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嫁になんていかないからねっ。  作者: しゅーまつ
未成年編

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クインシーの頭痛の種

「へぇ、学園祭なんてあるの」


「え?毎年あったじゃない」


今日はコトカとアキが部屋にやってきて勉強を教えている。


「ごめん、倒れた時に記憶の一部が無いの」


「あ、そうだった。ごめん」


「いいのいいの。で、学園祭って何をするの?」


「一番の催し物は各国の料理対決。神様にお供えしたあとに神官が食べて神様の代わりにどれが一番美味しかったか決めるの」


「ふーん。神様の代わりにねぇ」


「そう。で、他は学生達が模擬店開くの。だいたいは庶民のお小遣い稼ぎって所かな」


「私達は?」


「貴族は遊んで楽しむだけ。後は上級コースの発表ってのがあるの」


「錬金術コースのポーションとか?」


「そう。こんなの開発しましたよ、とか経済はこう動くよとか。学生と先生の共同発表みたいなものかな」


「結構まじめなんだね」


「最終日はダンスがあるの。私達も誰かに誘われちゃったりして」


きゃーと二人が騒ぐ。小学生をダンスに誘うやつなんておらんだろ?


「ゼル、模擬店に参加するよ」


「え?姫様がですか?」


「そう。稼ぐチャンスじゃん」


「ラーメンを売るのですか?」 


「当日バタバタするのしんどいから違うのにする」


「ポテチですか?」 


「あれもそこで揚げたりしないとダメだろ?もっと簡単な物を売るよ」


「簡単なもの?」


「前日までに用意しておけて日持ちするもの」


「何を売るのですか?」


「ジャム」


「シャルロッテ、いちごジャムを庶民に売るの?」


「ううん。もう私はいちごが手に入らないし、そんな事をしたら怒られるじゃん。手に入るもので作るよ。練乳を売ってもいいんだけど違う目的があるの」


「違う目的?」


「そう、明日の為にその1ってやつかな。えぐりこむようにして打つよ」


「よくわかんない」


「うん、当日楽しみにしててね」



晩飯に庶民食堂へ。マシュー騒ぎがあってから晩飯に食堂へ行くのを避けていたのだ。もうだいぶ日にちが経ったので大丈夫かな?



「あ、いちご姫。ずっと来ないから心配してたんだよっ」


「シド、久しぶり。あの騒ぎがあってからヒソヒソ話されるのがうっとおしくて、上級生がいない時間にしか来てなかったんだ」


「そうだったのかよ。顔見せないから心配してたんだ」


「そっか、ごめんね。本読んだ?」 


「もう何回も読んだぜ。他の奴からから羨ましがられてな」


「貸してあげなよ」


「いや、いちご姫から貰ったというのが羨ましがられてんだ」


「私、モテモテだね」


「あぁ、その通りだ」


別に男にモテても嬉しくはないが。


「あ、シドは学園祭でなんかやるの?」 


「稼ぎ時なんだけど、売れ残ったら損するんだよなぁ」


「ポテチ売りなよ。油で揚げないとダメだけど原価安いから損はしないと思うよ」


「ポテチ?」


「おばちゃんに作って貰おうか?」


と、おばちゃんに作って貰う。食堂では出してない俺専用メニューなのだ。


「これお菓子じゃないか」


「ジャガイモを薄く切るのが難しいけど、スライサー貸してあげるよ。友達とやったら?ジャガイモも卸値で売ってくれるように頼んであげるから。余ったら買い取ってあげるよ。私ジャガイモたくさん食べるし」


