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嫁になんていかないからねっ。  作者: しゅーまつ
未成年編

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50/118

魔力は無かった事に

「ゼル、食堂のおばちゃんにラーメン100発注して明日ギルドの人が取りに来ることを伝えてきて」


「姫様を一人にするわけには」


「大人しく寝てるから。約束した事はちゃんとやらないとダメなんだよ」


「わかりました」


ゼルが食堂に向かった後、ベッドで寝転びながら考える。腹刺すと激痛が走るかと思ったけど、熱く感じたあと寒くなるんだな。初めて知ったわ。


しかし、ゼルのやつ俺を守る為とはいえいきなり先生を斬ろうとするとは思わなかったな。賢者ってそれほどヤバい存在なのか。自分が持つイメージとは随分と違うなよな。核兵器に流用出来るプルトニウムみたいなものなのだろうか?


ゼルが罪の無い人を自分の為に殺そうとしたのを止めるためとはいえ、自分でよく自分の腹を刺したと思う。元の世界なら絶対に出来なかっただろう。自分の意思と違う何かが働いているのだろうか?



ゼルはすぐに戻ってきた。


「姫様、ご無事ですか」


「大丈夫だよ。ラーメンは問題ない?」


「はい。銀貨1枚払って参りました」


「それはちゃんと俺の所から払えよ。仕事の仕入だから」


「はい」


そう返事したゼルの目から涙がツゥーと流れる。


「目汁出てんぞ」


「姫様・・・」


ゼルはベッド横に膝を付き、俺の手を握って申し訳ありませんとずっと泣き続けた。



「ゼル、いい加減泣き止め」


「申し訳ありません」


「添い寝してくれ」


「はい」


隣に寝たゼルをヨシヨシしてやると声をあげて泣く。シャルロッテはそのままずっとヨシヨシし続けたのであった。


夜寝る前にスポドリを作ってもらう。血液を失った分、水分を取っておいたほうがいいかなと思ったのだ。献血したらジュースくれるしな。


「姫様、もう大丈夫ですか?」


「ふらふらして頭は痛いよ。明日からレバーとか食べないとダメだね」


「レバーですか?」


「そう。血を増やす食べ物だね」


「わかりました。レバーを使った料理を作ります」 


「うん、お願いね。今日はご飯いらないから、ゼルはなんか食べな」


「いえ、何も喉を通りそうにありません」


「そっか。でも水分は取っとけよ」


「はい」



シャワーで洗ってもらうときに身体を見たら傷ひとつ残ってない。


「これ、ポーションかけたの?」


「い、いえ・・・。先生が治癒魔法を掛けて下さいました」


「そっか。明日もう一度謝りにいかないとね」


「はい」



風呂から出てもう一度スポドリを飲んで就寝。


ゼルの顔はずっと晴れないままだ。


「ゼル」


「も、申し訳ありませんでした」


と、また謝り続けながら泣くゼル。くすぐってやろうにもそんな雰囲気ではない。代わりにゼルに乗って首筋を軽く噛んでやる。


「な、なんですか」


「吸血鬼。血の気の多い馬鹿者から失った血を吸ってやろうかと思って」


「ふふふっ、こんな可愛らしい吸血鬼なら全部吸われても問題ありません」


ようやくゼルが少し笑ってくれたので、そのままレロレロしてやった。


「く、くすぐったいです」


「耐えろっ」


と、レロレロするとうひゃひゃひゃといつものゼルに戻っていった。



朝起きて学校に行こうとしたら制服に血が付いている。


「これ着て行けないよね」


「申し訳ありません」 


予備の制服はスカートがかなりきつい。


「私服で行くか。怒られたら帰ろう」


「はい」



まだふらつくので、ゼルに腕を組んで登校する。


ザワザワザワザワ ヒソヒソ


「貴様らっ、言いたいことがあるなら面と向かって話せっ。無礼であるぞっ」


俺がいらつく前にゼルがそう叫んだ。  


サーッと消える群衆。うん、こういう時は身分があると便利。


ゼルはそのまま殺気を出して周りを威嚇する。いつもは自分の存在をあまり出さないような感じなのに今日はバリバリ戦闘モードだ。兵士達とあれだけ激しい訓練をこなすゼルの殺気はなかなかのものだ。


教室に入ってもそのままなので皆近付いて来ない。先生も私服なのに何も言わなかった。

 

放課後先生の元へ。


「制服でなくてごめんなさい。予備のスカートが入らなくて」


「あら、そうだったの。それなら仕方がないわねぇ。あと、魔力は残念だったわね」


「え?」


「魔法コースの先生からシャルロッテさんに魔法適正なしと告げたら、ショックを受けて帰ってしまったと聞いたから心配してたのよ」


「はい、残念でした。昨日はちゃんと挨拶もせずに帰ってしまったので挨拶をしにいっていいですか?」


「いいわよ。じゃ、いらっしゃい」

 

