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嫁になんていかないからねっ。  作者: しゅーまつ
未成年編

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目の前と将来

ラーメンを卸す店の人が食堂に来た。店の名前はサバーン商店。この人は店主のノビル。


ノビルにまずはラーメンの卸しをしてから、スライサーの実演。そしてそれをおばちゃんにポテチにしてもらう。


「おやつにもいいし、ビールのつまみにもいいなこれ」


「原料がじゃがいもだから気軽に食べられるでしょ」


「ポテチを売ればいいんじゃないか?」


「これ、すぐにしけっちゃうから無理なんだよ。で、もう一つのでも細切りカリカリポテトもつくれるし、きゅうりとかダイコンとかの細切りも簡単でしょ?他の料理にも使えるんだよ。ダイコンとか細切りにして干したら携行食品にもなるし使い道は色々」


「これ、一ついくらだ?」


「これは試験的に作ってもらったから銀貨1枚。もう少し値段上がるかもしれない。これ作った人しか他に作れる職人いないんだよ」


「そうなのか?」


「この薄い刃を作るのが難しいらしくてね、武器職人に頼み込んで作ってもらったの」


「ほぅ、武器職人の調理器具ねぇ。そりゃいい刃物になってんだろうな」


「このナイフ作った人なんだけどね。肉とかめっちゃ切れるよ」


切れ味は自分の腹で試したからな。


「確かにいいナイフだな。これを仕入れるのはすぐに出来るか?」


「メロン王国で作るから、問い合わせてここに来るまでひと月はみておいて。いますぐにわかんない」


「分かった。じゃ、5個ずつ頼んでおいてくれ」


「毎度あり」


「ラーメンはどうやって客に勧めたらいい?」


そうか、ギルドは食堂があったからな。


「実演販売する?」


「実演販売ってなんだ?」


「店の前でお客さんに試食させるんだよ。お湯掛けてすぐに出来る所から見てもらえるしいいと思うよ」


「しかし人手がなぁ。一人張り付けないとダメだろ?」


「じゃ、バイトで雇ってよ。学園が休みの日に私がやるから」


「時給銅貨5枚だぞ」


「分かった。それでいいよ。次の休みの日でいい?」


「じゃ、昼前から来てくれ」


と、売り子のバイトもすることになった。


「いちご姫、僕も手伝いに行くよ」


「私の分しかバイト代でないよ」


「社会勉強だからいいよ」


と、アンデスも手伝いに来ることになった。



バイト当日は私服に着替えてお嬢様ルック。人目を引かねばならんのだ。



「ねぇ、ねぇ、これは何かしら?」


「お嬢様、これはラーメンという食べ物です」 


俺とゼルで寸劇を開始。


「ラーメン?」


「はい、湯を掛けるだけですぐに食べられます」


「まぁっ、湯を掛けるだけで。それはすごいわ。早速やって見せて」


と、そこへアンデスが登場してラーメンにお湯を掛ける。


「もう食べられるの?」


「5分お待ち下さいませ」


店先で寸劇などする所はない。なんだあれは?と人が寄ってくる。


「さ、出来ましたよ」 


「お湯を掛けてたった5分で食べられるなんて、どこでも食べられるわね。凄いっ」


ずるずるとすすらずにフォークとスプーンでチュルチュルっと食べる。


「美味しいわっ。お湯を掛けてたった5分待つだけでこんなに美味しいなんてっ」


ゼルは意外と演技が上手い。それに比べて俺は大根だ。


「おい、嬢ちゃん。それは本当か?」


「おっちゃん、食べてみる?」


と、もうお嬢様モードは終わり。


アンデスに指示してあったとおりにカップに1/4に分けたラーメンにお湯を注ぐ。


「5分待ってね」


「嬢ちゃんいくつだ?」


「10歳。親が仕事でいなくてもこれなら子供だけでも食べられるでしょ?私は卵を入れて食べるのが好きなの」


「なるほどな」


「はい、お待ち。熱いから気をつけてね」


おっちゃんはフォークでチュルルと食べる。


「お、なかなかイケるじゃねーか。これいくらだ?」


「ひとつ銅貨5枚」


「そこそこするんだな」


「色々料理する手間を考えたら安いと思わない?子供なら半分でもいいし。後、酒飲んだ後に食うと旨いよ〜」


「そうなのか?」


「ひとつ買って試してみてよ」


「じゃ、1個買ってやるか」


「はい毎度あり。これ数作れ無いから追加が欲しかったら早めに買いに来てね」


よし、一つ売れた。


と、それを見ていた他の客も食べさせてくれと言ってくる。その後はただで珍しい物を食べられるのが知れ渡り、休む暇がなくなってしまった。実際に買ってくれる人は1/3ぐらい。実演販売の客ゲット率としてはそこそこ良いのではないだろうか。


