錬金術コースのリッカ
「かぁ様達遅いわね」
「そうですな。もしかしたらシャルロッテ様の部屋にいらっしゃるのでは?」
ということで移動すると、俺の部屋でクインシーとゼルがすっかり出来上がっていた。
「クインシー様、学生の宿舎で宴会とは・・・」
「うるさいっ。私に逆らうなっ」
メロン家の者が誰も逆らわないのはクインシー自身のせいであった。
グチグチうるさいバツだ、とジルベスターも飲まされ、ついでにリーリャまでとばっちりで飲まされている。ゼルは追加で肝炒めを作り、これが晩飯になる感じなのでリーリャとユーバリーにはラーメンを出しておいた。
酒飲んだ皆がワイワイ話している。俺はクインシーの膝に座り、おっぱい枕でくつろいでいた。
「姫様」
と、酔ったゼルが俺を掴んで持っていく。
「何すんだよ?せっかく落ち着いてたのに」
「姫様っ」
ど抱き締めるゼル。抱き締めても良いけどサバ折りすんなよ?
そして座って俺を膝の上に乗せておっぱい枕をしてくれる。
まるでバゲットシートのようにガチガチだ。そしてゼルの腕がシートベルトのように両肩から回されガッチリホールド。もう脱出は不可能だなこれ。
「いかがですか?」
「今から鈴鹿を走れそうだ」
「なんですかそれ?」
「何でもない」
コースをイメージして、右コーナーではゼルの脇腹をくすぐって、うひゃひゃひゃとコーナリング。左コーナーとかヘアピンカーブとかコーナーを回るたびにタイヤではなく、ゼルがくすぐった方向へ身体をかたむけてうひゃひゃひゃと言う。ちょっと面白い。
コンコンっ
と、部屋をノックされ、リーリャが出てくれた。
「リーリャ?なぜお前がここにいるのだ?」
「アームス様こそどうされたんですか?」
「いや、マシューが先生の話をシャルロッテに・・・母上?」
アームスの後ろにはアンデスとマシューもいた。
「おお、我が息子達とお前はマシューか?まぁいい入れ」
ここ、俺の部屋なんだけど・・・
「何をされているのですか?」
「宴会だ。見ればわかるだろ?」
「なぜ、母上達がここに?」
「うるさい。さっさと座れ」
もう部屋は狭い。座ろうにも座る場所がなく、ジルベスターとリーリャが立とうとしたらクインシーがアームスを引っ張って膝に乗せた。
「ちょっちょっ、母上、何をしているのですかっ」
「ん、幼き頃はこうしてよく膝に座らしてやっただろ?しかし、こうすると随分とデカくなったな」
真っ赤になるアームス。
「や、やめて下さい。もう成人したのですよっ」
「まだガキの癖に何を言っておるか。そんなに嫌ならアンデスと変われ」
と、入れ替わりにアンデスが座らされて頭を撫で撫でされている。
「お前も大きくなったな」
「母上、やめて下さいよ。恥ずかしいです」
「ちっ、これだから息子は可愛げが無い。ユーバリー、こっちに来い」
「い、嫌よっ。マシューが後からからかうもん」
「全くいつから我が子はこんなに可愛くなくなったのだ。ゼル、シャルロッテを寄越せ」
と、クインシーはゼルに言うが、フルバケットシートのシートベルトは外れない。クインシーはゼルの両脇腹の緊急脱出ボタンを押す。
「うっひゃぁぁあ」
ベルトが外れて、ゼルから剥ぎ取られた俺はまた人をダメにするクッションに座った」
「で、なんの用だ?」
「シャルロッテ、化学実験の日は明後日だ」
「マシュー、ありがとう。話を付けて来てくれたんだね。でも随分と急だね」
「何度か来たがお前が居なかったのだろうが」
あー、血が足りなくて寝てる時に何度かノックされたけど居留守した事があったな。あれはマシューだったのか。
「ごめん、ちょっと体調悪くて寝てたんだよ」
「実験とはなんだ?」
とクインシーが聞いてくる。
「シャルロッテが借りた本の内容が間違ってるかもしれないと言って、実際に実験することになったんだ」
「ほう、面白いな。明後日だな?」
「クインシー様も来られるのですか?」
マシューが嫌そうな顔をする。
「なんだその顔は?私が行くと何か不都合でもあるのかマシュー?ん?」
「ご、ございませんっ」
「なら、よし」
その後、用が済んだら帰れと言われてアームス達は追い出された。
その後、ユーバリーもクインシーに散々絡まれ、部屋に帰ると言い出したのでジルベスターとリーリャが送って行った。
「クインシー様、飲みすぎですよ」
「お前に話があったのだ。奴らがいたら話せん」
なるほど、酔ったふりして追っ払ったのか。クインシーがビールぐらいでこんなに酔うはずがないからな。
「お前の魔力の事はゼルから聞いた。魔法コースの教師とも話した」
その件か。
「結論から言うと、あの教師をこちら側に巻き込む」
「は?」
「お前に魔力を抑える魔法を教えてもらわねばならんが、学園では無理だからな。冬休みを利用してどこかの場所で行う」
「どこか?」
「場所はこれから探す。人目につかずに魔法を使える場所だな」
「年明けに飛び級の試験がありますけど」
「魔法コースには進まんのだ。そんなに急いで上に上がる必要もなかろう。ほどほどにしておけ」
頭をナデナデされながらそう言われてしまった。
「クインシー様、それまではどうしますか?欲を満たすか身体を動かして、魔力を安定させないとダメだと言われました」
「欲を満たす?」
「はい」
「お前の欲はフワフワか?」
「はい」
「なら、月一でリーリャを寄越す。それで満たせ。私はそこまで頻繁に来れるかどうかわからん」
やった!