と、職員室に行くが授業がまだ終わってないのでそのまま待つことに。


その後昨日の研究室に通された。


「シャルロッテ様。昨日は私の為に誠に申し訳ございませんでした」


「先生は何も悪くないのにやめて下さい。それより治癒魔法を掛けて頂いてありがとうございました。傷跡もまったく残っていません」


「・・・いえ、当然の事をさせ頂きましただけのこと。あと、こちらをお返しいたします。もう二度とあのような無茶をなさらないで下さい」


と、バタフライナイフを返してもらった。


「シャルロッテ様は魔法適正がないと学園に報告を致しました。しかし、魔力暴走がおきないとは限りません。魔力を抑える訓練はされた方が宜しいかと思われます。無性にイライラされたりすることはございませんか?」


「ありました。反抗期かと思っていましたけど」


「そうかもしれませんし、魔力暴走の前兆かもしれません。もし、魔力暴走の前兆であれば些細な感情が引き金となり一気に溢れだす可能性がございます」


「暴走するとどうなるの?」


「使い道の無い魔力が爆発するか、溢れ出そうとする魔力を抑え込もうとして身体に負担を与えます。シャルロッテ様の幼き御身体であると命に関わります」


「どうやって魔力って抑えこむの?」


「魔力を抑える魔法というものがございますが習得に時間が必要です。それを習得するまでは運動するなどをして発散するか、血を抜いて体力を落とします。人は身体を動かす時にも魔力を使っています。それを意図的に多くの魔力を流すと優れた身体能力につながったり、身体を強化して守る事が出来ます」


へぇ。


「シャルロッテ様は大量の血を失いましたのでしばらくは暴走の心配はないでしょう。血にも魔力が含まれておりますので」


「運動以外には何かありますか?」


「欲を満たして精神が穏やかになると体内に流れる魔力も穏やかになります。常に穏やかであれば暴走になりません。負の感情が強くなれば暴走に繋がります。シャルロッテ様の肉体、精神が成長すれば暴走の危険は減りますが、思春期の頃は暴走の危険が高いのです」


なるほど。魔力って感情や体力にも左右されるんだ。


しかし、欲を満たすか。リーリャにフニフニも出来なくなったし、クインシーにぽふっも出来ないから欲求不満になってたのかもしれん。毎日ホニホニ出来てたのがなくなったからな。


魔法コースの先生にお礼を言ってから担任の先生に挨拶をして帰った。


部屋に戻るとユーバリーがドアの前で待っていた。


「どこに行ってたの?昨日も居なかったし」


「昨日は仕事。今日は先生の所に謝りに行ってたの。私服で学校に行ったから」


「制服どうしたの?」


「キツくてしんどくなったの」


「なら私のあげる。ちょっと待ってて」


と取りに行ってくれた。


はい、と夏服、冬服3着ずつある。


「これもう着ないやつだから」


「学校に寄付しないの?」


「メロン王族のマークが刺繍してあるから寄付出来ないの。だからあげる」

 

「これ新品?」


「そ、着ない間に着れなくなったの」


もったいない。


けど、ありがたい。見た感じサイズも大きいしまだまだ着れそうだ。


「ありがとう。今からご飯だけどどうする?」


「庶民食堂でしょ?私も行く」



「おばちゃん、レバニラ炒めとかある?」


「レバニラ炒めってなんだい?」


「じゃ、レバーと小松菜はある?」


「あるよ」


「じゃあ、それをごま油で炒めて塩胡椒で味付けして。レバーはあんまり火を通さずにレモンも添えておいてね」


レムのお料理教室レシピを見ながらおばちゃんにお願いする。


ユーバリーとゼルはハンバーグセット。


あと、ギルドの人がラーメンを取りに来たと言っていた。追加発注は直接するけど、代金は俺を通すから宜しくと。



「なにそれ?」

 

ユーバリーはレバーの炒め物を見たことがないようだ。


「レバーと小松菜の炒めもの。バリ姉は嫌いかも」


と、小さなレバーを口に入れてやるとうえっとしていた。


これ、パンよりご飯向きだな。もしくはビール。


レモンを絞って味変して食べきった。食べただけで血が増えた気がするから不思議なもんだ。



部屋に戻るとまだふらつく。


「バリ姉。ちょっと貧血でふらつくから部屋でゆっくりしてる」


「大丈夫?」


「うん、ちょっと疲れが出てきたのかも」


「そうよねぇ。離籍してうちに来てバタバタして暴れてたりもしてからね。疲れてるならメロン食べる?」


なんとなく食べたい気がする。


「うん」


と、ユーバリーが1玉メロンを持ってきてくれた。


ゼルが切ってくれて3人で食べる。元の世界のより甘くはないが甘い。


「美味しい」


「家ではぜんぜん食べなかったのにね」


身体が欲しているのだろうか?そこそこ甘いメロンの果汁が身に染みて行くような感じがしたシャルロッテであった。






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