試食用のラーメンは20食。それを4分割したので80食完売だ。試食費用はこっちが負担した。バイト代が6時間働いて銅貨30枚。試食用ラーメンの費用が銅貨20枚。差し引き銅貨10枚は残った。 


「いちご姫、お疲れ様。思ってたより売れたな。お陰で他の商品も売れたからいい売上になったよ」


「これでリピーターと噂が広まればもっと売れるかもね。今日は住民が買ってくれたけど、商人に売れだしたら数が出ると思うよ」


「移動するっていったって1日〜2日の移動だろ?携行食としてそんなに売れるか?」


「いや、他の街に卸す人が出てきたら一気に数が出ると思うよ」


「そうなりゃいいな」


「なんか、おっちゃんの所で商人向けの商品を考えておきなよ。ついでに買ってくれるかもよ」


「商人向けか。どこも同じような商品を扱ってるからなぁ」


「今すぐじゃないけどね。そのうちフルーツとか売れるようになったら扱う?」 


「そんなもん出てくるのか?」


「そのうち出たらの話」


「おう、そんなもん喜んで売るぜ」


また様子見に来るねと言って今日は終わった。



「いちご姫、あれはプリンスメロンのことか?」


「うん。まぁ、メロン王国は大国だから難しいかもね。そのうち他の国の人と繋がりが出来たら声掛けてみるよ」


「他の国?ストロベリーか?」


「あれは日持ちしないから難しいし、ストロベリーが私の依頼を聞く訳ないでしょ。狙いは柑橘類かな。オレンジ王国だっけ?そことか。レモンが出回ってるから可能性あると思うんだ。同じ国が作ってるでしょ」


アンデスは焦る。このままではメロン王国があの最大手の店や2番手の店と同じようになるのではないかと。シャルロッテは先を見据えている。きっとオレンジ王国と話を付けてしまうだろう。このままではオレンジが主流のフルーツになってしまうかもしれないと思った。


クインシーから与えられた課題。メロン王国の貴族を納得させる方法を急いで考えなければならない。



宿舎に戻ってアンデスと分かれるとユーバリーがドアの前で待っていた。


「何してたの?」


「アルバイト」


「そんな事をしなくてもいいじゃない」


「私には必要なの。それよりバリ姉はオレンジ王国の人知らない?」


「んー、話した事ないけどいるわよ」


「なんて人?」


「バレンシア王子。私より上よ。アームスにぃと同じ学年だったかな?」


「分かった。アームスに聞いてみるよ」

 

「何すんの?」


「友達になろうかと思って」


「なんで?」


「将来の為に」


「ふーん」


その後、ユーバリーに猫ミミ付けて楽しんだ。卒業したら獣人探しに行こう。


その後、ギルドとサバーン商店からひっきりなしにラーメンの買付が入るようになり、庶民食堂はラーメン専任の人が出来て行くのである。



ーアームスの部屋ー


「アームスにぃ、プリンスメロンは絶対に庶民にも食べられるようにしないといけない」


「どうしたんだ?」


「シャルロッテが商店を巻き込んでフルーツの流通を始めようとしてるんだよ」


「無理だろ?どこもうちと似たようなもんなんだから」


「いや、シャルロッテは絶対にやる。だから他の国のフルーツが主流になる前にやる必要があるんだよ」


「メロン、マンゴー、アップル、ストロベリー、どこのフルーツに手を付けるんだ?」


「オレンジ」


「は?」


「オレンジを売るつもりなんだよ。レモンが流通しているから可能性があるって」


「あれ、食べたことあるけど、さほど甘く無いし、フルーツの主流になるわけないだろ?それより、来月の学園祭に出す物の方が重要だ」


「毎年メロン料理を出して優勝してるじゃないか」


「今年はデザートにシャルロッテの考えたメロンケーキを出す。あれで勝利は確実だ」


「そんな事を考えてたの?」


「当たり前だ。マンゴーが追い上げて来ているからな。学園の催しとはいえ負ける訳にはいかん」


アンデスはシャルロッテの影響で将来の事を考え始め、アームスは目の前の勝利を確実に掴む為動き出したのであった。


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