「いいのか?」


「作り方はおばちゃんに聞いてね。私の部屋に来れるなら私が教えてあげるけど」


「あ、あんな階に行けるわけないだろ」


「私がそっちに行っても迷惑でしょ」


「汚いから来んな」


男同士の相部屋なんてエライことになってんだろうな。臭そうだし。


ということでシドはポテチ屋をやることになった。紙コップかなんかに入れて売れと言っておいた。



翌日サバーン商店に行ってジャガイモと塩、油、レモン、はちみつ、砂糖、瓶を発注する。


「学園祭か。ジャガイモはポテチだろ?レモンはそんなになにすんだ?」


「ジャムとはちみつレモンを作るの」


「なんだそれ?レモンでジャム?酸っぱくて誰も食わないだろ」


「いや、売れると思うよ。当日おっちゃんも来る?気に入ったらここでも売ってよ」


「そ、そりゃいいけどよ」


「じゃ、一週間前に食堂に納品して。支払いは先にしておくから」


と、シドのジャガイモも代も払っておいた。当日の売上から返してもらおう。仕入れの金なさそうだしな。



レモンやらの納品があったので早速ジャム作り。


レムのお料理教室を見ながらゼルにやって貰う。ゼルのエプロン姿は結構好きなのだ。肩とか見なければちゃんと女の人に見える。裸エプロンしてもらったらふんどしみたいに見えるかもしれん



瓶と蓋は煮沸消毒してジャムを詰める、冷めて蓋がぺこんと凹んだらOKなのか、へぇ。それと、白い綿の部分が苦いのでそこは切って捨てる。ふんふん。なるほど。とゼルにそれを指示してやってもらう。


せっせとジャムを作ってもらってる間にこちらはレモンをスライスしていく。この世界は農薬とか無いから安心だね。それをはちみつに付けて同じく蓋がペコンとなるように後から湯に付けて蓋をする。


一週間毎日毎日ジャム、いわゆるレモンマーマレードとはちみつレモンを作り続けた。


原価は一瓶銅貨5枚。貴族も来るらしいから売値は銅貨30枚と強気の値段設定。売れ残ったらサバーン商店で売って貰おう。


後はクラッカーを用意して、当日の試食用にする。



そして、学園祭前日にクインシー達がやって来た。学園祭に合せる為にここへ来るのが一回飛んだのだ。


もう、欲求不満を満たす為に人目をはばからずリーリャにムニムニし続ける。至福だ。


「シャルロッテも模擬店出すらしいじゃないか」


「うん。稼ぎ時だし、オレンジの人と繋がり出来るかなって」


「オレンジと?なぜだ」


「すでにレモンは売ってるから他のも売る可能性あるかなって。もし売り出すならそれを商店に卸すつもり」


「庶民にオレンジを売らせるのか?」


「売るかどうかわなんないけど、一番可能性があるんじゃないかと思って」


「可能性か・・・」


「そんなに大きな国でもないみたいだし、庶民にフルーツを売った先駆者になるんじゃない?そのきっかけ作り」


「庶民にフルーツを売って何をするつもりだ?」


「別に何も。みんな甘い物好きだから誰でも食べられたらいいかなって思うだけ。それに誰もやってないから大儲けのチャンス!」


シャルロッテがそういうとクインシーは渋い顔をした。


「メロンはどうするのだ?」 


「貴族が反対して難しいような話を聞いたから後回し。別に待ってても実現する保証ないし、無理矢理今までやって来た事を潰すつもりはないよ」


クインシーは今回忙しい。学園祭は各国の王族が代表で出席するらしい。料理勝負の来賓なのだ。たかが学園祭の催しだと思ってたけどそうでもないようだ。


「何を売るのだ?」


「試食してみる?」


と、クラッカーにレモンマーマレード。はちみつレモンに炭酸を入れて出した。


「むっ・・・」


「わ、美味しいです。レモンだからもっと酸っぱいのかと思ってました」


「はちみつレモンは炭酸で割ったけど、このままでも食べられるし、お湯に溶いてもいいんだよ。ジャムも同じ使い方が出来るよ」


あと、余った皮も砂糖付けにしてある。ほろ苦甘で美味しいのだ。


「レモンの皮の砂糖付けは蒸留酒に漬けておくとパウンドケーキの中に入れたり出来るし、柑橘類は使い道が多いんだよ」


「使い道が多い?」


「そう。メロンと同じようにケーキにも出来るし、シロップ漬けにしておいたら日持ちするし。単価もメロンより安いと思うから庶民向けではあるね」


クインシーはオレンジ王国がうんといえば庶民にフルーツといえば柑橘類となってしまうと確信した。しかし、メロンの貴族は代表国というプライドもあって庶民にメロンを作らせて売るというのは容易ではない。


まったく、こいつは難題を突きつけて来るとクインシーは頭が痛かった。


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