだす。ラズと同学年のようだから宣伝してくれたのかな。なかなかやるな小悪魔め。


入れ替わりアンデスがやって来た。


「本当にオレンジを売るつもりなんですか?」


「まぁ、そのうちね。向こうがどうするかわかんないけど」


「そうですか」


と、少し暗いアンデス。


「お茶飲んでいく?」


アンデスはこの前無料奉祀させたからな。お茶ぐらい淹れてやろう。


しかし、アンデスも人気がある。女生徒達はメロンの王子が立ち寄るこの店は何なのか気になるようだ。


「アンデス、ちょっと売り子やって」


勉強だからと売らせてみる。


「レ、レモンのジャムいりませんか」


「あー、ダメダメ。もっとこうやらないと。リーリャ、立って」


と、リーリャを立たせて、実演する。王子は王子の売り方があるのだ。


リーリャの目を見つめて


「このマーマレードは君に買われたがっている。どうだい?僕の代わりに甘いマーマレードを君の胸に」


ヅカ系口調でそう言うと、


「は、はい」


と、リーリャが買おうとする。


「えっ?それをやるの?」


「売り方は色々あるんだよ。はい、勉強勉強。あそこのキャッキャしてる娘に売ってきて」


と、アンデスに瓶を渡してお尻を押した。


「あ、あのっ、あのっ、これ買ってくださいっ」


と、頭を下げて瓶を差し出した。ちょっと待ったァァァと行きたいところだ。



「ご、ごめんなさいっ」


え?


まさに、だーいっ どんでん返しっ!


あ、あの子ら庶民か。お金が足りないのかもしれない。


すごすごと帰ってくるアンデス。


「ごめん」


「いや、選客ミスだった。次はあの娘にアタック!」


貴族であろう娘にもう一度やらせる。


「買ってくださいっ」


「は、はいっ。喜んで」


よし、成功だ。


このままアンデスに売らせよう。あ、次におばちゃん達が来たらゼルにやらせてみるか。



その後、ユーバリーは買ってニャンをやらされ、ジルベスターもお姉様方に売りに行かされたのであった。



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