「はい、それでお願い致します」
その後、ユーバリー達は戻って来なかったので、クインシーを堪能してから寝たのであった。
そして実験の日、授業が終わったら錬金術コースの先生の実験室に直接行くことになったので、クインシーは朝から俺に付いてきた。ジルベスターもリーリャもいるから一人で授業参観をされているみたいだ。
先生、めっちゃ緊張している。可哀想に。
放課後、錬金術コースの先生の所にいく。
先生は女性だった。メガネに白衣、キリッとした目だ。身長もすらっと高い。
「クインシー様。お初にお目にかかります。リッカと申します」
「突然すまぬな。たまたま学園に来ていたから視察だ。私には気にせず実験をしてくれ」
「かしこまりました」
リッカ先生はクインシーに引くこともなく堂々としているのか、こういうのに疎いのかよくわからんな。
マシューがここにいるのはわかるが、アームスとアンデス、ユーバリーはなぜいるのだ?
「シャルロッテ様、この内容が間違っているかもしれないと?」
「先生、様は必要ありません」
「ならシャルロッテ、その本は私が書いたものです。間違っているとは思いませんが?」
そうなんだ。
「間違っているかも、です。実際に実験しないとわからないのです」
「ふーん、なら試せばいいわ。あなた、そのうち錬金術コースに来るつもりなのよね。生意気な子は嫌いなのよ私。大丈夫かしら?」
自分が書いた本にケチつけられたと思ってるんだな、この先生。
「こいうのは理屈だけでなく実証して始めてわかるものがありますから」
と、疑問に思って書き出した内容をひとつずつ試していく。実験って楽しいよね。
そして全ての実験が終わる頃、リッカ先生は膝を付いていた。
「どうしてこうなるのよっ」
化学反応は元の世界と同じだった。この先生はいくつか実験せずに本を書いたみたいで、それが間違っていたのだ。
「事実は小説より奇なりってやつですね。試さないとわからない物もありますね」
「シャルロッテ、あなたいくつなのっ」
「10歳です」
「いい覚悟ね。飛び級の試験受けるのよね?」
「はい」
「受かったら私の研究室にいらっしゃい。可愛がってあげるわ」
「よ、宜しくお願い致します」
「せ、先生。私も錬金術コースに進むのが決まってます。ぜひ先生の研究室に」
「試験次第ね。私は探究心の無いものはいらないから」
マシューは頭がいいくせに、要領をかまして手を抜いてるのを見破られていたようだ。
昼飯を食べる暇がなかったからお腹すいたな。
「ゼル、今日の夕食は食堂に行こうか。遅くなっちゃたし」
「ん、たまには外に食べに行くか?皆、ここにいるしな。私が奢ってやるぞ。リッカ、お前も来るか?」
「宜しいのですか?」
「構わん。少し話を聞かせろ」
と、外に食べに行くことになった。行き先は冒険者ギルド?
「クインシー様、なぜギルドの食堂に?」
「お前がラーメンを卸したのだろ?売れてるか見ておかねばならんし、あそこは騒いでも問題ない」
クインシーは騒ぐつもりなんだな。
ジルベスターはやれやれという顔をしていた。




